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これは要らないといい続けることで、製品開発を進めてきた ── スティーブ・ジョブズ

2014年10月28日 23時00分 JST | 更新 2014年12月26日 19時12分 JST

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スティーブ・ジョブズが示すビジョンは、深遠で革新的だ。それを、イエス、ノーのシンプルな言葉で伝え、人を動かしていく。

たとえば製品開発にあたっては、機能の選択と集中に徹底してこだわる。かつて同社のフラッグシップPCだったPower Macの開発に関して、ジョブズはこう話している。

「僕らは不要な要素をそぎ落とすことで、新たな進化をとげた。これは多くの人が押しつけられている安物コンピュータの開発に比べて、はるかに勇気のいる方法論だった。僕らは『これは要らない』といい続けることで、この製品の開発を進めてきた。そして最後には本質だけが残ったのさ」。

確かに、デザイナーのジョナサン・アイブが「僕らはこの製品に熱狂してるよ」というほどの製品が完成している。

さらにジョブズは、機能過多を避けるだけでなく、みんなが必要と考えているものにまでノーを突きつけることがある。

1998年に発売され、斬新なデザインで一世を風靡したiMacの開発のときも、ジョブズは誰もが当然視していたフロッピーディスクの搭載に「ノー」といっている。ドライブはハードディスクとCD-ROMのみ。その決定は「iMacはクリーンでエレガント、フロッピー要らず、そして絶望的だ」と書いた専門家までいたほど先端的なものだったが、ジョブズは有名なプロアイスホッケー選手ウェイン・グレツキーの「自分が行く先はパックが来るポイントであり、パックがあった場所ではない」という言葉でこの決定を後押ししている。結果、iMacは600万台も売れ、歴史上最も売れたコンピュータと称されることになった。

iPhone開発のきっかけも、既存の携帯電話に関する「とにかく複雑すぎるんだ。こんなの使い方がわかる人なんているはずがないと思うような機能がたくさんある。わけわかんないよ」というジョブズの不満からだった。誰もつくらないのなら、「自分たちでやろう」がスタートだった。

みんながイエスといっている時に自信を持ってノーという。設計者は、つけ足すものが何もなくなったときではなく、取り去るものが何もなくなったとき、初めて「完成」を実感する。これがジョブズの美学だ。

執筆:桑原 晃弥

本記事は書籍「1分間スティーブ・ジョブズ」(SBクリエイティブ刊)を再構成したものです。

(2014年3月20日公開