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後継者不足の中、新卒3名入社した熊本のワイシャツ工場

2014年04月30日 20時09分 JST | 更新 2014年06月30日 18時12分 JST

海外進出したい企業などを支援する政府の団体、クールジャパン推進機構がエイチ・ツー・オーリテイリングの中国で展開する商業施設など3案件への投資を検討するという報道がありました。総額650億円になる見通しとのこと。

ファッションやアニメなどの「メイドインジャパン」が海外に出ていくことや、それを支援しようという考えも大賛成です。

とはいえ、前回も書きましたが、アパレルにおいてメイドインジャパン製品はどんどん日本で作られなくなっていて、工場も減少する一方です。

私は、ここ1年で200を超える日本の工場にせっせと訪問し、直接提携する工場を探してきました。

(基本的に工場のほとんどが、メーカーからのOEM(受託生産)のため、表に工場の名前が出ることはありません。ホームページなんてないので、タウンページをペラペラめくって探すこともよくあります。本当にアナログです笑)

その中で毎回のように工場の方から聞くのは、「後継者不足問題」。

クールジャパン推進機構の他にも、経済産業省の「JAPANブランドプロデュース支援事業」というのもありますが、"いま"優れた商品を作って海外に展開できたとしても、「後継者」がいなくなれば "将来"には何も残りません。

そのため、海外に目を向けると同時に、国内の産業継続にも、目を配るべきだと考えています。

工場を回っていて感じるのは、後継者を雇用し育成するためには工場の「労働環境」を改善することがとても重要だということ。地方の高校を卒業した今どきの学生からすると、いくら工場の技術が高く、生み出す商品への魅力が強くても、働く環境を見てしまうと及び腰になっているのが現実です。

具体的に改善するべきだと考えているのは、大きく3つ。

1.熟練職人と若い職人の年齢差が開きすぎていること。

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高卒で地元の工場に就職する方は18歳が大半。しかしながら彼ら彼女たちを指導するひとつ上の先輩はというと、40代・50代ということもざらにあります。

ひとつ上の先輩との年齢差が20歳以上と、あまりにも年が離れすぎていて、悩みなどを相談しようにもしづらい環境にあります。結果、相談もできず仕事を辞めてしまうことにつながっています。

2.「根性論」では、若い世代がついてこないこと。

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若い世代に技術を指導、教育する40代・50代の職人さんは、「自分も昔こう教えられた」という経緯から、どうしても根性論が先に立ってしまいます。

しかしながら、「根性で何とかする」という考えはあまり共感を生みません。周りを見渡すと、工場よりも楽で時給の良いコンビニバイト等があり、工場でのハードな仕事を根性で働き抜くというスタイルは受けいれられないのです。

3.若い子が「働きたい」と思えない、設備の老朽化。

ほとんどの工場では和式トイレは当り前で、休憩所はたばこのにおいが染みついています。

また、工場は広いためクーラーがつけられず、冬は石油ストーブを使いたいが、生地やほこりが入ると危ないので使えません。夏は暑く、冬は寒いという環境です。

お金だけで解決できる問題だけではないにしろ、国が動くのであれば、少しでもこういった課題解決のために資金が使われる方向に向かって欲しいです。

もちろん工場自ら後継者雇用のためにアクションするべきで、動いている工場には、新卒が入社している例もあります。

例えば、ファクトリエが最初に提携した、世界74ブランドのシャツ工場「HITOYOSHI」。「HITOYOSHI」は、2009年に親会社が倒産し経営危機にありましたが、この技術を絶やしていけないと、経営陣が借金をして、自分たちの強みである高い技術による高級シャツ路線をとり倒産を免れた工場。いまでは、みなさんがご存知の世界の有名ブランド含め、74ブランドのシャツを製造しています。

この工場にはこの4月に新卒が3名も入社しました。

彼らがやっているのは、地元の高校に縫製作業の実習を授業に取り入れてもらったり、小学校では、社会科見学として工場を見学したりと、積極的に接点を増やす活動をしています。工場と社会の距離を縮めようと試みた結果の新卒3名です。

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HITOYOSHIの新入社員

ファクトリエとして、いずれはこういった労働環境についても改善のお役にたてればと考えています。そのためにも、働く方に自分たちの工場や商品に誇りやプライドを持ってもらえるよう、良い商品づくりに励みます。