ジャニーズの後輩たちに受け継がれる、SMAPが蒔いた"種"

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ジャニーズの後輩たちに受け継がれる、SMAPが蒔いた“種”

様々な角度からSMAPに迫る連載第20弾。ついに、SMAPが解散を宣言した12月31日がやってきた。同日夜には、彼らのいない『第67回NHK紅白歌合戦』が放送され、多くの後輩たちが出場する。放送を前にした記者会見で後輩たちは、口々に偉大な先輩への想いを語った。SMAPが蒔いた“種”は、後輩たちに、そしてファンの中にどんな“花”を咲かせるのだろうか。

◆紅白会見で“偉大な先輩”SMAPに後輩たちが語った言葉

 『第67回NHK紅白歌合戦』のリハーサルで、ジャニーズ事務所の後輩たちが、次々に“偉大な先輩”であるSMAPについてコメントしている。それぞれが、SMAPが従来のアイドルの概念を打ち破ったパイオニアであることに言及し、学んだこと、教えられたことを胸に自分たちなりに頑張ると宣言していた。

 これまで、様々なジャニーズのグループを取材しながら、彼らが所属する事務所のジャニー喜多川社長は、タレントのコメント一つにもダメ出しすると何度か聞いたことがある。記者会見のあとなど、メンバーが5人いようが7人いようが、他の人と似たようなことを話すな、印象に残ることを言わないと新聞やテレビで使われない、というように諭すのだそうだ。ジャニーズ以外にも、たくさんの俳優やミュージシャンやタレントを取材する立場からよく思うのは、確かにジャニーズ事務所所属のアーティストは、短時間で心に残る、あるいは心に引っかかるコメントをするのがうまい。ちょっとキザな言い方をすれば、どこからか借りてきたのではない、自分の中から湧き上がる“言葉の世界”がある人たちが多いのである。もちろん、それについてはSMAPの5人が最たるものだろう。

◆国分太一、KinKi、嵐……それぞれが抱いた想い

 今回のSMAPに対するコメントで特に印象的だったのは、TOKIOの国分太一が『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)最終回の翌日、『白熱ライブビビット』(TBS系)で吐露した「SMAPを認めてしまったら、あの先輩にかなわないかもしれないと思ったりしたから、数年前とか “なんだろうなこのグループ、あんまり好きになれない”と思ったこともあったんです」という後輩なりの“本音”。デビュー前は、(SMAPの前身の)スケートボーイズの一員としてSMAPのメンバーとともに光GENJIのバックで踊ったこともある国分が、前日の“スマスマ”最終回を観て、「こんなこともやってたんだSMAPは。(SMAPを認められなかった)俺、小っちぇな」と思ったそうだ。

 “紅白”の記者会見では、デビュー前からSMAPのバックを長く務め、SMAPのことを“兄さん”と慕うKinKi Kidsの堂本剛が、「本当に大きな存在で、その存在は変わることなく、僕たちはいつものようにお兄さんたちのことを尊敬し、愛し、生きていくんだろうなと思います」と語った。嵐の大野智は、「一緒にお仕事させていただいたこともたくさんある。僕らにとっても一種の宝物」と語り、櫻井翔は「誰も経験してこなかったことを最初に切り開いてくれた方々」とその功績を讃え、松本潤は「国立競技場でライブをやっているのを見て、自分たちもいつか立ちたいなと思っていた」と、先輩から受けた刺激について素直に発言した。また、Sexy Zoneの菊池風磨は、「僕らだけではなく、全国民の皆さんにとっても、SMAPは永遠にSMAP。追いつけ追い越せの精神で、僕らも飛躍できたらと思っています。本当に大好きな先輩です」と、若手ながら堂々とコメントしたという。2015年1月放送のドラマ『新ナニワ金融道』(フジテレビ系)で中居正広と共演したこともあり、当時のインタビューでは、中居からバッグをプレゼントされたことを嬉しそうに語っていたことを思い出す。

