政治

「立憲民主くん」をつくった音楽評論家の高橋健太郎さん 「最初は遊び心だったんですよ」

「個人的には『非公認』のままの方がいい」

2017年10月07日 14時58分 JST | 更新 2017年10月07日 19時55分 JST
Kentaro Takahashi
高橋健太郎さんがつくった「立憲民主くん」

立憲民主党(枝野幸男代表)の「非公認」ゆるキャラがTwitterで人気だ。「立憲民主くん」と名付けられ、旧民主時代の「民主くん」がギターを持つという出で立ちだが、注目すべきはこのギター。ビートルズのメンバーらも愛用した「リッケンバッカー」製で、「立憲」と「リッケン」をかけていることから一気に話題になった。「生みの親」である音楽評論家の高橋健太郎さん(61)に、キャラクターに込めた思いや、今回の選挙について聞いた。

Kazuhiro Sekine
インタビューに応じる高橋健太郎さん=横浜市

―立憲民主くんをつくったのはなぜですか。

はっきり言って最初は遊び心だったんですよ。立憲民主党って聞いたとき、古くて硬いイメージがあったんですが、響きがいいなと。「希望の党」なんていうふわっとしたものよりよほどいい。そんな時、そういえば「民主くん」てキャラクターがあったなと思い出したんです。まあ、自分で思い出したのか、誰かがTwitterでつぶやいたからそれにつられて思い出したのかははっきり覚えていませんけど。

いずれにしても、旧民主党のころに作られたゆるキャラですよね。この画像をネットで検索しながら、立憲民主党のキャラクターをつくるんだったら、「やっぱり立憲民主くんだろう」と思ったんです。そして立憲ときたら、リッケンバッカーだろうと(笑)。ギター好きなんで。それで、リッケンバッカーの画像も探してきて、フォトショップで二つの画像を合成して完成させました。10分ぐらいですよ。

私もTwitterをやっていて、音楽好きの人たちがフォローしてくれているんで、冗談のつもりでそれを投稿したんですよ。笑ってくれる人もいるだろうと思って。そうしたら予想外に反響があって、30分後には私がつくった画像をアイコンにした「立憲民主くん」というアカウントが出現しました。誰が作ったかは知りませんが、その方から画像の使用許可を求める連絡は来ました。オーケーしましたけどね。

―元々民主党や民進党を支持していて、それが今回のキャラクターづくりにつながったのですか。

いえ、そんなことは全くなくて。支持政党は特にないんですね。最近だと、私自身、安保法制や共謀罪法案には反対だったので、同じスタンスの政党に投票する程度で。自民には入れたことはなくて、比較的穏健なところに投票してきました。

ただ、今回は枝野さん個人は応援したい気持ちがありますね。1人で記者会見する姿を見て感動しました。言っていることも抑制的で的確。好感が持てましたね。

一方で、政策的には立憲民進党の内容は物足りない。例えば、個人的に関心のある原発問題について立憲民主党は「原発ゼロ」を公約に掲げていますが、希望の党は「2030年までに原発ゼロ」と一歩踏み込んでいる。消費税問題についても、希望は凍結に加え、企業の内部留保に課税して代替財源とすると言っている。実現できるかは別にして、公約は立憲民主党の方が見劣りする。

―枝野さんとは違い、希望の党に合流した前原誠司代表ら民進党のほかの議員についてはどう思いますか。

個人的には、前原さんたちのことを責める気にはなれないんです。民進党のまま選挙戦に突入したとしても、もっと議席を減らすことは目に見えていたでしょう。「何かしなければ」という思いから前原さんが変化を求めたことはうなずけます。難しい判断だったろうと思います。それにそもそも民進党には右派的な考えの議員は多いわけだし、その意味では今回、希望と立憲民主とで別れて思想的にはすっきりしたと思います。

―音楽、特にロックは反体制と言われることもあります。リッケンバッカーのギターを使ったのはそういう意味も込められているのでしょうか。

いや、ロックとのつながりは特にないです。私は音楽と政治を無理やりくっつけることは好きではないので。本当に遊び心だったんですよね。

ただ、キャラクターをつくったことで結果的に、立憲民主主義という言葉の意味を解きほぐすことにはなったと思います。

―立憲民主党のTwitter公式アカウントのフォロワー数が急増し、与党である自民党を超えました。

なぜフォロワーがそんなに増えたのか不思議ですね。枝野さんが新党結成時に訴えた「ボトムアップ型の社会」そのものだと思うのですが、でも当の枝野さんですらわかっていないと思いますよ。

—Twitterなどでは「アカウントを金で買った」という声もあります。

Twitterのフェイクアカウントの割合を調べる「Twitter Audit」で、立憲民主をフォローしているアカウントのうち、98%は実在するアカウントと判定されています。私のは97%。似たようなものであり、立憲民主党がとりわけ実態のないアカウントが多いということにはならないと思います。

いずれにしろ、注目されているということは確かだと思います。とにかく一番大事なことは投票率を上げることだと思うので、その意味では、立憲民主党が「台風の目」になることは有権者にとっていいことだと思います。立憲民主くんをつくったことも投票率アップにつながればうれしいです。

―立憲民主くんは立憲民主党の「非公認」キャラクターです。でも、枝野代表は「できればスカウトしたい」と言いました。

私は非公認のままの方がいいと思います。その方が、枝野さんが言う「ボトムアップ型の社会」、つまり草の根的な動きとマッチしている気がするからです。