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【安保法案】集団的自衛権、憲法制定時からこんなに変わった

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安全保障法案が7月15日、衆院特別委員会で可決され、16日には衆院本会議にかけられる。日本が直接攻撃されていなくても戦闘に加わることができる「集団的自衛権」を認める内容が盛り込まれ、日本が他国から攻撃されるリスクが高まるという指摘もある。

もともと憲法9条で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定められており、憲法制定時の政府は「日本に自衛権はあっても行使することができない」と考えていた。しかし、日本をめぐる安全保障環境が変化するたびに、日本政府は「わが国に軍隊はない」と主張しながらも、自衛隊が活動できる範囲を変えるなど、憲法に対する解釈を変えてきた。

戦後、日本における自衛権のあり方はこれまでどのように変わってきたのか。その推移を振り返ってみよう。

japansecuritybills

■憲法制定時「自衛権の行使は認められていない」

憲法制定時でも、日本政府は自国に自衛権があるとの考え方を取っていた。しかし、憲法9条2項によって、「一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄した」と当時の吉田茂首相は発言しており、憲法によって自衛権の行使が認められないと解釈していた。

■米ソ冷戦「武力によらざる自衛権」

自衛権が認められない当時、万が一の場合には国連軍が日本を守ることが想定されていた。しかし、米ソ冷戦が勃発。吉田首相は1950年1月、「武力によらざる自衛権を日本は持つ」と発言し、その後のアメリカとの軍事同盟の成立を匂わせた。旧日米安全保障条約が結ばれたのは1951年だった

■自衛隊ができる「必要最小限度の実力」

そして1950年6月、朝鮮戦争が勃発。警察予備隊などを経て1954年に自衛隊が設立される。当時の鳩山一郎首相は「自衛のための必要最小限度の武力を行使することは認められている」と発言。「自衛のための必要最小限度を超える実力」ではないので、「自衛隊は軍隊ではない」と解釈されることになった。

しかし、1954年6月には、参院本会議で「海外出動はこれを行わない」とする決議が参議院本会議で可決され、自衛権の活動の限界も設けられた。その後、自衛権発動のための3要件(旧3要件)も決められ、おおまかな範囲が決められた。

■自衛隊、PKOに参加へ「PKOは武力行使にあたらない」

冷戦終結後の1991年、湾岸戦争が勃発。日本は130億ドル(当時の日本円で1兆4000億円)を拠出したが、自衛隊を派遣しなかったことでアメリカなどから評価を得られなかった

ペルシャ湾岸の機雷除去のため、自衛隊が派遣されたのは、湾岸戦争終結後のことだ。戦争終了後の公海上の作業として、海上自衛隊の通常業務という解釈がなされた。

1992年、宮沢内閣は「国際平和協力法(PKO協力法)」を成立させた。紛争地の平和維持活動(PKO)に自衛隊が参加できるよう法制化された。PKOは紛争当事者間の停戦合意が成立していることなどから、武力行使にあたらないとされた。自衛隊員の武器使用は「隊員個人の生命・身体を守るための必要最小限の武器使用は、憲法の禁じる武力行使にはあたらない」とした。1992年9月から約1年、カンボジアにのべ1200人が派遣された。

■北朝鮮核危機など「後方地域での米軍支援は武力行使にあたらない」

1993年3月、北朝鮮は核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退を表明し、核兵器開発の意思を示す。さらに、1996年には中国が台湾を威嚇(いかく)する事態が起きるなど、日本周辺で危機が高まった。

アメリカは日本に協力を求め、日本周辺で起きる有事に備え、1978年に米ソの対立を想定してつくられた日米ガイドラインが、1997年に改定された。

このときは「後方地域」という言葉を使い、戦闘がなさそうな場所であれば、他国の軍隊による武力行使を日本が支援する「武力の一体化」にはあたらないとし、1999年に「周辺事態法」を成立させた。

■9.11「非戦闘地域での多国籍軍支援は武力行使にあたらない」

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件後のアフガニスタン戦争や2003年のイラク戦争をめぐり、日本政府は国連安保理決議を受け、自衛隊を派遣することを決める

非戦闘地域であれば自衛隊はアメリカ軍だけでなく、多国籍軍への支援を可能とする「テロ特別措置法」を10月29日に成立させた。これにより、自衛隊が活動できる地理的範囲が拡大。日本領域に加えて、公海及びその上空、そして外国の領域での支援活動などが認められた。

しかし、戦闘地域と非戦闘地域を明確に線引きをすることは困難で、民主党の岡田克也代表に「非戦闘地域」の定義を求められた当時の小泉純一郎首相は、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」と答弁した。

■第2次安倍政権「集団的自衛権は行使できる。場所も限定しない」

安倍首相は2014年、自衛権発動の3要件を見直し(新3要件)、集団的自衛権が行使できるとした。

これを受けて2015年5月14日、政府は安保法制の関連11法案を閣議決定。「周辺事態法」の名前を「重要影響事態法案」と変更するなど、地理的観念を含む言葉を排除している。

また、重要影響事態法案では集団的自衛権について定めるのに対し、「国際平和支援法」という新法では、日本に影響がなくても国際社会が一致して対応すべき戦争や紛争が起きた場合に、自衛隊を派遣することを想定。自衛隊は紛争を未然に防ぐ活動もできるようにする。

さらに、自衛隊の活動内容も拡大。テロ特措法では認められていなかった武器・弾薬の補給なども可能になる

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安保関連法案・国会の内と外
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