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図書館総合展「"武雄市図書館"を検証する」全文(樋渡啓祐市長、糸賀雅児教授、CCC高橋聡さん、湯浅俊彦教授)−激論、進化する公立図書館か、公設民営のブックカフェか?

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TAKEO
猪谷千香
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オープンから半年で来館者数50万人を突破した佐賀県武雄市の「武雄市図書館」。TSUTAYAで知られる「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」(CCC)を指定管理者とし、図書カードにTカードを導入したり、スターバックスを併設したりと、これまでの公立図書館のイメージを覆す図書館として注目を集めている。しかし、一方でその手法は図書館界から多くの批判も受けてきた。

全国の図書館関係者が一堂に集うイベント「図書館総合展」では10月30日、フォーラム「“武雄市図書館”を検証する」を開催。武雄市の樋渡啓祐市長、武雄市図書館を担当するCCCプロジェクトリーダー、高橋聡さん、図書館政策や全国の図書館づくりに関わっている慶應義塾大学文学部の糸賀雅児教授をパネリストに、立命館大学文学部の湯浅俊彦教授をコーディネーターにして、激論がかわされた。果たして、武雄市図書館は「進化する公立図書館」か「公設民営のブックカフェ」か。今後の公立図書館のあり方を考える上で示唆に富んだその議論の全文を掲載する。

湯浅教授:武雄市の図書館のですね、少しだけ私の方から、利用者アンケートが2013年6月27日から7月1日までの間に図書館内であった。これは武雄市のホームページに載っていますが、「大いに満足」、「満足」あわせて8割。また、武雄市外から来られた方も86.6%というように利用者の評判はなかなかいい。どういった部分が満足しているのか、やはり一番に開館時間の延長とか年中無休ということ、それから販売用の書籍が読める、スターバックスが併設されている、館内で飲み物が飲める、自動貸出機、居心地のよい空間、Tカードで本の貸出ができる。たくさんの種類の購入、映画音楽の有料レンタル、こういったものが上げられていました。そして、文部科学省の課長が6月23日に、こういう評価をしたというのも、「武雄市長物語」に出ているものですけれども、ありました。こういったデータが色々ありますが、今日は生で、実はこのお三方、何の打ち合わせもなしにさっき控え室で顔を合わせただけという、ライブ感を大事にして話を進めていきたいと思います。まず、樋渡市長に4月1日の開館以降のことを報告といいますか、まずはどういうことになったのか、お話いただきたいと思います。

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湯浅教授、樋渡市長、高橋さん、糸賀教授(左から)

■ 樋渡市長「指定管理者をCCCに委託してよかったというのがこの半年の総括」

樋渡市長:みなさん、おはようございます。武雄市の樋渡です。4月1日にオープンして半年間で年度目標だった50万を超しました。一番驚いたのは、数よりも今まで図書館に縁遠かった層が次々にお越しになっている。2週間前から図書館運営協議会、これは図書館法で設置義務はないのですが、その報告を私は受けたのですが、その中の運営委員のひとりが、自分の旦那さんが今まで図書館に行ったことがなかったけれど、行くようになった。敷居がすごく低くなった。

それから、読み聞かせのスペースを1.4倍にしたんですね。これ批判が相当あるんですよ。半開放型にしちゃったんですが、人数的にいうと前の5倍、おみえになったということで、今まで図書館のコアな人たちから色々批判を、今日も批判をお受けすると思うのですが(笑)、今までの繰り返しになりますが、図書館に縁遠かった層がユーザーとしておこし頂いている。それから、うれしいのはこういう評価を、83%が評価というのがうれしいのですが、6%の方が毎日来ている。ある意味、自宅の延長として図書館をとらえているのが私としてはうれしくて、指定管理者という制度を使ってCCCに委託してよかったというのがこの半年の総括になります。

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湯浅教授:ありがとうございました。新聞等で報道されております通り、10月1日のプレスリリースで、半年間で52万人が来館したということで、今、6%が毎日来ているという話もありましたけども、若干その内訳を申し上げると、市内から59.3%、市外から31.7%、県外から9.0%ということで、約4割の方が市外県外から来られている。一日平均2814人、これは昨年比224%増。それから図書の貸出冊数が累計30万31冊と。これも前年比78%増ということで、その一日平均の貸出冊数は1640冊ということになっているようなのですが、この非常にたくさんの人が訪れる図書館に変貌したということがいえると思うのですが、このあたりで糸賀先生が実際に行かれてのご感想を含めてお願いしたいと思います。

■糸賀教授「これまでの図書館のモノサシで測れないし、測ってもいけない」

糸賀教授:今日本当に大勢の方がお集りいただきまして、後ろの方は立ち見も出てますので、我々終わってから楽屋で大入り袋が出るのだと思いますが。私、2度ほど武雄市図書館に、つい2週間ほど前にも立ち寄らせていただきました。実はその時、私どもの研究室で調査をさせていただき、実際に図書館の中をまわって、利用者の方や時には市内のお店の方にもお話をお伺いました。その時の感触をもとに少し、私のほうからこの武雄市図書館をどうみるかお話させていただきたいと思います。これは図書館と代官山蔦屋書店ですが、うまく融合していると思います。

