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終活時代におけるお墓のマーケティング

2015年03月24日 00時55分 JST | 更新 2015年03月24日 00時55分 JST

先日、敬愛する千葉市長の熊谷俊人さんにお目にかかったとき、「がっそうぼ」と言う言葉を教えてもらった。漢字では合葬墓。

その名の通り不特定多数の人たちと一緒に大きな墳墓の中に納められる、というお墓のことだ。

この表現、知らなかった。

別名「永代供養墓」。こう言われた方がイメージが湧くが千葉市のような都会では公営の霊園を持つケースが多く、永代供養と言う宗教的な響きを避けて合葬という表現を使っているようだ。

この合葬墓、ほかの伝統的な墓と比べていくつかの特徴がある。

1. 生前に申し込むことができること。

伝統的な墓はお骨を持った遺族しか申し込むことができない。生前に申し込むことはできない。確かに亡くなられた方が現におられるのに墓地がない、というのでは困る。墓地及び埋葬法にそう書いてあるのもわからないではない。それに対し、合葬墓はあらかじめ申し込むことができるようになっている。と言うのももともとはこの制度は身寄りのない人のためのものであったからだ。

2. 金額が安いこと。

伝統的な墓に比べると合葬墓は安い。千葉市の場合だと7万円。また、一度お金を払ってしまえば毎年の管理費を払う必要がない。

3. 祀られ方が簡素なこと。

千葉市の場合、30年間は個別の骨壺により遺骨として管理され、30年経てばまとめられる、というシステムになっている。自分の子供がお参りしてくれるというのは想像できるけれど、その子どもやさらにその先は、と考えるとどうなるかわからない、であれば30年間きちんと管理してもらえれば十分ということで合葬墓を選ぶ人も多いようだ。

千葉市長はこう言う。「千葉市の場合だと、従来型のお墓を希望する人と合葬墓を希望する人の割合は1対9くらいまで来てます。毎年400体ずつ30年間に分けて供給する予定でしたが、あまりの人気に前倒しで供給しています。特に生前申込みの需要が高く、供給が追い付かない状況です。他市でも導入が進んでいますが、まだ多くは従来型墓地です。導入した千葉市でも、今後の整備では従来型の墓地が中心になっていたので、合葬墓に比重を移すよう指示しています。」

「なぜあまり増えてこなかったんだでしょうか?」と尋ねてみた。

「現行法上、従来型のお墓も合葬墓も両方とも認められています。ですから自治体の負担もあまり違いがありません。逆にそのことが合葬墓をもっと増やそうということにつながっていない、ということが影響しているかもしれませんね。また、本来のお墓は伝統的な墓であって、合葬墓は生活が厳しい方々がやむを得ずお使いになるもの、と言うイメージが職員の中にあるのかもしれないです。でも、これからは市民のニーズに応えて合葬墓を増やしていかなければと思っています。

生前に申し込める、しかも夫婦揃って申し込める。子どもが居なくても、また子どもが居ても墓地管理の負担を強いたくない、お祀りは簡素に、一定期間だけで。終活という言葉が出てきている時代、実はこういうニーズが極めて高かったということに気づいた、ということなんです」

僕はうなずくばかりだった。

地方で生まれ、育ち、その後首都圏に出てきて自分のふるさととは違う地域出身の人と結婚し、千葉市に家を構えた。こう言う方が千葉市にはたくさんおられるだろう。そうして場合、どこにお墓を作るのか、どういう祀られ方を望むのかを選ぶ、という状況が生まれているのだろう。

一方、いわば「千葉」に出す側の県としての佐賀県。こちらでは逆に子供たちがいなくなって自分たちが伝統的な墓に入っても将来、面倒を見てくれないかもしれないと言うことでやはり合葬墓が増えてきているようだ。

首都圏と地方。異なる背景ながらそれぞれの地域で増えている合葬墓。

表現は適切ではないかもしれないけれど、「終活時代におけるお墓のマーケティング」という言葉が頭をよぎった。

(2015年3月23日「週刊yasushi」より転載)