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GSユアサ、ボーイング787運行再開で再評価か

2013年04月29日 20時41分 JST
Reuters

[大阪 26日 ロイター] 日米当局が米ボーイング787型機の運航再開を認可したことで、バッテリーを製造するジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)<6674.T>は、経営課題の一つに区切りをつけた格好となった。

運航停止に伴う補償の動向などなお不透明な部分が残るものの、需要増が見込まれる787機向けのリチウムイオン電池は引き続き1社での供給が続く見通し。ただ、同社が成長戦略の柱の一つと位置付けるリチウムイオン電池事業を拡大するためには、同電池の万全な供給体制の維持と従来以上の安全重視の生産管理体制の構築が求められる。

<安堵も表情硬く>

「787が飛ぶところを目指してやってきた。何よりだ」。運航再開のめどが立ったことを受け、GSユアサ幹部は安堵の声を上げるが、表情は硬いままだ。同社の航空機向けの売上高は全体の1%にも満たないとはいえ、バッテリートラブルが再発すれば、リチウムイオン電池の安全性への疑念が強まるのは必至だ。

また、同社が三菱商事<8058.T>、三菱自動車<7211.T>と出資する子会社のリチウムエナジージャパン(LEJ、滋賀県栗東市)では、プラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」などに搭載するリチウムイオン電池の不具合も発生している。アウトランダーPHEVは5月には生産が再開される見通しだが、製造現場での単純な作業ミスが原因だっただけに、LEJの品質面での信頼性を損ねた側面は否めない。

<海外展開に影響も>

787型機の運航再開は、結果としてGSユアサの技術がボーイングから再評価されたとの見方もできるため、同社が「産業用電池事業を伸ばす上で非常に大きなインパクトになる」(国内金融系アナリスト)と指摘する向きもある。

一方、LEJのトラブルは性質が異なる。今後、同社が海外の自動車メーカーから受注を獲得する上で「影響が出る」(同)との声も出ている。

車載用リチウムイオン電池の生産は、トヨタ自動車<7203.T>向けはプライムアースEVエナジー(静岡県湖西市)、日産自動車<7201.T>向けはオートモーティブエナジーサプライ(神奈川県座間市)が手掛けるなど、系列化が進む。LEJの主力工場である栗東工場の稼動を上げるには、三菱自向けの生産拡大に加え、海外の自動車メーカーからの一定量の受注獲得が不可欠な状況。日本のメーカーは生産技術で高い評価を海外から受けていただけに、今回の失策が顧客の目にどう映るか次第で、LEJの成長シナリオが大きく変わる可能性もある。

GSユアサ幹部は、LEJの運営について「(三菱グループと)一緒にやっていく方向性は変わりはない」と話す。リチウムイオン電池の不具合の再発防止策も三菱自と結束し、万全の体制で臨む考えという。また、GSユアサ51%、三菱商44.6%、三菱自4・4%とするLEJの出資比率についても変更する必要はないとし、補償リスクに関しても「財務基盤に影響を及ぼすほどの大きな影響ではない」との見方を示す。

787機運航再開の認可を受け、GSユアサ広報室は「喜ばしいことだと思っている」とコメントした。一方、発火トラブルの原因については、当局の調査が継続しており、「ノーコメント」だとしている。ボーイング、三菱自との強固な関係を維持しつつ、納入先をどう広げるか、手腕が試されている。

(ロイターニュース 長田善行;編集 内田慎一)