武雄図書館をどう見るかですけれども、これまでの図書館のモノサシで測れないと思いますし、測ってもいけないと思います。これまでの図書館のモノサシを持ってくると、通路が狭いの、子供のコーナーとお手洗いが遠いの、車いすの対応はいかがなものかといった意見や、ちょっと本屋さんが全面に出過ぎじゃないかというような印象を持たれる方もいると思いますが、私はこれまでの図書館とは違った価値を実現させているんだというふうに理解しました。

それは特に集客力をもった「本のある公共空間」を生み出したということです。本をまわりにして、これだけの人が集まるというのは、なかなか素晴らしいことだと思います。みなさんが空間を楽しんでいる。もう一点、働いている従業員の方々がいきいきと本当に忙しそうに活動しているという光景も、多くの普通のこれまでの公共図書館では見られなかった光景なのかもしれません。

今、湯浅さんから紹介がありました、武雄市図書館の利用状況ですが、9月末まで上半期を終えた時点での公表されている数字です。この中で私が注目したいのは、対前年度比、来館者数は3.2倍、でも図書貸出数は1.6倍で丁度半分なんですね。来館者数と図書貸出数でみても、来館者数が353%、それに対して178%ですから丁度半分ぐらい。つまりこれは、お客さんはたくさん集まっているけれども、図書館としては本当にこれで成功したといえるのかどうか。これまでと同じであれば、来館者が3.2倍になって、貸出も3.2倍だと図書館もまずますうまくいっているのかなと思います。ここらあたりを注目したいと思います。

次にこれは丁度今月19日と20日、武雄市の図書館とすぐとなりの伊万里市民図書館の資料利用状況を比較しました。資料を持ち込みで使っている、ノートパソコンを持ち込んでいるのもここでは持ち込み資料にしています。そのほか、武雄市図書館では書店で売られているもの、書店の資料を見ている方もいます。その他というのは、書架の間を動いたり、スタバでコーヒーを飲んだり、サンドイッチをほおばったりしている、中にはゆっくり居眠りされている方もいましたけれども、その他になっております。

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ここで書店の資料の割合というところをみますと、ほぼ2割の方が本屋さんのスペースにいて、本屋さんの資料をご覧になっている。当然、伊万里には本屋さんはありませんので、割合はゼロになっています。それに対して、図書館資料を使っている方々の割合です。武雄の場合、19日が土曜日、20日が日曜日で週末大変お客さんの多い時ですけれども、どちらもほぼ2割の方が図書館資料を使っている。それに対して伊万里市民図書館は、入館者数は半分以下になりますが、図書館資料を使っている方は57.3%で半分を超えている。

私は、だから武雄が問題だとか悪いというのではなく、武雄はこれを図書館と見ることができるかどうか、ということなんですね。本ある公共空間なんですけれども、これを従来の目でみると、図書館資料を使っている人がものすごく少ない。そうじゃなくて、むしろカフェにいたり、本屋さんの資料を見ている方が多い。ただし、児童書コーナーを見ると、図書館資料を使っている子供さんが48.7%で半分近い方が使っています。逆に、児童書コーナーを除くと、さっきの図書館資料を使っているという20%の数字からもっと下がるんですね。児童書コーナーを除くと、15.5%に下がります。

■糸賀教授「市立図書館というよりは公設民営のブックカフェ」

ということから、集客力を持った本のある公共空間を実現させたという点ではユニークだし、貴重な試みだったと思います。今後の日本の図書館のあり方に大きなインパクトを与えると思います。ただ、率直に申し上げて、市立図書館というよりは「公設民営のブックカフェ」だと思う。スタバのところでゆっくりとおしゃべりをしながらお茶をしている方、雑誌を読んでいる方、そういう方が大変多い。ブックカフェと言いましたが、マガジンカフェと言ったほうがいいかもしれません。

「婦人画報」という雑誌が今月号で本屋散歩という特集を組んでいます。その中に武雄の図書館も紹介されるのですが、そこがなかなかふるっていて、本屋さんの紹介なんですね。したがって、「蔦屋書店武雄図書館店」の紹介のわきに、「図書館もある本屋さん」と書いてある。つまり図書館も使える本屋さん、しかもお茶を楽しめるというようになっている。これを地方自治体が設置した、そこに多くの人達が集まっている。ここがなかなかおもしろいところだし、今後、どんな価値を付け加えていくかがポイントになっていくのだろうと思います。

さて、他に武雄の図書館を見るポイントとして、Tポイントをどう見るかというのがあります。自動貸出機の利用でポイントをつけるのは、私はただちに営利目的とはいえないと思いますね。これが営利目的なら著作権法に触れるのではという意見もあるようですが、これは間接的に利益の増大につながるということでただちに図書館が営利目的に貸し出しをしているとは言えないと思います。ただし、加盟しているお店には有利にはたらくと思いますので、行政による利益誘導は若干、問題ではないかと思います。一部のお店でしか使えないんですね。したがって私はTポイントを市内のどこのお店でも使えるよう地域通貨にすれば、公平性は担保できるのではないかと思います。

それから、今もさきほどの数字で示しましたように、入館者の人数に比べて、図書館資料をお使いになっている方々は残念ながらそう多くはない。もちろんこれは、あらかじめ意図したことだったと言われるかもしれませんが、一般的な図書館に比べてその割合は多くない。図書館の資料を書棚の近く読めるスペースはもう少し欲しいなあと思いました。つまり、スタバの席はあるのですが、図書館資料をちょっとした専門書、分厚い辞典を読めるスペースが全くないとは言いませんが、もう少しあった方が図書館の利用が増えるのではないかと。

