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地中海のクロマグロを「持続可能なシーフード」に!

2015年06月16日 15時07分 JST | 更新 2016年06月15日 18時12分 JST
WWFジャパン

資源枯渇の危機が指摘されていた大西洋クロマグロ(本まぐろ)について、現在、資源回復の兆候が認められています。2009年には「3年後には産卵数がゼロになる」という可能性さえ指摘されていた大西洋クロマグロの回復は、その後の資源保護の取り組みが、確かな成果を挙げてきたことを示すものです。WWFでは、関係各国に対しこの回復傾向を維持するよう配慮を求めるとともに、大西洋クロマグロは、今後、海のエコラベル「MSC認証」の取得を視野にいれた取り組みを推進するよう目指していきます。

資源危機からの転換と懸念

2013年に資源状態のモニタリング監視が始まった、東部大西洋および地中海のクロマグロ(本まぐろ)について、現在、暫定的ながら、資源回復の兆候が認められています。

2000年以降、過剰な漁獲が続き、一時は資源枯渇の危機にあった大西洋クロマグロが、回復の傾向にあることは、利害をめぐる対立を乗り越えて実践されてきた、厳しい漁業管理措置と、漁獲割当量の削減が、確かな効果をあげてきた事実を示すものといえます。

しかし、これを受け、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)に加盟する漁業国は、2014年11月の総会において、早々に漁獲可能な漁獲量(漁獲割当量)の増加を決定しました。

その内容は、年間の漁獲割当量について約20%の増加を認め、2014年に1万3,500トン、2015年に1万6,142トン、2016年には1万9,296トンとするものです。

これに対しWWFは、大西洋クロマグロの資源回復についての指摘が、あくまで暫定的なものであり、正式な資源評価に基づいた報告ではない、ということに懸念を示した上で、各国による性急な漁獲割当量の増加が、再び資源危機を招くおそれがあることを、強く訴えました。

WWF地中海オフィスのジェンマ・キレス・バディア博士は、次のように述べています。

「大西洋クロマグロの正式な資源評価は2016年に行なわれる予定です。その時になって初めて、私たちはより確かな科学的結果に基づいた、適切な漁獲割当量についての提言を出すことができるでしょう」。

見えてきた「持続可能なシーフード」への道のり

実際、大西洋クロマグロを持続可能な形で利用してゆくためには、マグロがどこで、どれくらい獲られ、どんなルートで世界の市場に流通しているか、そのプロセスを透明化していくことが必要になります。

しかし、そのためのトレーサビリティという視点で見ると、大西洋クロマグロ漁業は、今も多くの抜け穴を抱えており、とりわけ自然の海から若い個体を漁獲し、「養殖マグロ」として肥育・生産している蓄養場では、その問題が顕著に認められています。

こうした問題を解決し、大西洋クロマグロを「持続可能なシーフード」としてゆくためには、関係する漁業者が、「海のエコラベル」であるMSCの認証を取得し、持続可能な漁業が行なわれていることを証明する必要があります。

この解決策は、クロマグロ漁業界が、資源壊滅の危機を引き起こした以前の間違いを繰り返さないようにする確かな道であるのみならず、クロマグロを頂点とした地中海の海洋生態系を、未来に向けて保全してゆくことにもつながるものです。

何より、ここまでの漁業管理措置によって認められた資源回復の傾向は、その実現の可能性をより大きなものにする、明確なメッセージといえるでしょう。

世界最大のクロマグロ消費国として

2015年6月、東部大西洋および地中海では、クロマグロの主要な漁法である「巻き網漁」が解禁されました。

これを受け、WWFとプリンスアルバート2世・オブ・モナコ財団は、大西洋クロマグロにかかわる関係者に対し、現在の大西洋クロマグロの管理方策を厳密に順守するだけでなく、MSC認証の取得に向けて、前向きに取り組むことを求めました。

「未来に向け、クロマグロの長期的かつ完全な資源回復を実現できるかは、現在の漁業者、流通関係者貿易業者、小売業者、消費者の今後の関与のあり方にかかっています」 と、バディア博士は言います。

「私たちは、クロマグロに関わる全ての利害関係者が、持続可能性を実現する取り組みを継続していくことを求めます。そして、そのような形で供給されたシーフードを、シェフや消費者までをも含めた人々が、広く支持することを求めていきます」。

また、WWFジャパンの水産担当の山内愛子も、クロマグロの世界最大の消費国である日本が、この動きを後押しする上で、大きく貢献できることを指摘。

大西洋クロマグロが深刻な枯渇状態に陥った、その歴史と原因を振り返りつつ、

「ついに回復期に入ったクロマグロ資源の持続可能な利用を促進するために、日本の流通企業などのステークホルダーが、現地の漁業者によるMSC認証の取得をリードする役割を担うことを期待しています。私たちも、日本国内の流通関係者、消費者の皆さんに、クロマグロ漁業のMSC認証取得を積極的に支援できるよう呼びかけていきたい」と述べています。

5年前にはその可能性さえ見えていなかった、大西洋クロマグロの資源回復、そして、持続可能な漁業の実現に向けた道が今、開かれようとしています。

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