フランスの高速鉄道が人身事故で立往生。いら立つ乗客の前にまさかの社長が登場

「私も皆さん方と同じ状況にあります」
BENJAMIN SIERZCHULA

コミュニケーションのセンス、それとも率先力?おそらく両方だろう。

1月16日、フランス国鉄が運行する高速鉄道「TGV」のリール=パリ間を結ぶ列車が立ち往生となり、乗り合わせた国鉄社長のギヨーム・ペピー氏(59)が自ら乗客に説明を行ったことが、大きな話題となっている。

問題の列車は16日の午後1時13分に発車予定だった。しかし線路への飛び込み自殺という悲しい出来事が起こってしまったため、遅延状態だった。そこで乗り合わせていたペピー社長が自ら乗客の前に姿を現し、状況説明することとなった。その様子は乗客が撮影した動画で見ることができる。ペピー社長はまた、乗客への食糧配布も行ったとのことだ。

するとどうなったか。乗客はもちろん情報不足に不満をもらしていたが、ペピー社長もまた、様子を見る限りハッピーではなさそうだ。「私も皆さん方と同じ状況にあります」と謝罪しつつ、彼はこう述べた。「他に情報が入り次第、また参ります。車掌が説明に来るかもしれません。とりあえず、私がまずご挨拶をと思って参ったわけです」

社長にできたのは、乗客に対して、リール方面に逆戻りして普通路線と合流し、再びパリに向けた進路をとる手順を説明することだった。いつ運転が再開するかもわからずに、何時間も車内に閉じ込められたまま線路の除去作業が終わるのを待つよりは、いい案だったと言えるだろう。

なおフランス国鉄は1月8日に、大晦日の際の機能不全で運輸省の「呼出し」を受けていたことから、信頼回復のためのアピールの意図もあったのではないかという見方もある。

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。

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