8000人が参加した「世界湖沼会議市民の会」をもう一度。"泳げる"霞ヶ浦の復活を願う市民が目指すもの

2015年07月24日 00時09分 JST | 更新 2015年07月27日 14時44分 JST

国内第2位の湖沼面積をもつ霞ヶ浦は、かつては透きとおり湖底まで見えるほどだった。しかし、人口の増加や経済活動の発展に伴う水質汚濁によって、その美しさは失われつつある。流域の面積や人口が県全体の約3分の1を占める霞ヶ浦の浄化は、周辺住民のみならず、県全体にとっても大きな課題だ。

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もちろん県のアイデンティティーたる湖を守るため、これまでも多くの動きがあった。その1つが、1995年に茨城県土浦市とつくば市で開催された第6回世界湖沼会議だ。一般的に国内外から専門家や研究者が出席する学術的な会議になることが多いが、一般市民も参加できるように「世界湖沼会議市民の会」が結成された。こうした取り組みの結果、同会議には一般市民を含む約8000人以上が参加することになった。

しかし、それだけにはとどまらなかった。湖沼会議の終了とともに解散するはずだった「世界湖沼会議市民の会」を母体に新たな団体ができた。それが、「霞ヶ浦市民協会」だ。1996年に当時国内では数少ない社団法人格を持つ環境団体だった。2001年には「泳げる霞ヶ浦2020市民計画」を策定し、次世代に豊かな湖沼を遺すための活動に取り組んでいる。

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一般社団法人「霞ヶ浦市民協会」理事長 市村和男さん

今年の6月に霞ヶ浦市民協会の理事長に就任した市村和男さんは、電気設備会社の専務として県内外を飛び回る日々を送っている。多忙の中、環境活動をする理由はなんなのだろうか? そのきっかけは土浦青年会議所の霞ヶ浦環境委員会の副理事長や委員長を務めていた時に、琵琶湖やシカゴ、インドで開催された世界湖沼会議に出席したことが大きかったという。世界にはさまざまな湖が存在し、各地の住民がその保全活動に勤しんでいることを知り、地元の湖である霞ヶ浦の問題を見過ごすことはできないと思ったそうだ。

4代目の理事長として熱く目標に掲げているのが、2018年の世界湖沼会議の誘致だ。自治体や関係団体などと連携し、23年ぶりに霞ヶ浦での開催を目指す。

「第6回世界湖沼会議で、多数の一般市民が参加したのは画期的なことでした。誘致を実現し、我々の活動を世界中に広く認知させたいと思っています」

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「水辺の学校」にて。市村さんと子どもたち

霞ヶ浦市民協会は年間を通じてさまざまな事業を行っている。中でも、子どもたちに水の大切さを知ってもらう事業「水辺の学校」は、親世代からも好評を博している。「身近な水資源である霞ヶ浦とのふれあいの場を提供し、考えてもらうきっかけになれば」と市村さんは語る。

また、毎年7月に開催している「泳げる霞ヶ浦市民フェスティバル」にもたくさんの参加者が集まる。このイベントでは、霞ヶ浦に生息する生物の観察をはじめ、ヨットでの帆走、カヌー体験などを楽しむことができる。

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「泳げる霞ヶ浦市民フェスティバル」でのカヌー体験

霞ヶ浦周辺はレンコンやサツマイモなどの産地で、特にレンコンは日本一の生産量を誇る。市村さんは「東日本大震災以降、茨城県は原発の風評被害に見舞われています。でも実際は美味しい食べ物の宝庫。地産地消の流れをもっと活性化できればと思っているので、霞ヶ浦を取り巻く環境と食をテーマにしたシンポジウムも開催したいですね」と意気込む。「今までの活動を継続しつつ新しい取り組みにも積極的に取り組みたい。すべての活動を“楽しく”できればと思っています」

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「AQUA SOCIAL FES!! 2014」の様子

霞ヶ浦市民協会は、トヨタのハイブリッドカー「AQUA」が全国各地で展開する環境保全活動のAQUA SOCIAL FES!!に参加しています。霞ヶ浦湖畔での清掃活動などを通して、霞ヶ浦について一緒に考えてみませんか? 開催は8月23日(日)、募集締め切りは8月12日(水)まで、定員は100人です(参加無料)。詳細は公式ホームページ (http://aquafes.jp/projects/158/)をご覧ください。

(取材・執筆:茨城新聞社 宮崎久紀)

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