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【LGBT】同性愛者の女子高生に聞いてみた。学校や大人に何を求めますか?

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A view of a Japanese school classroom, traditional wooden desks and chairs, and blackboard. Interior shot, nobody, horizontal composition. | urbancow via Getty Images
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東京都の渋谷区世田谷区では2015年秋から、同性カップルに対するパートナーシップを認める制度を本格的にスタートさせた。LGBTなどのセクシュアル・マイノリティに対する社会的理解は少しずつ深まっているが、思春期の子どもたちを預かる学校教育の現場では、環境が整っているとはいえない。特に当事者の子どもたちにとっては、学校で正しい知識が得られないことや、教師や友人たちに理解してもらえないことなど、大人が想像する以上に悩みは深い。

東京都の地域自殺対策緊急強化補助事業として2013年に実施された「LGBTの学校生活に関する実態調査」では、84%の回答者が、学校でLGBTをネタにしたからかいを見聞きした経験があった。それだけではなく、回答者の68%がLGBTであることを理由に暴力やいじめを受けており、担任の教師が加害者だったケースも12%あったという。

当事者の子どもたちは今、学校や大人たちに何を求めているのだろうか。自身の将来をどんなふうに描けているのだろうか。SNSで知り合った高校3年生の18歳女性で、同性愛者である「りぃな」さん(ハンドルネーム)に訊ねてみた。

■セクシュアル・マイノリティについて知識が得られず混乱

初めてりぃなさんを知ったのは、通っている高校でLGBTに対する理解が得られないことを悩むSNS投稿だった。何度かメールのやり取りを経て、東海地方に暮らすりぃなさんが上京する機会にインタビューを行った。

まず、りぃなさんのメールや実際に会った印象は、「聡明な女子高生」だった。高校生とは思えないほど落ち着いていて、きっと学校でも教師や友人たちから信頼が厚いのだろうと想像できた。少し話すと、時事問題にも詳しいことがわかった。どうしてそんなにニュースをよく見ているのか、その理由を聞いてみると、苦笑気味の返事が戻ってきた。

「ドラマは異性愛ばかりで感情移入できないし、バラエティはオネエタレントやオカマなどを笑いのネタにすることが多いので見ていて、あまり良い気持ちはしません。消去法でニュースばかり見ることになっています」

りぃなさんが初めて、セクシャル・マイノリティであることを自覚したのは、小学校6年生(12歳)の時だった。恋愛の対象が同性であるということに気づいたが、もちろん、知識はない。

「女性が好きであるということは、自分は本当は男性なのだと考えて、納得しようと思っていました。でも、服装の趣味など恋愛以外においては女性で特に問題なかったので、性同一障害ではないなと不思議でした」

中学に入ってインターネットを使うようになり、中学2年生(14歳)の時に、同性愛やセクシュアル・マイノリティという概念を知って、やっと自身のことを理解できた。ただ、理解はできたものの、悩みが解決するわけではなかった。

「テレビのお笑い番組に出てくる同性愛者のタレントを、親が気持ち悪いと言ったり、見下したりしていました。私もそういうふうにとらえないといけないのかと思い、素直に受け入れてきた。ですから、自分が当事者であると気づいた時には、自分自身が気持ち悪いという拒絶感があり、自尊心がズタボロになってしまいました」

りぃなさんは、自分自身を受け入れようと努力したものの、誰にも相談できない状況の中、「生きていてもあまり楽しくない」と無気力になっていったという。


■ネットで知ったサークルに参加してやっと未来が描けた

転機が訪れたのは、高校2年生(17歳)になってから。保守的な地方都市の家庭や学校にあって、年々、深くなる悩みをどうしたら解決できるのか。相変わらず、情報を得ることには苦労があった。当時、地元の図書館にあった本を見ても、情報が古かったり、差別的でネガティブだったりと参考にはならなかった。

「学校の図書室にも一応、関連の本はあるのですが、貸出カウンターの目の前にある人権ゾーンに並んでいて、立ち寄りづらい(笑)。カウンターに人がいなくて、利用者も少ない時をねらって読んでみましたが、『病気じゃないし、伝染病じゃないよ』みたいなことが書いてあって、内容も古かったですね」

必然的に、ネットから情報を得ていたところ、ある時、自分が暮らす街にもセクシュアル・マイノリティの人たちが集まるサークルがあると知り、思い切って参加してみた。

「その時、悩んでいるのは自分だけではないし、セクシュアル・マイノリティといっても、色々なマイノリティの方がいることを知り、少しずつ自分を受け入れられるようになりました」と振り返る。サークルのイベントなどに顔を出しているうちに、同じ悩みを持つ友人を作ることができた。

「皆さんのお話を聞くと、ご家庭などでつらい目にあっているのに、ニコニコと普通に生活されていました。自分がマイノリティだとしても、楽しく生きることができるのかなと、やっと将来のモデルを見つけることができました。それまでは、本当にお先真っ暗だと考えていましたので……」