新聞雑誌コーナーはいかんせん、やはり小さいと思います。一方で雑誌を売っているだけに、あまり図書館の雑誌のスペースを大きくしないというのはいかがなものかと。それから地域資料ですね。武雄に関する地域資料をもう少し充実させる必要があるだろうと思います。地域資料が歴史の本と一緒になってまして、ちょっとわかりにくいところがあります。

それから、2階の政治法律書とビジネス経済関係の本は置かれているスペースがほとんど学生の勉強部屋、学習室のように結果的になってしまっている。特にキャットウォークにビジネス書や経済書を置いています。キャットウォークにはせり出したところがあります。あそこが閲覧室になっていまして、パソコンの持ち込み、学生さんが自分のものを持ち込んで勉強していて、たとえばビジネス関係の本を手にとろうとすると、時々後ろから振り向かれて高校生に睨まれちゃう(笑)。なんでこんなところに本を探しに来たんだという雰囲気がないわけではない。そこは図書館の資料が使いやすいような空間の演出が必要じゃないかと思います。

■糸賀教授「他の図書館でもNDC分類通りではないテーマ配架はある」

武雄独自分類ですが、面白いのですけれど、やっぱりその配架は大変わかりにくいという印象があります。今更、あの配架なり分類を変えるつもりはないとは思いますけれど、去年のフォーラムを聞いていてちょっと残念に思ったのが、全国どこの図書館も配架と分類を同じ順番でやっているところはまずありません。分類番号順通りに配架をしなければいけないわけではなくて、それぞれ独自にNDCで分類した後、本のまとまりは、暮らしに関するものとか、あるいは趣味に関するものとか並べております。

本との出会い、発見を考えた分類だとも言えますが、その本が元の場所にきちんと置かれているとは限らないので、再会だとか再発見だとか、図書館の本は本屋さんの本と違いまして、一旦貸し出されたものは必ず戻ってきます。その返却作業のことを考えると、もう少し体系的な配架にしたほうが良かったではないかと。もちろんこれは利用者目線に立つから、あくまでNDCを崩したんだと言われるかもしれませんけども、私は長期的に見た場合にあの配架は必ずしも見つけやすいとはいえないと思います。それから、出会いとか発見は当然、NDCで分類し、それぞれお客さんが興味を持つよう配架した場合でも起きています。

例えば、武雄市の図書館で少し気がかりだったのは、数学の分類ですね。これが自然科学の数学と人文の数学に2つに分かれているんですね。数学の棚が2カ所にあります。これはちょっと細かい指摘かもしれませんけれども、そういうふうな体系的な分類になっていないところが気になります。

これは武雄の図書館ではなりません。他の図書館に行ってみますと、NDCで分類しながらも、こうやって手芸、料理といったようにテーマをなじみやすいような言葉に表現を変えまして、書架のサインシステムに工夫をしています。必ずしもNDCの番号順通りに並んでおりません。畜産、林業、農業、園芸、この中にガーデニングだとか家庭菜園、ちゃんとそれはわかるようなサインで、そういう関係のペットだとか飼育、園芸、肥料、そういったものをひとつのまとまりに配架することはよく行われています。

これは伊万里の図書館ですけれども、暮らしの本コーナーのご案内ということで、料理や生活、おしゃれ、住まい、こういったものを1カ所にまとめるということはよくみられる図書館の様子です。ここが伊万里の図書館で、料理の本なんかを表紙を見せて展示しております。これはまた別の図書館ですけれども、暮らしという見出しのもとに、家庭医学の本を配架している例です。ここにはいわゆる闘病記なんですけれど、この分類番号を見ますと、社会福祉もあれば、医学もあります、文学に分類されているものもあります。いろいろな分野に分かれているものをこうやって闘病記だとか、同じ病いを患った家族を励ますような資料、本を集めているということは、これはほうぼうの図書館で最近は始めていることだと思います。

これは九州のまた別の図書館ですが、ここでは「仕事に役立つ本」というコーナーを設けて、資格、就職、労働経済、マネープラン、これが3番の棚で、2番を見ますと、やはり仕事に役立つ本として、経営管理、仕事の技術、ビジネスマナーといったものを色々な分野から集めてきているわけです。さらに「仕事美人になる本」なんていうコーナーを設けていまして、それぞれが工夫してやっています。

■糸賀教授「武雄市図書館の今後は来春の市長選再選が前提」

最後に武雄市図書館の今後ですけれども、来年春の市長選挙で現市長再選が前提になるということです。スタバと蔦屋書店を前面に出して、その売上を図書館スタッフの人件費に回すという経営構造が私は長続きするのかどうかが若干、気がかりです。管理業務仕様書にある管理基準9項目があるのですけれど、これを拝見しました。だけれども、曖昧な項目が多くて、図書館サービスの根幹部分が欠けているようにみえました。具体的にどういうことを達成していれば、指定管理者としての仕事ができているのかということが、他の指定管理者の場合の要求水準書だとか仕様書に比べると少し曖昧ではないかと感じます。

で、CCCのブランド力を向上させ、全国展開できるのか。やはり、同じような図書館がもう少し全国各地に広がっていかないとなかなか大変なのではないのかと。ただ、武雄の場合には初期投資をCCCはしていますので、しばらくは続くのだろうと思いますが、本当にこれが全国展開できるためには、これをもってCCCのブランド力を向上させる、従来のレンタルのTSUTAYAというイメージが強かったのですけれど、こういう文化だとか教育、場合によっては福祉、子育てといったように、かつて福武書店がベネッセに変わったように、大きく変わっていく可能性があるんであれば、こういう図書館が増えていって、本のある公共空間が増していく可能性はあるんだろうと思います。

