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運転免許の写真に「パスタの湯切りボウル」 アメリカでなぜ認められた?

2017年06月08日 17時25分 JST
ショーン・コーベットさんのTwitterより

運転免許証には、帽子など頭を隠すものを着用した写真は通常使用できない。宗教や健康上の理由で認められる場合があるが、どうやら「パスタの湯切りボウル」という宗教とは縁遠そうなアイテムの着用もそれに該当するようだ。

アメリカ・アリゾナ州のショーン・コーベットさんがこのほど、パスタの湯切りボウルを被った写真を運転免許証に使用することが認められたと、CNNなどが報じた。

コーベットさんは6月1日、自身のTwitterに免許証の写真を投稿。そこには、笑顔でパスタのボウルをかぶる姿が写っている。

「アリゾナ州で初めて免許証に、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教を示した。これは大きなニュースで、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教のコミュニティーの大勝利だ」などとコメントしている。

ふざけているようにみえるかもしれないが、彼は大真面目だ。信仰の自由のための行動だと話しているという。

なぜ、湯切りボウルをかぶることが信仰に当たるのか。

USAトゥデイによると、コーベットさんは3年ほど前から、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教(Pastafarianism)」と呼ばれる団体の信者になった。

信仰心を表現する手段として、信者が頭に湯切りボウルを被っている。

■何度も拒否された末、2年ごしに免許写真に

コーベットさんは数年間にわたり、申請しては拒否され続けた末、ようやく湯切りボウルを被った写真の使用が認められたという。

CNNによると、コーベットさんは複数の免許センターを訪れ、2年をかけてボウルを被って写真を取ることができる場所を見つけた。

コーベットさんは2014年、初めて湯切りボウルを被って免許証の写真撮影に望んだ。当時について、「色々な場所を試したが、行く先々で蔑むような扱いを受けた。施設の職員はとても怒っていた」とアリゾナ・リパブリックの取材に対して答えた。

それでもめげず、先日ある免許センターを訪れたところ、施設の管理者の立会いの下、写真の撮影ができ、後日免許証がメールで届いた。

■「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」とは

そもそも始まりは、カンザス州の教育委員会が2005年、進化論だけでなく「インテリジェント・デザイン説(ID説)」も公立の学校で教えることを義務づけようと始めたことだ。

ID説とは生命や宇宙が「知性的な何者か」によって創造されたとする説で、キリスト教右派の強い支持を受けていた。

この動きに対して、「これは科学ではない」と、科学者や教師を中心に強い反対が巻き起こったさなかに、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」を生み出したボビー・ヘンダーソンさんが立ち上がった。

彼は「知性的な何かが宇宙を生み出したって説が認められるのなら、スパゲッティが宇宙を生み出したという説だって認められていいはず」と考えた。そこでカンザス州教育委員会に公開質問状を送付し、「空飛ぶスパゲッティ・モンスターによる地球創造説」も進化論やID説と一緒に公立高校で教えることを提唱した。

「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」は、このようにID説への皮肉として生まれた。正確にいうと、これは宗教のパロディ、もしくは一種のジョークであり、世間一般で言う「宗教」とは全く別物だ。