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アサヒ、プレミアムビール市場に本格参入 アベノミクス効果に期待

2013年12月12日 23時14分 JST

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アサヒグループホールディングス<2502.T>がプレミアムビール市場に本格参入する。ビール類市場は9年連続の減少が確実となる中、景気の回復傾向や「プチぜいたく」などの動きをフォローにして、2013年もプレミアムビール市場は拡大している。

数少ない成長市場に各社の注目が集まった結果、「ザ・プレミアム・モルツ」、「エビス」の2大ブランドと、「スーパードライ」」の派生商品が激突するという「消耗戦」が展開されそうで、この分野でいかに成長するかが、ビール業界の地図を塗り替えるきっかけになる可能性もある。

<アサヒ、ギフト好調で自信>

アサヒが12日に発表した「スーパードライ ドライプレミアム」は当初、ギフト用に展開していたが、2014年2月18日から通年商品として販売となる。

ギフト市場全体を押し上げた商品に育ったが、消費者から通年商品にしてほしいとの要望が強く、アルコール度数を6%に引き上げるなど商品性の「手直し」を図ったうえで、家庭用市場に投入されることになった。

アサヒビールの小路明善社長は「消費増税後も付加価値の高い商品に対する潜在ニーズは強い。プレミアム市場は堅調に拡大していくとみている」と述べ、消費者ニーズに応えた商品展開であると強調した。

年間の販売計画は320万ケース(1ケースは大瓶633ミリリットルX20本)。1000万ケースを超えれば定番商品と言われる業界だが「プレミアムを確実に、堅実に評価してもらいたい。大きな販売目標を掲げて、価格戦争的な商品にすることは避けたい」とし、息長く市場を育て、販売数を増やしていく方針を説明した。

「ドライプレミアム」は、中元・歳暮のギフト用として、今年6月に発売を開始。当初120万セットとしていた販売計画を3回上方修正し、現在は320万セットの計画となっている。「ドライプレミアム」の発売も話題となり、ビール中元ギフト市場は、全体で16年ぶりにプラスになったという。

<プレミアム市場は2年連続増加>

若者のビール離れ、人口減、高齢化などに加え、缶チューハイなどRTD(Ready toDrink)を含めた他のアルコールへのシフトもあり、ビール系飲料の総需要は9年連続での前年割れが確実な情勢となっている。

こうした中で伸びているのが、安価な新ジャンルとプレミアムビールだ。「消費の2極化という流れで、アベノミクスによって景気の先行きに明るい兆しが出たことが、プレミアム市場の拡大につながっている」とアサヒの森田健・マーケティング本部長は分析する。実際、プレミアム市場は12年、13年と2年連続で拡大し、各社にとって貴重な市場となっている。

サントリーによると、今年1―11月期でプレミアムビール市場は前年同期比7%伸びている。同社は、今年初にプレミアムビール市場を4%増と見込んでいたが、12日に7%増の2900万ケースへと上方修正した。「本格的にビール需要が出てきた中で、アサヒがギフト用にドライプレミアムを出したことが、さらなる市場活性化につながった」(関係者)という。

業界では「ドライプレミアム」の通年商品化が、一段の市場活性化につながるという期待が強い。

2014年4月の消費増税時に、業界が期待していたビールの税金引き下げという酒税改正は見送られた。高率な酒税に加えて、消費税率引き上げがあり、総需要への影響は避けられそうもない。数量の減少傾向が続くことを前提とするならば、利益率の高いプレミアムビールは、各社ともに伸ばしたいカテゴリーとなりそうだ。

ただ、今回のアサヒの参戦で、プレミアムビール市場での販売合戦が、格段に激しくなるのは確実だ。マーケティングや広告宣伝費の増加も予想され、思うように販売増につなげられなければ、収益悪化要因にもなりかねない。成長市場だけに、ここでの勝敗が、ビール各社の業績に影響を与えることもありそうだ。

[東京 12日 ロイター]

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