フランスで漫画の祭典が開催。真島ヒロ氏に特別栄誉賞、グランプリに輝いたのは?

2015年には大友克洋氏が受賞していました。
第45回アングレーム国際漫画祭の様子(撮影=2018年1月25日)
第45回アングレーム国際漫画祭の様子(撮影=2018年1月25日)
MEHDI FEDOUACH via Getty Images

1月25〜28日にかけて、ヨーロッパ最大級のバンド・デシネ(漫画)の祭典「アングレーム国際漫画祭」がフランス南西部・アングレームで開催されている。

2015年には『AKIRA』などで知られる日本の大友克洋氏が、前回2017年にはスイスのコゼ氏が受賞した栄えあるグランプリに輝いたのは、アメリカのリチャード・コーベン氏(77)だった。

「アングレーム国際映画祭2018のグランプリはリチャード・コーベン!過去の受賞作家団体によって審査され、2017年のグランプリであるコゼによって賞が手渡されました」

コーベン氏は3人残ったファイナリストのうち、フランスのエマニュエル・ギベール氏(代表作『フォトグラフ』)と、同じくアメリカのクリス・ウェア氏(代表作『世界一賢い子供、ジミー・コリガン』)を抑えてグランプリとなったかたちだ。

出席できなかったコーベン氏の代わりに、編集者が賞を受け取った。

リチャード・コーベン氏が漫画家としての活動をスタートさせたのは、アメリカの「Creepy」や「Vampirella」といった雑誌でのホラー漫画連載からだった。

1970年代になると、そのエアブラシを用いた独特の人体表現(幻想的・近未来的な世界に登場する筋骨隆々の肉体)によって、国際的な名声を得ていく。

フランスを代表するSF・ホラー漫画雑誌「Métal Hurlant」の創刊者メビウスらが、コーベン氏のデッサンに注目し、同誌で彼の有名な『Den』シリーズの連載が開始。漫画界に絶大な影響を与えた雑誌によって、アメリカ以外の読者にも広く知られることとなった。

METAL HURLANT

それまでアングラ漫画界の申し子だったコーベン氏は、その後「Marvel」「DC Comics」「Dark Horse」といったアメリカの大手出版社にも活動の幅を広げていく。そこでパニッシャー、ヘルボーイ、ハルク、パワーマン、バットマンといったアメコミヒーローを主人公とする、数多くの物語が生み出された。

またエドガー・アラン・ポーやH・P・ラヴクラフトといった、SFやホラーと親和性のある作家の作品の漫画化も手がけた。

PANINI

その間、商売道具のアエブラシはペンにとってかわる。細かい点描の影と、禿げ上がった額をもつ人物で、独特のスタイルを確立していくことになる。

DELCOURT

コーベン氏はすでに1976年、同漫画祭の外国人作家賞を受賞していたが、今回のグランプリをもって、77歳にしてキャリア全体が国際的な評価を得ることとなった。

DONA CORBEN

また日本の漫画家としては、『RAVE』や『FAIRY TAIL』などの作品で知られる真島ヒロ氏(40)が、特別栄誉賞を受賞している

フランスのフランソワーズ・ニセン文化相(左)と真島ヒロ氏(右)(撮影=2018年1月25日)
フランスのフランソワーズ・ニセン文化相(左)と真島ヒロ氏(右)(撮影=2018年1月25日)
MEHDI FEDOUACH via Getty Images

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。

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