例えば、自分よりも少し年上の大学生が、就活で『本当はこういうリクルートスーツを着たいけど無理』、『就職しても制服があるところは厳しいよね』など、等身大の悩みを打ち明けてくれる。大学に進学して、就職はどういうところが良いかなど、初めて自分の未来をリアルに描くことができた。

■学校の友人たちに初めてカミングアウトして友情が深まる

学校でも家でも、自分のことを話せなかったりぃなさんだが、最近、やっと学校で親しくしている友人たちにカミングアウトすることができた。友人たちが楽しく恋愛話に花を咲かせているのに参加できない、といった学校生活の辛さを抱えていたりぃなさんは、体調を崩して授業を休みがちになってしまった。心配した友人が、「どうしたの?」と優しく訊ねてくれた。思わず、打ち明けた。

「本当のことを話すのはすごく怖かったのですが、友人の態度は変わりませんでした。『仲良くしてたけど、距離を感じていた』とも言われました。打ち明けてから、より一層、友情が深まっています」

最初にカミングアウトできたのは、親しい友人数人だけだったが、日頃から慕っている教師に伝えたことがある。人柄の良い教師は知識不足から、りぃなさんが当事者だと知ると一時はパニックになったという。

「まさか、自分の生徒にいるとは思っていなかったようで(苦笑)。今でも、良くして頂いていますが、いろいろと考えるきっかけにはしてもらえたのかなと思います。ただ、私は3年生で卒業が近いので、もしも先生と関係が悪くなってもかまわないと割り切れたけど、1、2年生だったら無理だったでしょうね」

学校生活は友人たちの支えがあって落ち着いてきたが、家族に打ち明けるつもりはないという。

「私の親はニュースをよく見ていますので、セクシュアル・マイノリティの社会的な状況は理解していますが、身近にいるとは思っていません。ただ、娘が何かで悩んでいるというのは気づいたらしく、聞かれるので、『友達とのことで悩んでいるとか』とごまかしています。親は、何か育て方が悪かったのではと自分を責めるタイプですし、私に普通の結婚をして、孫を産んでくれると期待しています。私のことは、知らずに人生を終えてもらった方がいいのかなと思ったりもします。でも、今は親の家で親のお金で暮らしているので、親に本当のことを言えないのはつらいです」


■若い世代のマイノリティも生きやすい未来をつくる

りぃなさんが今、学校や大人たちに望むことは何だろうか?

「保健の教科書は、今でも『思春期になると異性へ恋をする』という表現があります。家庭科や保健の教科書は、『男女で結婚し家庭を築き、女性は出産・育児をする』という価値観が基本です。『同性に恋する』はもちろん、『結婚しない』『出産しない』の選択肢が、そもそも見受けられません。

教師やスクールカウンセラーにしても、セクシュアル・マイノリティに関する知識を持っていません。養護教諭は一応、性同一性障害の知識はあるのですが、それ以外についてはあまり知りません。最近、関東地方の一部では、自主的な勉強会が広がっているようなのですが、まだまだ一部です」

セクシュアル・マイノリティや多様な家族のあり方への理解が十分ではないと、りぃなさんは感じている。りぃなさんの高校や教師が特別というわけではなく、これが日本の一般的な教育現場なのだろう。りぃなさんは、重ねて話す。

「マイノリティを優遇してほしいのではなく、疎外感をなくして、普通になじませてほしいだけなんです」

りぃなさんの目を通じて見る今の社会は、マジョリティの大人たちを中心に動いているようだ。しかし、それでも少しずつ変化の芽は育っていると、りぃなさんは期待を寄せる。

「自分たちの親世代は『結婚したら女は家に入る』という感覚が強いのですが、今の10代、20代が親になった時は、もっと性差はなくなっていくと思います。この間、女性の先生が出産後、早めに学校に復帰してきたのですが、旦那さんが育休を取ったと聞いて、生徒たちは『旦那さん、かっこいい!』と盛り上がっていました。私の親はその話にピンときてないようでしたけれど」

高校3年生のりぃなさんは今、来春の大学進学を目指して受験勉強をしている。

「大学に進学したら、資格などたくさん取って、自分が働きたいと思える会社に就職したいです。もしも、マイノリティにとって働きづらいと感じたら、転職したり、自分で会社を立ち上げたり、NPO活動をして生きやすい社会を自分の手で作るしかないのかなとも考え始めています」

将来を決して楽観視はできないりぃなさんだが、サークルで知り合った40代のセクシュアル・マイノリティの人が語っていた言葉に希望を見出している。

「ここ10年でここまで変わるとは思わなかったとおっしゃっていました。ですから、これから10年後、もっとすごいことになっているかもしれないという期待も、ちょっとしています」

りぃなさんたちのような若い世代が、希望を抱き、生きやすいと感じる未来を作ることは、私たち大人の責任でもあるだろう。10年後のりぃなさんたちのために。

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