したがって、いまの時点で私がいえることは、本来の公共空間に実際に人が集まる、つまり、本を中心にして人が集められるということを実証したということは高く評価したいと思います。一方、官では調達できない民のノウハウを活かしていると思いますね。これはなかなかああいったノウハウを官で調達できるのは難しいと思います。官の指定管理とはこういった民のノウハウを活かすところに魅力があったのだろうと思います。ただ、行政サービスとしての今後の継続性、あるいはさっきのTポイントにみられるような公平性、公立性が今後の焦点になるのではないかと思います。以上です。

■樋渡市長「いいご意見を頂いたんですけれど、ディテールが嘘ばっかり」

湯浅教授:ちょっとしゃべってくれると思ったら、糸賀講義になってしまいましたけれども、問題が非常に多岐にわたっていまして、ひとつひとつやっていかなければいけないなと思いました。まずは横でブツブツ怒っているので、樋渡市長に反論していただかないといけない。

CCC高橋さん:それ以前にこれって、先生の個人的意見なのか、図書館界総意でおっしゃっていることなのか?公人か個人か。

樋渡市長:先生ひどいっすよ。選挙と関係ないじゃないですか。だからこそ、そういう政治の意思を基本的にそぐために指定管理者があって、議会で議決をして5年間の任期を決めているじゃないですか。それを面白おかしく選挙を持ち込んでくるのは、このシンポジウムの意図に相当反していると思います。

基本的にいいご意見を頂いたんですけれど、ディテールがけっこう嘘ばっかりで、まずビジネス書のところなんですけど、2階の奥のところはパソコン禁止なんですよ。パソコンやっている人はたまに見ますけれども、ここはパソコンはできませんとちゃんと言います。居眠りした人は起こします。これは前のうちの図書館と大違いです。それと、パソコンできるところは、2階のキャットウォークのところにちゃんと置いてます。電源付きで。そこはちょっと誤解だと思います。

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それから地域資料のなんですけど、前とポーションと同じなんですよ。場所を先生はご覧になっていると思いますけれど、前とほとんど同じなんですよ。前と比べて地域資料が半分とかね、だったら批判を受けることはあると思うんですけれど、これは前と比較してほしいと。それが相応しいかはまた別の議論になる。だから、その批判にも当たらないと思います。

それと、よく批判にあって、来館者数が何倍でしたっけ、3.5倍? 貸出が1.7倍ですか? これ、もともと図書館に縁遠かった人が借りるのも、ちょっとハードルが高いんですよ。皆さんとは違うんですよ。我々とすれば、まずお越しいただいて、今度借りてみようかなって。ステップをワン、ツー、スリーというふうなステップで考えた方がいいと思っていて、いきなり来た人が借りるというのはなかなかハードルが高いというのがあるので。これはCCCと話していますが、段々伸びて行くと思っています。

それと、もともとなんでCCCにお願いしようと思ったかなんですけれど、私が市長に就任させていだいたのが7年前で、1年で365日じゃないですかそのうち95日も休んでたんですよ。図書館て。夕方の5時半には閉まってたんですよ。これは閉店図書館なんじゃないかということを言って。で、そこから2キロ先にTSUTAYAさんがあって、そこは365日で朝の10時から夜中の1時までやっていて、サービスというのはこれが基本じゃないかって。しかも、月曜日にほとんど休んでいた。そうすると、床屋さんとか美容室の方は行けないんですよ。なんでみんなが行けるような図書館にしたいよねというのが第一根本にあって、ユニバーサルサービスに近づけたい思いで、CCCさんのノウハウを我々の持っている運営力を合体させたものになります。それが前提にあります。だから、あの図書館であのスペースで椅子を置くのはちょっとしんどい。これだけ来館者の方が来るのは夢にも思っていなかったので、これは先生のご意見を取り入れて、もう少し椅子を増やさなければいけないなと思っては思っています。

■樋渡市長「町づくりのエンジンになりつつある」

湯浅教授:武雄の場合は昨年のフォーラムの中で、ひとつには利用していない人たちに来てもらう。わずか20%の人しか使えない、さあ使おうという時間帯、夕方以降閉まっている。それをまず改善したいとともに、まちおこし的な側面を前回のフォーラムで強調されていたと思います。例えば、旭山動物園や金沢21世紀美術館のようなものを武雄につくるんだという話もあったかと思います。そういった地域の活性化と、図書館がどう連動するのかという視点は、樋渡さんは開館してから半年経った今、どういう考えですか?

