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あなたが誤解しているハーバード大学の5つのこと

2017年07月04日 19時03分 JST | 更新 2017年07月13日 16時03分 JST

皆さんは、ハーバード大学についてどのようなイメージを持っていますか。

harvard memorial church

私は、2016年に日本の高校からハーバード大学へ進学しました。

入学後、それまで抱いていたハーバードのイメージと現実とのギャップに驚いたことが何度もありました。もっと多くの方にリアルなハーバードを知ってもらうきっかけとして、誤解されやすい5つのポイントを紹介します 。

1.「サンデル教授の白熱教室って本当にあるの?」

justice sandel

「あった」ことは事実だが、現在は行なわれていない。残念ながら、今ハーバード大学に通う学生のほとんどは、彼との接点があまりない。

NHKの「ハーバード白熱教室」が放送されて以来、日本で有名になったマイケル・サンデル教授。近頃は執筆活動や世界中での講演などで忙しいのか、ハーバードで滅多に会うことはない。次学期彼が受け持つ授業はまだ正式に発表されていないが、ごく少人数のセミナーや論文助言のみであろうと思われている。

現在、白熱教室の授業が行われたサンダーズシアターで、大人数の学生向けに行われている人気授業といえば、マラン教授によるコンピューターサイエンス入門「CS50」やマンキュー教授による経済学入門の「Ec10」が挙げられる。どちらも学生数が600人を超えており、ハーバードでは最大級の授業である。

次世代の白熱教室が日本で放送される日が実現して欲しい。

2. 「ハーバード生って遠い存在。強くて、自信に溢れた人の集まりなんでしょ?」

harvard graduation

多くのハーバード生は、「心のサポート」を受けながらキャンパスライフを送っている。2016年に卒業したハーバード生(学部)のうち、73.9%がカウンセリングなど何らかの精神的ケアを受けていたというデータが発表された。

ハーバードでは、「話を聞いてもらいたい」という気軽な気持ちで学生の保険対応内でカウンセリングを受けることができ、「自分だけですべて解決しなくても大丈夫」という、サポートを受けることが当たり前な文化が根付いている。

私自身、入学前は「ハーバードは全てにおいて完璧な人が行くところ」と思っていた。一人でアメリカへ旅立つことや、大学に同じ学年の知り合いが一人もいないことなどの不安で押しつぶされそうになっていた私は、果たしてこんな「完璧」からかけ離れた自分に居場所があるのだろうか、と心配な気持ちでいっぱいだった。

しかし、大学が始まると、「弱さがあることは決して恥ずかしいことではない」「誰も一人ですべてはできない」「大丈夫じゃないことも、大丈夫」というメッセージが載ったポスターがキャンパス中に貼ってあったり、教授が授業前にカウンセリングのすすめをしたり、あらゆる場所から温かいメッセージが発信されていた。

私は、完璧じゃなくていい。自分に自信が持てない時があってもいい。大丈夫じゃない時があってもいい。完璧に見えていた周りのハーバード生も、皆弱さを抱えている。

ハーバードに入って改めて、本当の「強さ」とは弱さをきちんと認めて、助けを求めることなのかもしれない、と思った。

3. 「ハーバードってお金持ちしかいないんじゃないの?」

financial aid

ハーバードは学費がものすごく高い、という声をよく耳にする。

学費は確かに高い。1年間にかかる学費や住居費、食費などは、総額約6万3000ドル(約710万円)である。

だが実際には、学生の約60%が返済する必要がない学費援助(Need-Based Financial Aid)を大学から支給されている。さらにそのうち約20%は全額免除の扱いだ。

細かい内訳を説明すると、親の年収が65,000ドル(約730万円) 以下の場合、大学側が全費用を負担。親の年収が65,000ドル(約730万円) から 150,000ドル(約1685万円)の間の場合、親は収入の0-10%を払い、それ以外は大学側から支給される。それ以上の年収の場合は、額に応じて学生側が払う割合が増えていく仕組みとなっている

ハーバード大学は学生や親にローンをさせないことを徹底している。また、学費援助を必要とするかは選考に全く関係がなく(Need-Blind)、国籍問わず支給される。これには「どのようなバックグラウンドからも、無理なく大学に通えるようにサポートしたい」という大学側の思いがあるという。

手厚い学費援助制度があることを知り、より多くの日本の学生にハーバードへ挑戦してもらいたい。

4.「でもやっぱり英語ペラペラの帰国子女じゃないと入れないんじゃないの?」

english speaking asian students

ハーバードに限らず、 ほとんどのアメリカの大学はTOEFL iBTやSAT/ACTなどの英語でのテストを必須とするため、英語力は高いに越したことはない。だからと言って、帰国子女だけが合格している訳ではなく、海外に住んだ経験のない学生も合格している。

各学年の日本人ハーバード生に聞いてみたところ、日本の高校からハーバード大学へ合格する学生は、毎年2 - 4人ほどだとわかった。その内ほぼ毎年、1人以上は海外経験がない学生が合格しているとみられる。

多様性を重視しているハーバードでは、選考時に学生の海外経験の有無など様々なバックグラウンドを考慮している。「こうすればハーバードに絶対に受かる」という魔法は存在しない。自分らしさを忘れないことが大切だと思う。

5.「いつも勉強ばかりしてるんでしょ?」

harvard library student

勉強に真面目に取り組む学生が大勢いるのは確かだ。私自身、大学進学後、学ぶことがより一層好きになった。

24時間開いているラモント図書館で深夜遅くまで課題に向き合ったり、同じ授業を受けている友人たちと朝までディスカッションをしたり、と真剣に勉強する毎日を過ごしていることは間違いないのだが、もちろん遊ぶこともある。ハーバードでは、年中様々なイベントが開催される。

大いに盛り上がるイベントの一つは「ヤードフェスト」という、キャンパスの中心で行われる野外ミュージックコンサートだ。毎年、大学組織委員会側が招待するアーティストは直前まで学生には秘密にされ、イベント前の発表も色んな予想が飛び交う一大イベントとなっている。今年は、世界的に有名なDJであるTiëstoが登場した。

tiesto

Tiëstoによる2017年サンダンス映画祭でのパフォーマンス

また、最高にクレイジーな伝統もある。その名も「プライマルスクリーム」(直訳すると「原始的な雄叫び」)。

期末テストシーズンが始まる前夜、午前0時にハーバード楽隊がキャンパスの真ん中にあるハーバード像の前で、一斉に演奏を始める。この合図とともに、ハーバード生は男女問わず、全裸でキャンパスを走り出す。マラソン大会のような熱気に包まれ、氷点下の寒さに悲鳴をあげながら、淡々と走る。

キャンパスを一周すると、学生たちは何事もなかったかのようにダウンジャケットを羽織り、寮や図書館へ帰っていき、試験勉強を続行する。

ハーバード生は、真面目なことにも、くだらないことにも、一生懸命な人が多いようだ。

harvard

プライマルスクリームの直後