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女性の名前で仕事のメールを送ってみたら......見えない差別に気づいたある男性の話

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MAN EMAIL
Young businessman is shocked by something he sees on his laptop monitor. | LittleBee80 via Getty Images
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ペンシルベニア州フィラデルフィアに住むマーティン R. シュナイダーさんは、ある日間違って女性の同僚、ニコル・ハルベルクさんの名前でクライアントにメールを送ってしまった。

そしてそれは、思いもよらないような結末になった。彼は女性が「目に見えにくい形での差別」に直面しているという現実に気付かされたのだ。

一体どんな出来事だったのだろう。一連の出来事にショックを受けたシュナイダーさんは、彼とニコルさんがどんな経験をしたかをTwitterでシェアした。

ニコルと私は小さな人材サービス会社で働いているのですが、私たちの上司はいつも、ニコルがクライアントに時間をかけすぎていると文句を言っています。

私は彼女の監督係を任されていますが、これを大きな問題だとは思っていませんでした。私の方が仕事が早いのは、経験が長いからだろう、くらいに捉えていました。

だけど上司の手前、一応彼女の仕事振りを観察して、もっとスピードをあげるように求めました。でも、指導する私も指導されるニコルも、楽しくなかった。彼女は必死になって、もっと仕事を早くこなそうとしました。

ある日、私はひとりのクライアントとメールで履歴書のやりとりをしていました。彼は手に負えないほど失礼なクライアントでした。軽蔑するような態度をとっただけでなく、私の質問をことごとく無視しました。

私に、自分のやり方は業界の常識であり(私に言わせれば常識ではない)、私が彼の使っている用語を理解できていないと言いました(いや、理解していた)。

彼のどうしようもない態度に辟易した私は、あることに気付きました。ニコルと私は受信ボックスを一緒に使っていたため、全てのメールが「ニコル」の名前で送られていたのです。

彼が失礼な態度を取っていたのは、私ではなくニコルだったのです。そこで私はこんなメールを送ってみました「こんにちは。私はマーティンと言います。このプロジェクトをニコルから引き継ぎました」

途端に、彼の態度が変わりました。私のアドバイスを受け入れ、感謝し始めました。すぐにメールの返信がきて「素晴らしい質問ですね!」と書かれていました。手に負えないクライアントが、素晴らしいクライアントに早変わりしたのです。

念のために伝えておくと、私は指導の仕方やアドバイスを何一つ変えていません。ただ一つ変わったのは、名前が男性になったことだけです。

そこでニコルに、いつもこんな具合なのかと聞きました。彼女は「毎回というわけじゃないけれど、しょっちゅうあることです」と答えました。

そこで我々は、実験をしてみることにしました。2週間お互いの名前を交換する、という実験です。私はニコルのメールアドレスを使い、ニコルは私のメールアドレスを使う。どうなったと思いますか?

私にとっては悪夢のような2週間になりました。質問や提案はことごとく疑問視され、寝ながらだって対応できるようなクライアントでさえも、見下ろすような態度をとってきました。中には、私が独身かどうか聞いてきた人もいました。

一方のニコルにとっては、これまでで一番が仕事がはかどる2週間になりました。私は気が付きました。彼女がクライアントとの仕事に時間がかかっていた理由は、クライアントに自分が信頼できる人間であることを、相手に納得させなければいけなかったからなんだと。

彼女がそれをしている間に、私は一人のクライアントにかかる仕事の半分を終えていました。

私が彼女より仕事ができるわけではなかったんです。私には、見えないアドバンテージがあったんです。

私は上司にそれを説明しました。しかし、彼は信じませんでした。信じないのであればそれで結構、と私は彼に言いました。しかしその後二度と、仕事のスピードをあげるようニコルに求めませんでした。

結局上司は、望んでいた通り仕事のスピードを早めることはできませんでいた。しかし、別のやり方で(ここでは書きませんが)仕事を早く終わらせるようにしつこく求めてきました。

何より最悪なのは、この出来事が私にとってはものすごくショックだったにもかかわらず、ニコルはとってはごく当たり前だったことです。彼女はこれも仕事のうちだと考えていました。

シュナイダーさんのTwitterは大勢の人にシェアされた。その後、女性側の視点を伝えたいと、ニコル・ハルベルクさんは「女性として働く」というタイトルのエッセーをブログサイト「ミディアム」に寄稿した。

ハルベルクさんはエッセーの中で、職場での女性差別は思っていたよりひどいことに気付いた、とつづっている。

今回のメール事件以外でも、こんな出来事があったそうだ。男性社員が途中で脱落した厳しいトレーニングをハルベルクさんが見事に終えた後、上司はこうハルベルクさんを褒めた。

「上司は私と、そして自分自身を褒めました。『私は女性を雇おうと思っていなかったんだ。だけど雇ってよかった。自分を誇りに思っていい。山のような応募書類の中から、きみの書類が残ったんだ。それを見て、女の子を試してもみてもいいな、と思った』面白い考え方だと思って、こう聞きました。『どうして女性を雇おうと思わなかったんですか』『そりゃ、男同士で楽しんでいたからね。雰囲気が変わって欲しくなかったんだ』」

この上司は「仕事が遅い」とハルベルクさんを責めた男性と同一人物だ。メール事件の後、彼はハルベルクさんにこう言った。

「『クライアントが、人によって違う反応をするのには理由がある。仕事のやり方かもしれないし、能力かもしれない。本当の理由が何なのかはわからないよ』。働いて2年。私は初めて、冷静さを失いそうになりました」

ハルベルクさんは結局、その人材サービス会社を辞めた。ミディアムにエッセーを投稿した理由を「多くの人に、この出来事を知って欲しかったし、これは黙って見過ごせない重要なことでしたから」とハフィントンポストUS版に語った。

「私たち女性は、権力のある男性を恐れて何もできないという悔しい思いを、何度も何度も味わっています。だけど、それでは何も変わりません。でも自分の身を危険にさらしたくないという女性の気持ちは、とてもよくわかります」

ハルベルクさん自身は、今回の出来事を公にしても将来の職探しには影響しないだろう、と考えたそうだ。また、これは女性に関わる問題だったから、彼女自身が一連の出来事をどう感じたかも伝えたかった、と語った。

「私から、今回の出来事はどう見えたかを伝えるのも大切だと思ったんです。自分が関わったストーリーですから、私の声も伝えたかった」

ハフィントンポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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