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シリア化学兵器廃棄で米ロ合意、2014年半ばまでに全廃

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シリア化学兵器の廃棄でアメリカ、ロシアが合意。しかし、アサド政権の対応は不透明で、政権の延命につながるのではないかという懸念も残る。

アメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は9月14日、ジュネーブ市内のホテルで記者会見し、シリア化学兵器の国際管理・廃棄をめぐる枠組みについて合意したことを明らかにした。シリアが化学兵器に関する包括的なリストを一週間以内に提出し、査察を全面的に受け入れることを要求。化学兵器禁止機関(OPCW)によって2014年半ばまでに全廃することを目標とした。時事ドットコムが伝えた。

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また、米ロはシリアが保有する化学兵器の保有量に関する認識も一致させた。具体的な保有量は示されていないが、アメリカは1000トンに上るとみている。これらの調査のため、化学兵器禁止機関(OPCW)査察チームの11月までの現地入りを目指し、アサド政権にはあらゆる場所での「迅速かつ自由」な活動を認めるよう要求した。廃棄作業はシリア国外で行う。

オバマ大統領は米ロ合意を受けて「歓迎する」との声明を発表。一方で、外交交渉が失敗したときには、依然としてアメリカが軍事行動に踏み切る可能性があることを改めて強調した。

■ 化学兵器廃棄への道のりには困難も

今回、アサド政権の後ろ盾であるロシアが1週間での提出に合意したことで、アメリカ側はロシア側が化学兵器の国際管理に向けて真剣に取り組んでいると判断した。ケリー国務長官は共同会見で、合意が実行されれば「世界の安全を拡大させることができる」と期待感を示した

しかし、今回の交渉にはアサド政権は参加しておらず、今後はアサド政権の対応が焦点となる。アメリカはアサド政権が国際管理に後ろ向きな姿勢を示すことも想定し、軍事行動というカードを手元に残したままだ。

化学兵器禁止条約は、加盟国に対して条約の効力が生じた後30日以内に化学兵器禁止機関(OPCW)に自国の化学兵器の正確な所在地や総量を自己申告するよう義務付けている。申告内容を検証するための査察が行われるほか、条約違反の疑いがあれば抜き打ち検査もできる

ただ、シリアのアサド政権は国内約50カ所に化学兵器を分散保有しているとの情報がある。すべての化学兵器が申告される保証はなく、内戦下のシリアに対する査察でどこまで真相に迫れるか、疑問が付きまとう。

今回の化学兵器廃棄合意には、さまざまな意見が上がっている。

「アサドが古き良き通常兵器を使うことに固執しているうちは、(今回の合意で)ほぼ切り抜けられることになる」憂鬱だ(オリバー・カム/イギリス紙「タイムス」論説委員・コラムニスト)

「私の声明/今回の合意は、アサド政権に対して、アメリカが軍事行動に踏み切れない弱さを見せてしまった」(ジョン・マケイン/アメリカ上院議員)

■ 用語

化学兵器禁止条約
「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」の通称。サリンなどの毒ガスや枯れ葉剤など、化学兵器の開発・生産・貯蔵・使用を禁止し、保有する化学兵器の廃棄を定めた条約。廃棄は原則として発効後10年以内。1992年国連総会で採択、1993年1月130か国により調印、1997年発効。締約国は189か国(2013年7月現在)。査察を担当するOPCW(化学兵器禁止機関)がハーグに設立されている。CWC(Chemical Weapons Convention)。

化学兵器禁止機関(OPCW)
《 Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons 》化学兵器禁止機関。化学兵器禁止条約(CWC)の実施のために、加盟国への査察などを行う国際機関。1997年発足。本部はハーグ。

今回の化学兵器廃棄合意は、シリア和平への一歩となるのか、それともアサド政権延命につながるのか。みなさまのご意見をお寄せください。

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米ロ、化学兵器廃棄で合意
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