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盗まれたiPhoneを追って、ニューヨークから中国へ。その心温まる物語

2015年04月06日 18時58分 JST | 更新 2015年04月08日 23時24分 JST
Twitter / mattstopera

2014年2月、アメリカのインターネットメディア「Buzzfeed」エディターのマット・ストペラさんは、ニューヨークのバーで、カウンターに置いていた自分のiPhoneを盗まれた。店に後から入ってきた誰かが持って行ったようだが、iPhoneは結局、見つからなかった。

それから約1年後、ストペラさんは自宅で、新しく買ったスマホのiCloudフォトストリームを見ていて驚いた。そこには、自分が撮った覚えのない写真が、大量にアップロードされていたのだ。中には、オレンジの木をバックに自撮りする男性の写真も20枚近く含まれていた。「誰だよ、このオレンジ野郎?」

友人の一人に聞いてみた。「ああ、そのiPhoneは今、たぶん中国だね。盗まれたiPhoneはほとんど中国に行くんだよ」。ストペラさんはアップルストアで確認した。iPhoneはまだオンラインだった。

2月18日、ストペラさんはBuzzfeedで、これまでの顛末を記事にした。記事はすぐに中国語に翻訳され、話題になった。ストペラさんのTwitterに中国からのメンションが続々と飛んできた。みんな「オレンジ野郎」を探してくれていた。

ストペラさんは中国のTwitterにあたる微博(Weibo)を始めた。やがてついに、「オレンジ野郎」を見つけてくれたネットユーザーが現れた。

ストペラさんは「オレンジ野郎」と微博を通じてつながり、メッセージのやりとりを始めた。

2015年3月、「オレンジ野郎」は、ストペラさんを中国に招待してくれることになった。

「オレンジ野郎」は中国南部・広東省の梅州という街に住んでいた。まずニューヨークから北京に飛んで、広東省東部の汕頭へ。そこから車で1時間半のところにある街だ。ストペラさんはホテルを予約していたが、前日にすべてキャンセルした。オレンジ野郎が「大丈夫、全部俺に任せておけ!」と言ったからだ。

フライトは極めて平穏だったが、北京から汕頭へ向かう飛行機の中で、女性が「マットさんですか?」と声をかけてきた。深夜便で、寝ていたストペラさんに、女性は便箋1枚に英語でメッセージを残していった。「中国のあなたのファンより」

空港に降り立ったストペラさんを待っていたのは…

大勢の報道陣だった!

ストペラさんはそこで、「オレンジ野郎」からiPhoneを返してもらった。自分がつけた、見覚えのある凹みがあった。

ストペラさんが知った顛末は、こんな感じだった。

ニューヨークで盗まれたiPhoneは、まず香港に渡った。ここはほとんどの盗まれた携帯電話が集まる場所だ。そこから対岸にある広東省の深圳へと運ばれていた。深圳は、世界最大の中古携帯電話市場がある街だそうだ。

「オレンジ野郎」のいとこがその携帯をプレゼントに買っていった。だから携帯はニューヨーク→香港→深圳→梅州と渡っていたんだ。

「オレンジ野郎」がもらった携帯には、僕の写真も全部入っていたけど、消去しなかった。携帯を盗んだ奴の写真もあった。でも「オレンジ野郎」が僕の携帯をもらったのは2014年の8月だったのに、写真の同期は2015年1月になってから始まった。これは今でも謎だ。

僕が新しい携帯で撮った写真も、「オレンジ野郎」の携帯のフォトストリームにアップロードされていた。でも「オレンジ野郎」は、その写真をひたすら消去していたんだ。

I Followed My Stolen iPhone Across The World, Became A Celebrity In China, And Found A Friend For Lifeより 2015/04/01 09:14)

翌日の地元紙の1面を飾った。

「オレンジ野郎」は、梅州近郊の街で大きなレストランを経営していた。そこでもまた、大勢のカメラに囲まれることになった。

記者会見も開かれた。

9日間、「オレンジ野郎」は、盛大にストペラさんをもてなした。

この模様は中国中央テレビでも放送され、南部の街・梅州が中国全土で一躍有名になった。最終日は2人で微博の本社を訪れ、まるでVIPのような待遇も受けた。ストペラさんによると、2人の出会いを追った微博の投稿は、7000万ページビューを超えたという。

ストペラさんは記事に書いた。「こんなことってあるんだね。ありがとう、スティーブ・ジョブズ!」

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