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「聞き上手」とはどのような人か

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「聞き上手」と言われる人達がいる。「聞き上手」は多くの場合、人に慕われ、抱え込んだ悩みを持った人々にとってありがたい存在となっている。

子供の頃、クラスの人気者は「しゃべり上手」だった。あるいは芸人であれば「しゃべり上手」が人気を集めるだろ。しかし、大人にとって必要な人は「聞き上手」である。


ピーター・ドラッカーは、かつて

「自分は弁舌がさわやかだから素晴らしい人間だと考える人達が多すぎる。人との付き合いの面で人間が素晴らしいのは、本人が聞き上手だからという事実に彼らは気がついていない。」

と語った。(ドラッカーの視点:アチーブメント社)


さて、私生活においても、ビジネスにおいても「聞き上手」であることは大きなアドバンテージであるが、一体「聞き上手」にどうしたらなれるのだろう。

実際、「聞く技術」に関しての書籍やセミナーは非常に多い。しかし、大なり小なりそこで語られることはほとんど同じである。


「相槌をうて、リアクションせよ」

「口を挟まない」

「その人のほうを向いて聴く」

「相手の言ったことを繰り返せ」

「相手を褒めなさい」

「相手の言ったことを一度肯定しなさい。それから意見を言いなさい」


そういった、いわば「小手先のテクニック」を紹介されるのである。もちろん実践すれば役に立つし、一時的には「聞き上手である」と相手に思ってもらえるかもしれない。

しかし、テクニックは所詮、テクニックにすぎない。

「聞き上手であると思ってもらいたいから、そういったテクニックを使っているだけ」の人である。周りの人もバカではない。本人が聞き上手を演じているだけなのか、それとも本当の危機上手なのかは皆わかっている。


だから、実際には、そういったテクニックと「聞き上手」であるかどうかはあまり関係がない。


無愛想でも聞き上手がいる。

決して褒めてくれない聞き上手がいる。

何も喋らない「聞き上手」がいる。

厳しいことを言う「聞き上手」がいる。

断っておくが、そういった人々は決して、「聞き上手としての資質」があったり、「人望がある」から聞き上手なわけではない。
おそらくほとんどの聞き上手の方は「生まれながらの聞き上手」というわけではなく、後天的に聞き上手になったのである。

では、「聞き上手」と「そうでない人々」の境界線はどこにあるのだろうか。

2500年前、孔子という魯の国に生まれた思想家がいた。孔子は大変な実務家であったので、「処世術」に掛けて彼の右に出るものはいない。

その彼が次のような言葉を残している。


"道同じからざれば、相為(あいため)に謀(はか)らず。"


現代文の意味は、「そもそも、価値観が違えば、話し合うのはムダだよ」という意味だ。

「聞き上手」かどうかはこれを理解しているかどうかに尽きる。


人から聞く物事には必ず、「事実」とセットで「判断」が添えられる。

事実⇒判断

「今日、こんなことがあった」⇒「だから私はこう思う」

「今、こういう状況だ」⇒「私はこうしたい」


そして、「判断」の部分については価値観が異なれば、話は平行線、もしくは論争となる。

だから、「聞き上手」は、判断の部分について、私情を挟まない。
小手先のテクニックでなく、「相手の価値観を尊重する」、「自分と考え方の違う人を認める」ことだ。

「だから私はこう思う」についての判断を保留し、一旦自分で咀嚼する。そして、相手の価値観に合った発言ができれば発言し、そうでなければ相槌を打つにとどめる。

これが「聞き上手」の人々が行っている行動だ。

(2014年6月30日 Books&Appsに加筆・修正)

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