「麻薬戦争は世界中のすべての戦争よりも危険度が高い」コロンビアのサントス大統領が演説

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ノーベル平和賞を受賞したコロンビアのファン・マヌエル・サントス大統領が12月10日、ノルウェーの首都オスロの「グランド・ホテル」のバルコニーに立ち、平和を願うたいまつ行列に手を振る様子。サントス大統領は授賞式の間、麻薬との戦いのあり方を見直すよう世界に問いかけた

南米コロンビアのファン・マヌエル・サントス大統領は12月10日、ノーベル平和賞受諾スピーチで、麻薬との戦い方を見直すように訴え、「全世界の武力紛争を束にしても、これほど危険なものはない」と述べた。

コロンビアでは反政府ゲリラ組織「コロンビア革命軍」(FARC)との内戦が52年間にわたって続き、内戦終結の是非を問う国民投票では否決されたものの、FARCとの合意内容を一部修正し、コロンビアの上下両院の承認で11月30日に和平が成立した。


【参考記事】コロンビア内戦の和平合意が成立、半世紀にわたる戦いに終止符「歴史的な支援に感謝」

サントス大統領は麻薬問題を武力で解決することに強い拒絶反応を示した。サントス大統領のこうした姿勢は近年南米諸国の指導者から賞賛を集めており、終わりが見えない、明らかに不毛な麻薬撲滅の軍事的解決手段を放棄する輪が広がっている。

しかし12月10日にノルウェーの首都オスロでサントス大統領が発したメッセージは、出席したラテンアメリカ諸国の首脳たちの普段の発言より踏み込んだものだった。特にアメリカと同盟関係にある国に対しては厳しいものだった。

サントス大統領の発言には重みがあった。ノーベル平和賞受賞者であり、世界で最もコカ栽培が盛んなコロンビアで、アメリカの対外援助を何十億ドルも受けて、麻薬撲滅戦争を防衛大臣として積極に指揮した経験があるからだ。

「麻薬撲滅のために戦争するのは、世界中で進行中の戦争すべてと同じくらい、あるいはそれ以上に無意味なものです」と大統領が述べると、聴衆の間から拍手が沸いた。「ですから、そろそろ戦略を考え直さねばならない時期に来ているのです」

サントス大統領はスピーチの持ち時間の大部分を使って、就任から4年間でFARCとの内戦終結を目指す和解交渉について語った。内戦終結は、サントス大統領の代表的な功績だ。

サントス大統領は半世紀に及ぶ内戦の犠牲者について聴衆に語りかけ、立ち上がって「犠牲者に哀悼の意を表す」よう要請した。コロンビア政府軍と、ノルウェーやキューバなど、内戦終結に協力した各国政府に感謝の意を表し、「彼らの協力があったからこそ和平プロセスが進み、ゲリラの反政府活動に終止符が打つことができた」と述べた。さらに聴衆に対して「戦争なき世界」をぜひ想像してほしいと訴え、FARCとの和平交渉について語った。和平合意は国民投票で否決され、危うくご破算になりかけたが、結果成立したことを引き合いに出し、「不可能は可能にできる」ことを示すものだと述べた。


【参考記事】コロンビア内戦終結、国民投票で否決 「反対」が0.47%上回る

しかし、サントス大統領は世界中の麻薬撲滅戦争に対して、自分は疑念を高めており、批判せざるを得ないという気持ちがあると語った。

サントス大統領は、「アメリカで州によってマリファナが自由に売買できるようになった今、なぜ我が国のマリファナを栽培する小規模農家を逮捕するよう求められるのか、理解できない」と述べた。長期に及んだコロンビア内戦と組織犯罪を引き合いに出し、懲罰的な政策を取っても麻薬密売の阻止にはまるで効果がないと語った。

「麻薬密売を撲滅する戦いを何十年も続けていますが、この地球という共同体で暴力と腐敗の温床となっている戦争の根源を制御できていません。このことを認める道徳的義務が我々にはあるのです」と、サントス大統領は語った。

南米主要国の指導者たちが近年になって連帯し、世界中の政府に対し麻薬問題を武力で解決するのではなく、麻薬の非犯罪化を中心とした政策をとり、麻薬依存の問題を警察・司法ではなく公衆衛生当局の手にゆだねるよう強く求めている。世界最大の非合法麻薬の市場であるアメリカの街中から麻薬を一掃するため、メキシコやブラジルで、毎年何十万もの人間を殺害する不毛な重荷を外国政府が背負う必要があるのか、疑問を投げかけている。

近年のアメリカ主導による麻薬戦争に批判的な各国首脳のほとんど(元メキシコ大統領エルネスト・セディージョヴィセンテ・フォックス、ブラジルの元大統領エンリケ・カルドーソなど)が、公職を引退後、麻薬戦争に関する政策変更を求める提言をしている。

アメリカの麻薬撲滅政策に批判的な首脳は、最近になって少数ながら改革に取り組んでいる。アメリカ政府からの強硬な反対などもちろん意に介していない。

ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領(愛称「ペペ」)はラテンアメリカ諸国で初めて嗜好用マリファナを合法化する法案に署名したとき、非合法化は政策として誤っていると強く主張した。アメリカ国務省は、自国の複数の州で合法化の動きが広まっているにもかかわらず、抑制的ではあるがムヒカ元大統領を批判している

ボリビアのエボ・モラレス大統領はアメリカの麻薬取締局の職員を国外追放処分にしたため、オバマ政権から非難されたが、自国の麻薬取締プログラムは成功している。違法なコカの栽培を抑えると同時に、小規模なコカの販売は保護している。さらに最終的に麻薬密売市場に流れることになる違法作物を栽培する農家に対しては、代替作物の栽培を奨励している。

アンデス山脈では、先住民は昔からコカの葉をかんだり、茶葉と混ぜてお茶にして飲んでいる。効果が穏やかで合法な刺激物という扱いで、コーヒーのように扱われている。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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