◆後輩もファンも“SMAPチルドレン”、朝日新聞広告にも一つの“花”が

 SMAPは、アイドルの活躍の場を歌番組やコンサートやドラマや舞台以外に、バラエティーに情報番組にと、テレビでの活躍の場を広げ、それまでティーン中心だったファン層を“オトナ女子”や“男市場”にまで開拓。コンサートやCDセールスで次々に新たな記録を打ち立て、災害があれば真っ先に行動し、後輩たちのことも積極的に引き立て、スターになってもなおたくさんの挫折を経験しながら、力を合わせて立ちはだかる壁を乗り越えてきた。そんな彼らに憧れ、背中を見て育った後輩は、明らかにSMAPの魂を受け継ぐ“SMAPチルドレン”なのだろう。以前このコラムで、“自分たちにできることを”と行動するファンもまた“SMAPチルドレン”だと書いたことがある。そして30日、朝日新聞に載った“SMAP応援プロジェクト”の広告に、SMAPスピリッツというかSMAPが咲かせた愛の花を見た気がした。そこに自分の名を連ねられなかったことを、激しく後悔した。

 花は、やがて実を結び、実の中には種が宿る。それが地中に蒔かれて芽を出し、いつかまた花を咲かせる。ファンのやっていることは自己満足とか慰めに過ぎないと、揶揄する人もまだまだ多い。もう彼らを解放してやれ、そっとしておいてやれよ、とそんな声も聞こえる。でも、例えばあの新聞広告で、ファンは“解散しないで”と嘆願しているわけでもないし、“戻ってきて”と強要しているわけでもない。SMAPが教えてくれた助け合いの精神を、「これからも私たちが受け継ぎます」と宣言しているだけだ。解散という事実は事実として受け止めながら、でもSMAPという花が一旦散った後に実った果実があって、その中に宿る愛の種は、後輩や、ファンの心にもう蒔かれてしまった。だから、その種が育って花を咲かせ実を結ぶ営みを、これからも決して絶やしたりはしないと、目に見える形で誓いを立てただけだ。

◆“SMAPのいない2017年”ではなく、種を抱き花を咲かせる時

 それにしても、つくづくSMAPは常に何かと戦っているグループだと思う。初期の頃、SMAPは瞬時に一斉を風靡した光GENJIという巨大な壁と比べられながら、アイドルという偏見と戦ってきた。人気者になってからも、メンバーが脱退したり、不祥事を起こしたり、アイドルのタブーを破ったり。“国民的”という看板を背負い、常に結果を出さなければならないプレッシャーもあっただろう。でも、彼らがずっと戦ってきたからこそ、私たちはいろんな“特別な景色”を見せてもらえた。『SMAP 25 YEARS』も、騒動があったからこそSMAPの“人類愛”が炸裂した選曲になり、結果、奇跡のように美しいアルバムに仕上がっている。映像集『Clip! Smap!』にしても、“こんな映像が残っていたなんて!”というサプライズが満載で、現時点でファンには“スマロス”に陥っている暇などないと感じられるほど、SMAPの音楽と映像が周りには溢れている。この連載にしても、文章を書いてこんなに大勢の人から反響をいただいたのはライター生活でも初めてのことだ。読者との出会いもまた、SMAPがくれた種が咲かせてくれた花。そして何よりあの新聞広告は、本当に美しい大輪の花だ。不条理を乗り越えようとしてファンが咲かせた心の花である。それを見たとき、私はあまりの美しさに涙しそうになった。きっとSMAPは、ファンにとっても後輩にとっても、彼らに仕事で関わった人たちにとっても、永遠の“花咲か兄さん”なのだろう。

 後輩たちはSMAPの見せてくれた背中をずっとずっと追いかけ、ファンはSMAPがくれた愛の種を胸に生きる。形式上は解散しても、新曲を心待ちにできなくても、5人でのコンサートの予定がなくても、菊池風磨の言った通りSMAPは永遠にSMAPのまま。堂本剛と同様に、これからもずっと彼ら5人を愛し、生きていくだけなのである。
(文/菊地陽子)


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