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カープ連覇の影の立役者はアメリカ人かもしれない

大のカープファンとして、ブラウン監督に言いたい。

2017年09月16日 17時12分 JST | 更新 2017年09月17日 22時34分 JST

カープのリーグ2連覇が秒読み段階に入った。もう誰も昨年の優勝がまぐれとは言えない。2012年まで15年連続4位以下のチームが2年連続ぶっちぎりで優勝できるまでに成長したのはなぜなのか?

カープの監督は1980年以降、カープで10年以上プレーした生え抜き選手が努めているが、この慣習が一度だけ崩れたことがある。2006年から4年間監督を務めたマーティ・ブラウン監督。選手としてはカープで3年プレーしただけなのに、山本浩二監督の跡継ぎに指名され、ファンを驚かせた。

ブラウン監督は、審判の微妙な判定に対して、ベースを投げたりして抗議することで有名になったが、私は、生え抜きでないからこそできた選手起用方法と采配でカープの歴史に新しい風を吹かせたと思っている。

指導者にとってとても重要なのは、スター選手が全盛期を過ぎた時の見極めだ。全盛期を過ぎてもその選手への愛着心で起用し続ければ、その分、若手に出番が回ってこなくなり、モチベーションが上がりづらい。

生え抜き選手ばかりが監督になれば、ちょっと前まで一緒にプレーしていた有能な後輩への過度な愛着から、全盛期を過ぎたタイミングの見極めは難しくなることがある。

ブラウン監督の前任者の山本氏は、1991年にカープがリーグ優勝したときの監督で、そのときのエースが佐々岡真司投手。

山本氏がスポーツ番組の解説者の時、「今、注目の投手に聞く」というコーナーで佐々岡投手を選ぶなど、特別な愛着があり、監督になっても、佐々岡の防御率が5点に近いにも関わらず、マウンドに送り続けた。

同じく生え抜きしか監督になれない巨人の高橋監督が今年、防御率5点台の内海投手をマウンドに送り続けたのに似ている。

それに対しブラウン監督は、当時のスター選手、前田智徳選手をスタメンから代打要員にスパッと切り替え、空いたスタメン枠に、目をつけた若手をどんどん起用した。

そして、数試合結果を残せなくても起用し続けた。中心選手でも少しでも傲慢な態度を取れば容赦なく罰した。新人王を獲得し、毎試合レギュラーで出場していた梵英心選手が試合中にヘルメットを地面に投げつけたのを見て、すぐに交代させ、翌日二軍に行かせた。

これにより、「誰にでもスタメンになれるチャンスがある」という緊張感をもたせた。

今シーズン、一番多くマスクを被っている会沢捕手を最初に一軍で起用したのもブラウン監督だった。当時、石原と倉という二大捕手がおり、突然、名前の知らない若手捕手がスタメンに抜擢され、ファンは驚いた。当時大卒ルーキーだった岩本選手も、スタメンで何度も起用してもらった。

会沢も岩本も当時はそこまで活躍できなかったが、今シーズンはチームの勝利に欠かせない活躍をしている。

さらに、ブラウン監督は先発投手を100球を目処に交代させた。今となっては当たり前かと思われるかもしれないが、150球完投なんて珍しくなかった当時のカープにとっては大革命だった。

これにより、7、8、9回、それぞれ任せられる3人の中継ぎ投手による必勝リレー方式ができ、それまで敗戦処理要員だった若手投手が脚光を浴びれるようになった。去年も今年もカープの勝利の半数近くが逆転勝利になるのは、中継ぎ投手がしっかりしているからで、彼らこそが優勝の原動力といっても過言ではない。

昨年、好成績を残したにも関わらず黒田博樹投手が引退を表明した。今の緒方監督は黒田と長年一緒にプレーをした仲で、もし、黒田が今年あまり活躍できなかったとしても、黒田を先発ローテンションから外す決断を下すのは心苦しいものになったのではないか。

そして、それを黒田自身がよくわかっていたからこそ、自ら身を引くことで、若手に先発枠を一つ与えたかったのではないか。これにより、「黒田さんがくれたチャンスを無駄にしないぞ」と昨年までほぼ無名だった岡田や薮田などの若手の台頭につながったと私は思っている。

最後にブラウン監督が残してくれたもの。それは、審判の微妙な判定に対して、監督が猛烈に抗議をする習慣。後を引き継いだ野村、緒方両監督は、さすがにベースを投げたりはしないが、帽子を地面に叩きつけるくらいはやっている。体を張って選手を守ろうとする監督の姿に選手が鼓舞されないわけがなく、そういう試合は勝つことが多い。

大のカープファンとして、ブラウン監督に言いたい。あなたは監督が生え抜き選手でなくてもいいと証明しただけでなく、生え抜きでないからこそできることがあるということも見せてくれました。ありがとう。