樋渡市長:地域の活性化でいうと、具体的な数字は持ち合わせていないのですが、明らかに宿泊者数やタクシーや飲食店の売上げを明らかに伸ばしています。伸ばしているところは3割伸ばしているという結果が出ていて、ここの図書館のそばに移り住んできたいという人もいて、近くにマンションもできます。ですので、そういう意味でいうと、この図書館があって、この近くに住みたいと。で、遠くの方もこんな図書館が近くにあったらいいよねとよく伺いますので、そういう意味ではまだ半年なので、町づくりのエンジンとまでにはいってませんが、徐々にエンジン化しているというのはすごく受けます。もう少し意図してなかった、我々は町の中に図書館をつくったつもりなんですが、図書館の中に町ができたという方々がいます。例えば、そこはコミュニティスペースになっていて、ヒューマニスティックな情報の発信になっている。久しぶりとかそういう会話がけっこう聞かれるんですよね。ですので、だんだん町づくりのエンジンになりつつあるのかなと思います。

湯浅教授:はい、ありがとうございます。糸賀先生、さっきけっこう細かなグラフを示されて、そこの資料を読んでいるか、書店の資料を読んでいるか、持ち込みの資料を読んでいるか、あるいはその他、雑談していたり居眠りしていたりといったことも分類の中に入るんでしょうけど、そういう部分と今、樋渡市長が言われたコミュニティスペースとしての側面、つまりそこに人が来なければ図書館も始まらないし、町も始まらない。そういう観点からは糸賀先生にはどんなふうに映ったのでしょうか?

■糸賀教授「ソーシャルキャピタルの場として武雄市図書館は有効に機能する」

糸賀教授:そこの点、すごく重要だと思うんですね。先ほどのプレゼンテーション、さっき高橋さんから確認が入りましたが、あれは完全に私の個人的な意見ですから。私は図書館界を代表する立場ではありませんし、図書館関係者がみんなそう思っているわけではありません。完全に個人的な意見です。それで、今の点ですけれども、私はあれだけの人が集まり、しかも市民だけではなくて、市外さらに県外からも人が集まっている。あのエネルギーをどうふうに地域の活性化につなげていくのか。いわゆる市民恊働の役割ですよね。

例えば、お年寄りが増えてくる、子供の安全をどう見守るのか。市民の力がないと、行政だけではできないわけです。これはいわゆるソーシャルキャピタルがどう形成されるのかです。私はソーシャルキャピタル形成の場として、あの武雄の図書館は有効に機能するだろうと思っている。その点は、本当に私は評価したいと思います。そういう意味で、従来の図書館ですと、教育委員会の中でも社会教育の役割だったり、首長含む部局の市民参画、市民協働課、あるいは町づくり課といったセクションが担当していく部分だと思います。武雄の場合はどこが担うのかよくわかりませんが、そういうところとの連携がうまくいくのであれば、面白いと思います。

CCCは基本的に民間の会社ですから、収益が出ないとなかなか続けられない側面があるのだろうと思います。そこをどういうふうに官と組むことで、実現させていくのか。やっぱり図書館だけではなくて、市民の子育てとか、福祉の問題だとか環境の問題ですね、そういういうところにつなげて行くための組織化、それが従来ですと人を集めて講座を開き、そこに集まった人が自主的に動いていくという道筋をどうつけられるかということも、今度の武雄市図書館の課題だと思います。

湯浅教授:この点はもう少しあとで振り返っていきたいと思うのですが、その前にもう一方の当事者であるCCCの高橋さんの方から、この半年間の自分たちが思ったより武雄の図書館が展開できたのか、あるいはこういったところがもう少しやりたい部分なのか、総括といいますか、まだ一年は経ってはいませんが、特に糸賀先生への反論なんかもしあれば、あわせてお願いしたいと思います。

■CCC高橋さん「武雄市図書館と他の図書館を比較することは意味がない」

CCC高橋さん:反論はないですね。やっと半年ぐらいたって、初めてやりましたので、最初はもう死ぬかと思いました。でもやっと落ち着いてきたというのが、今の足元状況でして、これからより市民価値高めていけたらなあと思っていまして。さっきの糸賀さんの話でいくと、僕はすでに武雄市図書館と他の図書館を比較するっていうことは意味ないんじゃないかなとちょっと思っていて。僕らは武雄市と組んで、武雄市の市民にとってどんな図書館がいいのかしか考えていないんですよ。一方で、さっきのお話を聞いていると、あるべき図書館象に対して、武雄市はどうだとみたいな議論にちょっとなっているんじゃないかなと思って。

やっぱりね、こう図書館っていうものに対して、図書館をどう見ているかってよりかは、市民価値にとって大事な図書館は何だってことに対して図書館、もっと言うと、あるべき像に対して自分のところはどう、じゃなくて、自分たちの地域の市民価値に対してどういう図書館像であるべきかを考えるのが、いま図書館に必要じゃないのかなと今、6カ月経って思っています。そういうところでいくと、色々なご批判はあるかもしれないですが、武雄市はまず第一に地域市民であって、地域社会にとって図書館はどういう意義があるのかということが、正直、立ち上げ前から立ち上げた後もあまりぶれてないです。

ですから、いろんな図書館と比較されるんですけど、なんとなくちょっとした違和感というか、ズレがあって、それはその地域にとって一番よい図書館であったらいいじゃないですかっていうのが僕のとらえ方で、武雄市の図書館は市民が利用者アンケートを取ると非常に良い結果が出て、本当に良かったなと思ってるんですけど、武雄市の利用者に関しては満足頂いているので、そういう意味でいくと、その市民価値に合わせた図書館になりえているので、いいとか悪いとかいうよりも、我々が佐賀県の小さな五万人の町でやったことを軸にして、自分たちの図書館が市民価値はどうだっていうことを見ていくきっかけになればいいじゃないかなって、6カ月たってちょっと思っています。

