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プレミアムフライデーに、ツッコミたい。午後3時退社って「就業規則違反」じゃないの?

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BUSINESS MAN TROUBLE
Shot of a businessman looking anxious in front of his laptop at workhttp://195.154.178.81/DATA/i_collage/pi/shoots/806097.jpg | PeopleImages via Getty Images
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毎月最終週の金曜日は午後3時に退勤するよう呼びかけ、個人消費を促す取り組み「プレミアムフライデー」が2月24日から始まったが、ふと疑問に思ったことがある。

1日の勤務時間が「9時〜18時」など就業規則で固定されている会社の場合、定時の前である午後3時に退勤すると、1日分の所定労働時間に満たないとして「就業規則違反」になってしまうのではないか?そして「就業規則違反」とみなされた場合、給与の減額といった罰則の対象になってしまうのではないか?

それでは、そもそも午後3時に帰るなんて出来るはずがない。フレックスタイム制といった変形労働時間制度を採用している会社なら可能かもしれないが…。

「午後3時に帰ろう」と呼びかけるプレミアムフライデーは、本当に実現可能な施策なのか?企業がプレミアムフライデーを導入するにあたり、どのような障壁があるのか?

こういった疑問を、日本企業に勤める法務担当者と、労働問題を専門とする弁護士にぶつけてみた。前編、後編でお伝えする。

■午後3時退社=就業規則違反で減給になる?法務担当の人に聞いてみた

社員数約5000人規模の会社(サービス業)に勤める知人の法務担当者にメール取材し、冒頭で述べたような疑問点について率直に聞いてみた。彼は社内で雑談的にプレミアムフライデーの導入について同僚や上司と話したことがあるという。

——就業規則で、1日の勤務時間が「9時〜18時」など固定されている場合、午後3時に退勤したら規則違反になる?

そうした労働時間制度を「固定時間制度」と言うのですが、その場合、確かに午後3時に退勤することは原則的に就業規則等に違反することになると言えます。実際には、1日の所定労働時間に満たないとして給与の減額が行われると考えられます。

——では、固定時間制度を採用している会社は、規則等を変更しないと社員を「午後3時」に帰らせることは出来ない?

そうですね。有給消化を強制する、朝の始業時間を早める、就業規則等を変更してフレックスタイム制を導入するなど、何らかの対応策を講じるしかありません。

——話を聞く限り、結局「午後3時退勤」ではなくて「半休」などの有給消化を促す方が現実的なのでは...?

そうだと思います。自分の会社でも、以下のような制度を導入するのはどうかと雑談的に話してみましたが...

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全社員に対して毎月半日分だけの有給休暇を付与(その有給休暇は、その月で使わないと消滅してしまい翌月には持ち越されないとする)

月末金曜日に使ってもらうよう呼びかける
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賛成意見はそこそこ上がりましたが、一部の営業や常に忙しい部署からは、「どうせ消化できないからそんなの導入される方がムカつく」と言われてしまいました。各部署間の不公平間を解消することは難しいようです。

(※)プレミアムフライデー導入を決定した大和ハウス株式会社は、このやり方を採用している。同社が発表した実施内容には、「最終金曜日は就業時間を『9〜18時』等から全社一律で『8〜17時』に変更し、午後は半日有休とします」とある。

office trouble

——ちなみに、フレックスタイム制なら「午後3時退勤」は問題ない?

フレックスタイム制に一般的な、「1カ月単位の清算期間+コアタイムあり(出勤必須の時間帯)」という制度を採用している会社を想定して回答しますね。

この場合、午後3時に退勤する日があったとしても、通常はそれがコアタイム外であり、清算期間である1カ月単位の総労働時間が満たされていれば給与が減額されることはありません。

そのため、フレックスタイム制を採用している場合は、プレミアムフライデーを導入する障壁は低いと言えます。ただ、介護や育児などを理由に残業を全くしない人にとっては1カ月単位の所定労働時間不足が生じ、実質減給になってしまうリスクがあります。

法務担当者の回答は、プレミアムフライデー導入に対する障壁は企業によって大きく異なるという実情を浮き彫りにしている。

業務時間が規則で定められている会社の場合は、「午後3時退社」を「半休」に置き換えたり、規則を変更したり、何かしらの形で対策が必要になる。プレミアムフライデー導入をどう実現するか?その方法は完全に企業側の判断に委ねられており、決定に至るまでのプロセスを鑑みると、導入にあたって企業側にかかる負担は決して小さくない。

また、法務担当者の話をふまえると、フレックスタイム制を採用している会社にとってプレミアムフライデーは導入しやすい制度であると言える。しかし、2015年に厚生労働省が発表した就労条件総合調査によると、フレックスタイム制を採用している企業の割合はわずか4.3%しかない。フレックスタイム制の枠内だけで、午後3時退勤を実現しようとすると、本当にごく一握りの企業しか対応できないことになる。

法務担当として働く者として、プレミアムフライデー制度についてどのような考えを持っているか。最後に意見を聞いた。

「法令の義務ではないので、よほど世間的なアピールをしたい大企業や『働き方改革』を積極的に促進する企業でない限り、導入は進まないのではないかと思います。経済産業省や厚生労働省といった政府機関が、ガイドラインを出して人事・法務的な論点に指針を示してほしいですよね」

⇒後編「プレミアムフライデーは日本に定着するのか?労働問題に詳しい弁護士に聞いた」はこちら

2月24日は、ハフィントンポストでもプレミアムフライデーを実施します。当日は「#みんな3時に帰れる?」というハッシュタグで、メンバーがその時何をしているのかTwitterで呟く予定です。みなさんの状況や、プレミアムフライデーに対する率直なご意見もお待ちしておりますので、ハッシュタグをつけてツイートしてください。
集まったご意見は参考にさせていただき、場合によっては、記事内でご紹介させていただきます。