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イスラム国が内部分裂? フセイン元大統領の支持者が過激思想を非難

2014年09月17日 14時44分 JST
時事通信社

過激派組織「イスラム国」は、シリアおよびイラク各地で破壊行為を続けており、今では狂信的な宗教過激派の代名詞となった。にもかかわらず、同組織は皮肉にも、かつての独裁者サダム・フセインが所属していたイラク・バアス党の党員と強い同盟関係を結んでおり、上層部には先のフセイン政権支持者が多数含まれている、と「ニューヨーク・タイムズ」紙が伝えている

イスラム国が今年前半、イラクの都市を相次いで支配下に置いた際に、軍事的な専門知識を多く提供したのは、フセイン政権時の軍人たちだったとされている

しかし、「バアス主義は根本的に、宗教とは関係のない汎アラブ運動であり、汎イスラム運動とは長年にわたり反目し合ってきた。だから、その2つが手を結ぶのはそもそも不自然だ――そう指摘するのは、「ニュー・アメリカ財団」のテロ対策専門家ブライアン・フィッシュマン氏だ(バアス主義は、西洋によって線引きされた国家群を解体し、統一したアラブ民族による国家を建国することを目的としているが、アラブの近代化も大前提としているため、イスラム原理主義とはそもそも対立している)。

イスラム国が国境を越えた宗教体制を敷こうとする一方、バアス主義者は、アメリカによる2003年のイラク侵攻以前に手にしていた政権の回復を目指す。しかし、双方ともスンニ派(スンナ派)勢力を擁護し、イラクのヌーリー・マリキ前首相による独裁的かつ分派主義的なやり方に反対する姿勢では一致している。

双方が実用的な考えに立って結んだ同盟は、イスラム国が目的を果たす上での原動力となってきた。しかしここにきて、イスラム国の過激思想が、双方の関係に亀裂を生んでおり、バアス主義者とイスラム国戦士が互いに優位に立つべく競い合っている、とロイターは伝える

アナリストらが「Foreign Policy」に対して述べているところによると、フセイン政権の元支持者たちは今年6月、イスラム国による少数派虐殺を非難する声明を発表。イスラム国のやり方と距離を置くきっかけになったという(英訳された声明はこちら)。

また、イラクのニュースサイト「Niqash」は8月28日、スンニ派の民兵組織と部族指導者らが、イラク中部の都市ファルージャの支配権を、イスラム国とその同盟者から奪い取り、過激派を撃退する計画を立てていると報じた

「バアス主義者らもこれまで、罪のない人々の殺害に手を染めてきました。決して受容的ではありません」とフィッシュマン氏は語る。「(イスラム国との)違いは、バアス主義者らの目的は宗教色が薄く、よりナショナリスト的であることです。人を拷問したり殺害したりもしますが、その一方で、少数派や部族らの支持を獲得したいと考えています」

「バアス主義者たちは政治への関与を求めていますが、イスラム国は戦争がしたいのです」と同氏は続けた。

「サダム・フセインのかつての支持者たち」と「宗教的な反乱軍」との不仲は、アメリカにとって、イスラム国を弱体化させる上での最大の機会となるかもしれない、と「Foreign Policy」は指摘している

「イラクの広い地域を支配下に収め、人々を恐怖に陥れているイスラム国の残虐行為を食い止める上で、喜ばしい知らせです」と、人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の上級研究員レッタ・タイラー氏も、「Foreign Policy」の中で述べている。

とはいえ、弱体化がうまくいくかどうかは、民兵組織が実際にイスラム国の兵力を圧倒できるかどうかにかかっていると言える。

「スンニ派勢力と敵対する他組織がみな、うまい具合にイスラム国に反旗を翻してくれる可能性はあまり高くありません」。ジハード主義の専門家アイマン・アル・タミミ氏は先ごろ、「London Review of Books」に対してそう語っている。「彼らが抵抗するつもりなら、イスラム国が勢力を持ちすぎる前に、できるだけ早く行動を起こさなければなりません」

[Charlotte Alfred(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

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