■樋渡市長「我々は提供者目線ではなく、利用者目線に立っている」

湯浅教授:はい、ありがとうございます。図書館界がどういうふうに映っているかは別として、そういう基準みたいなものから言えば、武雄は違う方向に行こうとしているのかもしれない。そういう意味ではこのフォーラムにたくさんの人がお集まり頂くのも、そういった側面があるんじゃないのかと思います。今までは若干、閉鎖的といいますか、その業界内のものが武雄には通じないものが出てきているんじゃないか。別に図書館界をぶっ潰すために何かを作ったわけじゃないと思うんですけれど………

CCC高橋さん:先生、全然違います。図書館界が閉鎖的とも思っていないし、ただ公立図書館にとってはその地域の人を第一に考えて軸を持つということが一番重要じゃないかなと僕らは思っているだけであって。別にそんなぶっ潰そうとか全然、思ってません(笑)。

樋渡市長:ちょっと補足すると僕らは今での別に批判するわけじゃないですけど、全国に3300あるんでしたっけ。私が知る限りですよ、どちらかというと提供者目線なんですよ。で、実際司書の方々がお越しになった時も「これってうまく回るですか」とかそういう質問が私にも多いんですね。我々はそれよりも先ほど高橋さんが市民価値と申し上げましたけど、市民にとってユーザーにとって来館者にとってこの図書館は満足するかどうかがポイントなんですね。

高橋さんの別の側面から言うと、そういう意味で提供者目線でよその図書館を視察するとか、ここは劣っているよねとか、ここはいいよねっていうようには全然、立っていないんですよ。でも、伊万里市民図書館には実に素晴らしいシステムがあるので、こういうところは柔軟に取り入れたいよねっていう議論はしています。あくまでも、くどいようですが、提供者目線じゃなくて、ユーザー目線に我々は立っている。なぜかというと例えばその方々が例えば市民であれば、納税者だから。納税者の観点に立ってこれは自分たちの税金で建っているわけじゃないですか。ですので、その人たちが満足することをする。だから今のところ、83%の方々が満足する、これは市民だけじゃないんですけれど、70%弱の来館者の方々がスタッフサービスについて満足をするということなので、それについては我々としても一定の評価をさせて頂いて、かつ糸賀先生からもありましたけれど、いろんな足りないところはどんどん修正していこうというのが基本的なスタンスです。

湯浅教授:はい、ありがとうございます。糸賀先生どうぞ。

■糸賀教授「図書館という言葉を使わなくてもよかった気がする」

糸賀教授:さっき言われるように従来の図書館と比較する必要はないし、私も確かに比較するのはナンセンスだと思うんですね。だとしたら、なぜ図書館ていうネーミングを使い、図書館ということを強調するんですかね?例えば私ね、行ってみて「武雄ナレッジパーク」とか「知のワンダーランド武雄ドーム」とかそういうふうに図書館という言葉を使わなくてもよかったような気もするんです。もちろん、その中に図書館のスペースはあるんですよ。でもあれを図書館といい、まして今日は図書館総合展ですよ。ここで取り上げるからには、じゃあどうしても従来の図書館とどこが違っていたのか私は強調した。そのことが武雄の今度の新しい魅力なんですよ。だから、図書館と言われちゃうとたぶん残念ながら多くの図書館関係者は私と同じで、「えっこれ図書館なの?」「やっぱり図書館じゃなくてブックカフェじゃない?」。で、やっぱりスタバが地元の人は嬉しいですね。人口5万の町にスタバができた。武雄にスタバがやってきた。これはやっぱりすごい魅力なんだと思います。違いますかね?

CCC高橋さん:これはもう概念の話になっちゃうんですけど、先生にとっては図書館じゃないかもしれないのですが、僕らにとっては図書館なんですよ。ただそれだけの話です。

糸賀教授:そのへんはタームが違っちゃうわけなんですね。でも今後ね、私は新しい図書館のあり方にこれはシフトしていくと思いますから、最初はちょっと異様に映るかもしれないけども、何年か経ったときにはああいう図書館は当たり前だったのねということになるかもしれない。その可能性は否定しません。

CCC高橋さん:「知のナレッジパーク」はあんまり………(笑)

樋渡市長:先生、ちょっと冷静に議論した方がいいと思うんですよ(笑)。あの、図書館法をご覧になっていると思うんですけど、図書館法っていうのは第二条のところで「この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設」なんですよ。ですので、これしか定義してないんですよ。だから、我々が思っている図書館というのは、人によって全然違っていて、図書館法って幅広いので、我々も高橋さんと同じように我々にとってあるべき図書館ではなくて、市民にとってあるべき図書館たらんと思っていて。もうひとついうと、みんなスターバックスをありたがっているわけじゃないですよ。別に。だって1000店舗あるわけじゃないですか。

CCC高橋さん:最初、オートバックスと間違えられてましたね(笑)。

樋渡市長:そう。最初、みんなオートバックスと勘違いしてたんですよ(笑)。いや高橋さん、ちゃちゃ入れてないで(笑)。そうじゃなくて、あれは体感価値なんですよ。体感価格。要するにうちのスターバックス、ちょっと数言うと高橋さんに怒られてしまうので言いませんけれど、売れているのが雑誌読み放題、本読み放題で、少なくとも私が知る限り、あそこだったら2000円から3000円出してもいいというのが私が聞いた素直な価値、体感価格なんですよ。それが、850円、高いですよ。武雄市民からすれば。でもなんで買っているかといえば、平均滞在時間が1時間や2時間とかいらして、あそこだったらこれだけ払ってもいいよと。スタバがありがたいとか全然、ないですよ。

