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裁判官が性的写真を投稿して厳重注意 弁護士からは「裁判所は個人を殺すべきでない」の声も

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JUDGE
いらすと屋
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Twitter上に半裸の自身の写真などを投稿したとして、東京高裁の岡口基一裁判官(50)が高裁長官から6月21日、口頭で厳重注意を受けた。朝日新聞デジタルなどが報じた。一方、この注意に疑問を表明し、裁判官を擁護する法曹関係者も多い。

朝日新聞によると、問題とされた裁判官の投稿は、2014年4月~16年3月の3件。本人のツイートによるとそのうち一つは「SMバーの女王様に俺が実験台になって縛ってもらいました(^_^)」とのコメントと共に、自身とみられる男性が縄で縛られている画像を投稿したもの。

高裁の渡部勇次事務局長は27日、「現職裁判官が裁判官の品位と裁判所に対する国民の信頼を傷つける行為をしたことは、誠に遺憾です」とのコメントを発表した。

Twitterで厳重注意に対して疑問の声を挙げている、弁護士の南和行さん(なんもり法律事務所)は、ハフポスト日本版の取材に対して「裁判所は個人を殺すようなことをするべきでない」と話している。

――南さんは2015年から既にハッシュタグ「#okjの自由」で裁判官の自由について発言されています

はい、「オッケー!裁判官(J)の自由」という意味です。元々は、「要件事実」の学問領域で研究を重ねられ本もたくさん執筆しておられる岡口裁判官が講演会をしようとした際に、裁判所の当局側から快く思っていない旨の発言があったという話を聞いて作ったものです。個人の問題としてではなく、裁判所のそういう姿勢について疑問に感じました。自由な研究や外部との交流を権力側が阻止することは、良くないのではないかという思いで作成しました。

――今回の厳重注意という東京高裁の判断をどう考えますか

私たち弁護士は、裁判官を信用して仕事をしています。裁判所ではなく、人を信用しているのです。だからどんな人が裁いているのかは重要なことです。それなのに、裁判所は個人のキャラクターが見えるということをすごく強く禁止しますよね。人としての仕事を権力側が封じ込め、「無色透明であること」イコール優秀であり、ロボットやAIみたいな人を組織として求めているという意思を感じます。そこに危機感を感じました。極端に言うと、個人としての個性を封じることは「人間の判断は信用がおけない」と言っているかのようです。裁判所だけでなく役所や省庁もですね。裁判所が個人を殺すことには反対しなければならない。

――一方で、裁判所側は裁判官のプロフィールをウェブに掲載しています

裁判所側も略歴や信条などを掲載していますよね。若いときはどこに住んでいただとか。裁判所は国民を裁き、権利を守るところですから、どんな人か知りたいという国民の要求に応えなければいけないということは裁判所側もわかっているからですよね。それなのに、個人としての発信を封じ込めることは裁判所への信頼を低下させ、裁判の不活性につながると思います。自ら裁判の存立を放棄しています。それをダメと言わなければいい司法になるとは思えません。

――裁判官の「品位」「信頼を傷つけた」という高裁のコメントをどう考えますか

今回の岡口さんの投稿が「下品」「悪ふざけ」と思う人がいることは私も理解できます。だからと言って、多数の人の好き嫌いや快・不快の感情が、職務上のペナルティになるというのはおかしいです。私自身も、ゲイであることをカミングアウトして活動しています。もしもそのことを「気持ち悪い」と思う人がいたとして、それを私の仕事への評価と結びつけられるようなことがあってはならない。「感情の多数派」を公の評価に結びつけることを公権力がし始めると、裁判官としての独立した仕事ができなくなります。一般多数の意見ではなく、裁判官への評価は裁判でどんな判断をしたのか、個別の事件にどう向き合ったのかで判断されるべきです。

    ◇

■カンニング竹山さんもツイート

岡口裁判官は、法律関連の著書を多数出版。また、Twitterでも、頻繁に法律や司法関係のニュースにコメントするなど、人気の投稿者だ。

お笑い芸人、カンニング竹山さんも、岡口裁判官への応援を表現したものとみられるツイートを行っている。

■自身でも反省のコメントをツイート

注意を受けた後、岡口裁判官は自身でも「国民の皆様に多大なるご迷惑をおかけした」とする反省文をツイート。注意に対する賛否は表明していないが、一方で「裁判官の市民的な自由、特に、表現の自由が事実上制限されている現状を変える必要があります。自由のない人に市民の自由は守れない」とする別の弁護士のコメントなどをリツイートしている。

■裁判官の身分

司法権の独立を守り、公平な裁判を行うため、裁判官は通常の公務員よりも手厚い身分保障がされている。

憲法78条の規定で、裁判官は心身の故障を除いて「弾劾裁判」以外では罷免されず、行政機関は懲戒処分をすることができないと定められている。また、懲戒処分の手続きに関しては裁判官分限法に定められている。この裁判官が所属する高裁が懲戒処分を下す場合、最高裁に「分限裁判」を申し立てる手続きが必要となっている。

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