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加藤登紀子 Headshot

オリンピックを喜べるためにも、嘘で固めた日本になってはならない。

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2020年東京オリンピックが決定して、世の中湧きたってますね。みんなが嬉しそうなのはいいことだし、1964年の東京オリンピックの時に作られたインフラ関係も老朽化。作り変えるには良い時期かもしれない、というようなことも考えたりして、開催自体には異論を唱える気持ちは全くありません。

ただ、安倍さんの発言は、本当に困った。国際的にも大きな問題になってしまうのではないかと心配です。

安倍首相のオリンピック委員会での発言。

「福島第一原発の汚染水は港湾内で完全にブロックされており、汚染水は完全にコントロール下におかれている」

これについては東電内部からも「汚染水はコントロールできていない」とする反対の説明がなされた。

東京新聞が報道した9・13の記事によれば、外洋に近い排水溝で採取した水から、高い濃度の放射性ストロンチウムなどを検出し、排水溝の先は外洋で、漏れた処理水の一部が再び流れ込んだのは確実と見られる、という。 しかもストロ ンチウムの値は、一日に10倍も増えており、排水溝から外洋へ下って行く急斜面、流出を防ぐ対策は打ち出されていない。

ところが、その日の夕方には、東電側が発言を撤回。安倍首相の見解は、大筋において正しい、というような修復が行われた。明らかに政府からの圧力が伺われるこの動き、さらには安倍首相が福一を視察する方向で調整、という必死の巻き返しがあった。

確かに、あの発言を正当なものにするためには、直ちに汚染水の流出を止め、すべての汚染物質をコントロールする措置を政府として実行しなくてはならないでしょう。出来るのならすぐに、やって欲しい!

けれど、事態はその思惑を根底から崩す最悪の展開になってきている。

汚染水の外洋流出を止めるための遮蔽対策を進めたところ、福一の建屋全体の地盤が緩み、ちよっとした地震によって液状化する危険性も出てきているそうだ。

「嘘で固めた原発」がやっと明らかにされたと思っていたら、今度は「嘘でゴリ押しのオリンピック」ってことになって行くのか、本当に大変なことになってきた。

このところツイッターで放射線被害の可能性の怖さについて触れたりすると、目も当てられない程の嫌がらせツイートが寄せられる。ツイッターで意見を発信すれば、当然反対の意見を持つ人からの反論があってもいいのだが、数があまりにも多いのと、内容がお粗末なことから、個人的な反論とは思えない、別の力が働いているのでは?と感じることがある。

こんな中、「秘密保全法」という報道機関の報道を規制する法案まで飛び出してきた!(この法案については藤原紀香さんが詳しくブログで書いていますので見てください。)

国が国家機密とした情報を完全にブロックしてしまえる危険な法案。

次の臨時国会に提出されることになっているそうで、何とかしないと、すんなり通ってしまいかねません。みんなで反対の声をあげないと!

パブリックコメント募集の締め切りは17日、何と今日です。

出来る限り正しく現状を知るために、報道の自由を確保すること。そして福一の事故によって生活を奪われた人達への支援を忘れないこと。

福島で生活を奪われている18万もの人たちは、普通の人たち。過剰に東電や国を悪者にしようとする人たちじゃない。その彼らのおかれた状況を 正確に掴み,最善を尽くそうとする社会的な努力を封 じていくのは、本当に困ります。

しかも福一の現状は、東京を含む首都圏の安全をも脅かしている。

だからこそ、今は正しく現状を把握し、全力をあげて解決に向かわなくてはいけない正念場です。

オリンピックを喜べるためにも、メディアも世論も何もかもが、「嘘がため」の協力者になるようなことにはなって欲しくない。

今あちこちで上映会が行われている「朝日のあたる家」(太田隆文監督作品)を送っていただいたDVDで見ました。

フクシマの後に再び同じように原発事故が起こった、というフィクションとして描かれている劇映画。ですが、そこからはフクシマ後の、すべてが後手後手になった取り返しのつかない結果があぶり出されている。原発事故後「普通の人たち」がどんな状況に追い込まれていくかを丁寧に冷静に描いていて、最後には、その家族の一員になったような気持ちで泣きました!

原発問題はもう終わったと思いたい気持ちは、誰もが心の奥に持っているかもしれないけれど、現実は本当に厳しいです。解決のつかない厄介なことを抱え込んでしまった以上、もう少しだけ、丁寧に生きて行きましょう!

触れる機会をできるだけ持って、この困難な時代から逃げずに、福島の人たちのことを忘れない、真っ当な日本人でいたいです。