■糸賀教授「かなりの部分が目的外使用で違和感を感じた」

糸賀教授:でも若い方ですと、スタバが来たのがうれしいらしくてね。それまでスタバっていったら、車で1時間ぐらいかけて県庁所在地のある佐賀か、県境超えた隣の長崎県佐世保に行かなければなかったのに、うちの町にできてうれしいという方もいらっしゃいました。

樋渡市長:それを……

糸賀教授:あの、図書館……ごめんなさい。図書館法の目的の話なんですが、さっき読んでいただいてそれはもう私もよくわかっているんですが(笑)、そうするとさっきの話に戻っちゃうんですが、あの施設のかなりの部分が目的外使用なんですね。スターバックスがあり、本屋さんが本を売っている、雑誌を売っている、あそこは目的外使用なんですよ。そうするとね、もちろん目的外使用は法律上何の問題もないし、ちゃんと手続き踏んでいるんでいいんですけども、あんなに目的外使用のスペースがあるものってやっぱり私は、図書館とはいえないなと。まして、利用者の方が使っているものが、図書館資料を使っている方が多いのであれば、ああこれは図書館に来たんだなと思いますが、たぶん来館者の方々の大半はスタバと雑誌を読みに来ているんですよ。だから、やっぱりこれは図書館とは名付けにくいなあと。ただ、繰り返し言いますが、今後はそういうふうなものが確かに増えていくのかもしれません。目的外使用のスペースがかなりの部分を占めているので、最初行った時に違和感を感じました。

(会場一部から拍手)

湯浅教授:それはいわゆる………なんか拍手が起こっていますね。えー、なんかこう政治的な雰囲気がしますけれど、糸賀先生のお話が私、コーディネートしていて見えにくかったのですけれど、ゆくゆくまあいろんな図書館が武雄のような方向性、つまり地域住民へのサービスを一番基本に置いて作りかえていくだろうと言いながら、今のお話だと、あれは目的外使用のものでただ人が来ているだけで、図書館資料なんて使われていないと言いたいようにも聞こえてくるんですが、それはどっちなんですか?武雄が今やろうとしている方向がいいと言っているのか、悪いと言っているのか。

糸賀教授:基本的には賛同ですよ。いいと思います。ああいう本となじむ、つまりスターバックスは読書という行為とすごくなじむんですね。ところが本屋さんにもたくさんできていますし。

湯浅教授:それは例えば、映画とか音楽とも関係がある?

糸賀教授:そういうものとなじむかもしれません。コラボできるかもしれません。ただその時にもう少し図書館の利用者を大事にしてもいいんじゃないかと。

湯浅教授:その図書館というのは、旧来のタイプの図書館という?

糸賀教授:正確にいえば、図書館スペースを使い、図書館資料を使う方をもう少し大事にしてもいいじゃないかと。例えば、閲覧席が足りない。さっき言ったように、開架の書架のあいだをブラウジングしようとすると、学習席で勉強している学生から「なにこいつ、このへんウロウロしているんだ」みたいに見られるのは、ちょっと図書館利用者には気の毒だなと。それから新聞雑誌のコーナーがいかんせん狭くて。あそこはすごく大勢の方が使っているんですよね。ああいうスペースは、全国の図書館を見ても、もう少し広げたほうがいいじゃないでしょうかと。

■樋渡市長「スペースは配置も含めて来館者が決める話」

湯浅教授:例えば、一般的な図書館の雑誌のタイトル数が、あの規模だったら何タイトルっていうのでいえば、武雄は非常に多いかと思うのですが、ただし販売も含めてとかですよね。それを否定的にとらえるのか、それは広がった話としてとらえるのか。それは糸賀先生の中で、私から見ると肯定しているのか否定しているのかわかりづらい。

糸賀教授:部分的には肯定するし、否定っていうよりはもう少し改善の余地があるんじゃないかなということです。

樋渡市長:確かに改善の余地はありますね。それはおっしゃる通りで、来館者の皆さんから言われていますので、それはその通りなんですね。で、目的外使用の件について数字で言いますと、もともと図書館は約1000坪あったんです。それで、前の図書館よりは187%、稼働面積ですよね、要するに一般の方々への面積を187%まで広げているんですよ。で何を縮小したかというと、あれ事務室100坪ぐらいあったよね?

あれを縮小したり、館長室をなくしたりして。あまりにも広大な事務室で、CCCの高橋さんがお越しになった時に、あの事務室に一番驚いたっていうことを言ってたよね?なんで、それでまず稼働面積を増やした。そして、どうなっているかというと、560坪が図書館ゾーンです。250坪が目的外使用の部分です。560たす250を足すと1000にならないじゃないですか。これは共有のスペースですね。これが多いか少ないかという議論は当然、あると思います。あると思いますが、これはあくまでも我々からすると、ユーザー、来館者が決める話だと思っているんですよ。配置も含めて。ですので、今のところこれでいいよねっていうのがほぼ大半で、我々はこれを評価して頂いている。

takeo

ただし、ディテールの部分は確かにそうおっしゃった通り。雑誌なんですけれど、うち約600タイトルはあるんですよ。あの図書館からすれば、トゥーマッチなんですね。なんでそうしたかといえば、これ販売なんです。館内では自由に読めます。コーヒーこぼした場合は買い取らなきゃいけない。僕、この間こぼしちゃいました、この前。買い取りました。そういう人たちがまだ10人未満なんですけど、そのうちのひとりが僕なんですが、それはともかくとして、自由に読める600タイトルね、買わなければいけないけれど、館内だったら自由に読めるという環境を我々が優先したのは、雑誌って毎月とか毎週、購入しなければいけないじゃないですか。図書館って。我々からするとこれはロスなんですね。それよりも、レガシー、図書館っていうのは本のレガシーを置くべきたという立場に立っているので、歴史的評価の定まった本を中心に置きたいと思っているので、雑誌についてそういう区分をしたということです。

