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トモダチ作戦:米海軍の100名超、健康被害で東電を提訴

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ロナルド・レーガンは、米軍と自衛隊のヘリコプターのための洋上拠点として運用された。画像はロナルド・レーガンの甲板作業。2011年3月19日撮影。 | Wikimedia Commons
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米海軍の航空母艦「ロナルド・レーガン」に乗船していた5,000人の水兵たちは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波による被害者の救援活動を80日間近く行ったあと、日本を離れ、長く待ち望まれたタイでの寄港を目前にしていた。

だが、寄港の前に兵士たちは、いくつかの書類に記入する必要があると告げられた。

「われわれが医学的に良好な状態であり、病気ではないこと、そして米国政府を訴えることはできないことに署名させられた」と、米海軍の元操舵員モーリス・エニスは、ハフィントン・ポストに語る。兵士たちは、これをひどいことだと感じ、怒りが広がったが、同時に、選択肢はほとんどないと感じたという。

震災から2年が過ぎた2013年の3月11日(米国時間)、エニス氏は、救援活動に参加し、それ以降に健康問題が発生したという100人を超える兵士たちとともに、それらの健康問題は福島第一原子力発電所からの放射性降下物に関連があると主張する訴訟に加わった。連邦裁判所に申し立てられたこの訴訟では、米国政府を訴える代わりに、発電所を所有する東京電力(TEPCO)が被告とされている。

[翻訳注:ロナルド・レーガンの乗組員8名が、東電に対して総額1億1000万ドル(約94億円)の損害賠償などを求める訴訟を米連邦地裁に起こしたと最初に報じられたのは2012年12月末。2013年3月には、他の26名も訴訟に参加し、さらに100名以上が参加を準備していると報道された]

ロジャー・ウィザースプーンは自身のブログ「Energy Matters」の中で、東京電力は、破壊された原子炉から広がった放射能の範囲について、米国当局者に虚偽の情報を提供したと述べている

訴訟の原告には、エニス氏のガールフレンドであるジャイメ・プリムも加わっている。プリム氏もロナルド・レーガンで操舵員として勤務し、膨大な時間を甲板で過ごした。

ふたりの夢は除隊して家庭を築くことだったが、政府の責任を問わないという署名をした後にふたりに生じた健康問題により、子どもを持つという選択ができるかわからなくなった、とエニス氏は言う。ふたりはすでに海軍から名誉除隊となっていて、今後医療費にどのくらい支払うことになるかはわからない。

プリム氏は新たにぜんそくと診断され、生理不順も深刻だ。エニス氏は顎、両目の間、太腿にしこりがあるうえ、胃潰瘍と肺疾患も生じており、体重と髪の毛が減少している。

海軍の除隊後には、丸刈り頭で過ごした期間を埋め合わせるために、髪や髭を伸ばすという伝統がある、とエニス氏は説明する。3月11日にニューヨークで行われた記者会見でエニス氏は、髪の毛の減少が加速することを心配して、カーリーな黒髪を洗ったり、櫛を入れたりするのをためらってしまうと述べた。

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海軍の元操舵員モーリス・エニスは、事故原発から生じた放射性プルーム(気体状の放射性物質の流れ)の中で作業。その後生じた健康問題について説明してくれた。 (Photo:Lynne Peeples/Huffington Post)

プリム氏によると、空母にいた水兵たちが「原子力発電所が被害を受けている」という話を聞いた時には、日本の沖に到着してからすでに1カ月以上が過ぎていたという(その間ずっと、破壊された原子炉から1.6〜16kmほどの距離を巡回していた)。「そのときでさえ、それは(正確な情報ではなく)噂だった」とプリム氏は言う。

さらに、放射能の防護手段を与えられたのは、ロナルド・レーガンが日本を離れ、水兵たちが船を洗浄するようになってからだった。水兵たちにはヨウ素剤も一切与えられなかったとエニス氏は述べる。「お偉方」、つまり将校やパイロットたちが、放射線の被害から甲状腺を守るためのヨウ素剤を受け取っていたことは、あとから知ったという。

水兵たちの血液や尿のサンプルが検査のために採取されることはなかった、とエニス氏は述べる。エニス氏もプリム氏も、医師による本格的な診断は受けていない。

水兵たちの状況を詳しく述べた一連のブログ記事の中で、ウィザースプーン氏が強調しているのは、当時日本にいて被爆した可能性のある7万人近い米軍兵士や軍属、その家族に対して予定されていた連邦政府の医療記録が中止されるなど、福島での災害後に米国政府が行った疑わしい決定だ。

米国防総省は、「全身および甲状腺に取り込まれた可能性のある汚染物質の最大評価量は、今後の調査を行う根拠があるほど深刻なものではないと結論付けた」とウィザースプーン氏は報告している。

日本に配置されたり、ロナルド・レーガンが所属する空母打撃群(Carrier Strike Group)で近くの沖合に逗留したりしていた軍関係者たちは、医療登録がなければ、被爆した結果として発生する健康問題のパターンを究明する手段がなくなる、とウィザースプーン氏は付け加えている。

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エニス氏は、被曝と健康問題のつながりを確信したある日のことを思い出した。

エニス氏は記者会見の席で、儀式的行為として日本の人たちに寄贈するために、空母の上に掲げられていた星条旗を降ろしたときのことを話した。エニス氏の記憶によると、旗をロープで降ろす際に、旗が風で体にまとわりついたという。あの旗とロープが、かなり高い濃度の放射線で汚染されていた可能性のあることに同氏が気付いたのは、あとになってからだった。

旗をたたんでから、エニス氏は友人と食事に行った。ふたりは、手足に余計な指が生えてくるかもしれないとジョークを言ったという。放射線漏れの噂は艦内で広がり始めていた。ふたりは、ほんの気まぐれから、放射線の検査を受けることにした。友人の検査結果は汚染なしだったが、ガイガーカウンターはエリス氏の手で恐ろしく反応した。

「一瞬にして、笑いから心配と恐れに変わった」とエニス氏は言う。「あのときは誰も、何が起きているか教えてくれなかった」

[US版で2013年3月11日に掲載した記事を翻訳しました]
[Lynne Peeples 日本語版:平井真弓、合原弘子/ガリレオ]

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