■CCC高橋さん「図書館と書店の融合で著作者に新しい未来が開ける」

湯浅教授:それは出版業界との関係というのを若干、考えられているということですかね?高橋さん、どうですか。

CCC高橋さん:あの、難しい質問ですね、それ(笑)。考えていないわけではないんですけど、やっぱり僕らは図書館やる前に民業でずっと本屋さんをやってきたのですが、著作者の方であったり、出版界であったり、どんどん疲弊していっているのを肌で感じていて、武雄では本と図書館との融合をすることによって、著作者の方に何か新しい未来を開けているんじゃないかなっていうようなことになればいいなあと思っています。実際に林真理子さんの本棚だったり、ほかのベストセラーの本を置いているんですけれど、通常の図書館だと予約100件になってるんですけど、僕らは予約もとってますけれど、販売数で50冊60冊販売しているんで、そういう意味でいくと、本好きの方が来るという環境の中で、著作者の方の収入になる本の販売をしているというのは、全体にとってはひとつの処方かなと思います。

湯浅教授:出版業界でいえば、日本出版協会が武雄の問題について声明を出したりされているわけですが、これについてはどんなふうに?

CCC高橋さん:その後ちょっとコミュニケーション取らせていただいてないので、ちょっとわからないのですけど、オープンしてですね、販売数というものとどういうことになっているのかをちゃんとお伝えできればですね、ある意味、これまでの形よりかも、著作者の方にとっては、お得といったら変ですけれど、あるべき姿に多少は戻すきっかけになるようなことになっているというふうにご理解いただけるなと思っています。

湯浅教授:それは糸賀先生、前回のフォーラムでも私が糸賀先生にふった話題でもあるわけですが、当時、糸賀先生は2004年の「クローズアップ現代」で売られている本は8億冊、貸し出されている本は5億冊というのをテレビ番組の中で一生懸命強調されていたわけですけれど、それが今日、売られている貸し出されている、7億冊、7億冊で、貸し出されている本が若干、上回ってしまう状況になっている。出版業界の方は、このフォーラムにもいらっしゃると思いますが、図書館に対してかなり大きな感情を持っておられると思うんです。糸賀先生、今日の今の時点で武雄を見てですね、雑誌が600タイトルある、そういうことについてご意見賜りたいのですが。

■糸賀教授「読書をして本を買ってもらう人に育てる道筋がわかりにくい」

糸賀教授:図書館として出版界に配慮をする、つまり本の売れ行きを阻害することなく、むしろ読書人口を増やして、買ってもらう人を増やすことは必要だと思います。武雄を見ていて、雑誌は600ですが、実際に図書館においてある本は開架で確か30タイトルぐらいだと思うんですけどね、そこは私はもっと増やしてほしいし、雑誌のバックナンバーがほとんど開架に並んでいないのは使いにくいというふうに感じます。武雄はあれだけの集客力があって、読書人口や地域のために活動する人を増やす、それと同時にやっぱり読書人口を増やして、蔦屋書店でも買ってもらうし、図書館でも借りてもらう。

特に子供さんはそうは買えませんから、子供さんのコーナーはさっき数字で示しましたように、図書館資料を使っている子供さんや親御さんがあそこには多い。そういう人たちが将来、読書をして本を買ってもらう人に育てていくという、そういう道筋が私は現状ではわかりにくいということなんです。あれを見てもらうと、新着図書コーナーも、これは従来の図書館だと言われちゃえば、従来の図書館なんですが(笑)、新着図書コーナーが一番目立つところにあるんですが、武雄の新着図書はわかりにくい。むしろ、売れ行き、ベストセラーのランキングがずーっと出ている。これはむしろ、買ってもらいたいんじゃないか。借りてもらうよりも買ってもらいたいんじゃないかと深読みしてしまうので、そこの道筋がわかりにくい。

takeo

樋渡市長:先生、ちょっとそれ違いますよ(苦笑)。ベストセラーは奥のところに置いているじゃないですか。一番前のところは例えば今だったら、九州観光とか今までの図書館に見られなかったようなものを置いている。それから今度、ホリエモンさんたちも来ますけれど、そういう講演者方々の本を置いたりして、かなり変えているんですよ。一番手前に置いたところにそれがあるのは問題ですが、もう少しディテールをちゃんと言われた方がいいと思いますね。

糸賀教授:本の置いてあるところの手前ですよね、本の置いてある最初は文庫本かなんか売れている本が置いてあります。でも新着図書コーナーはちょっとわかりにくいところにあるのが残念です。

図書館総合展「"武雄市図書館"を検証する」全文(樋渡啓祐市長、糸賀雅児教授、CCC高橋聡さん、湯浅俊彦教授)−激論、武雄市図書館の今後とCCC図書館の全国展開につづく。

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