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漁業を支える「藻場」って何? 水揚げ量が減った富山湾の復活を目指す米澤健二さんが守るもの

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富山県といえば、ブリやシロエビ、ホタルイカに代表される"おいしい海の幸"をイメージされる方も多いはず。富山の魚がおいしい理由には、「天然のいけす」とも呼ばれる富山湾の独特な地形にあります。富山湾は沿岸から急激に深くなっていて、海底は「あいがめ(藍瓶)」といわれる複雑に入り組んだ海底谷があり、多種多様な魚介類のすみかとして最適な環境になっています。

米澤健二さん(62歳)は、富山湾の豊かな環境・生態系保全に取り組む「魚津市漁場環境保全会」のメンバーの一人。2009年の設立当初から保全会の事務局を務めています。魚津市は、県東部に位置する富山湾に面した都市。古くから漁業が盛んで、ホタルイカやカワハギの一種である寒ハギ(ウマヅラハギ)、ベニズワイガニなど1年を通して豊富な魚介が水揚げされます。

米澤さんは、保全会に加盟する魚津漁業協同組合の経田支所長で、経田地区で生まれ育ち、魚津漁協に入組後も大半を経田支所で勤めてきました。「昔と比べると、水揚げ量も徐々に減少し、漁業者の数も当時より少なくなりました」と米澤さんは言います。

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魚津市漁場環境保全会の事務局を務める魚津漁協経田支所長の米澤健二さん

近年、全国各地の沿岸で「藻場(もば)の減少」という問題が起きています。藻場とは、海藻・海草の群落で、魚たちの産卵や稚魚の成育、貝類などの生息の場、海水の浄化効果など、とても重要な役割を担っています。しかし、海水温の変化や海藻を食べる生物の増加による食害などによって「磯焼け」と言われる現象が発生し、各地で藻場の衰退や消失という事態が起こっているそうです。

魚津市沿岸でも、藻場の衰退が原因で水揚げ量が落ち込み、漁業者らの大きな悩みとなっていました。漁協や米澤さんのもとにも相談が寄せられ、その声を受け、ちょうど米澤さんが経田支所長に就任した2009年に保全会が発足。漁場環境の保全活動を開始しました。海藻を繁茂させるための基盤となる、胞子を出す母藻(ぼそう)を取り付けた「母藻ブロック」の設置、海藻の種苗投入、アマモなどの海草の移植や種まきを実施し、藻場の回復に取り組んでいます。米澤さんは「母藻を設置することで、海藻が繁茂し魚の成育の様子も見られ、一定の効果は出てきています。しかし、水揚げ量の増加など具体的な成果に至るまでには、地道に活動を継続していかなければなりません」と話します。

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保全会による植樹会。滑川高校海洋学科の生徒も参加しました。豊かな森を育て、木々の栄養分を海へと届けます。

保全会には漁業関係者だけではなく、県東部地区の森林整備などを行う新川森林組合も加盟しています。海を豊かにするためには上流にある森の恵みが欠かせません。木々の腐葉土に含まれる豊富な栄養分が森から川を流れて海へと届き、沿岸の海藻類などの大切な栄養となっています。保全会では、流域の植林活動を実施しており、今年開催された植樹会には、米澤さんの「ぜひ若い世代にもこの取り組みに参加し理解を深めてほしい」という思いから、県立滑川高校の海洋学科の生徒も参加しました。また、海岸の海洋漂着物や生活ゴミ拾いをする海岸清掃活動を定期的に行い、一般の方や地元の小学生も多く参加しています。

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魚津市経田海岸の清掃活動。地域住民や地元小学校の生徒など多くの方が参加しています。

「保全活動は地域が一体となり、継続して取り組んでいかなければなりません。魚津漁協の婦人部や地域の方が活動に積極的に協力してくれるのは非常にありがたい。特に子どもたちには、自分たちの地域の暮らしや文化をよく知ってもらい、自然の大切を伝えていきたいです」と米澤さん。地域ぐるみでの活動や、子どもの頃から漁村文化や食文化を体感してもらい、次世代に伝承していくことの必要性を訴えています。

富山湾は2014年10月に、優れた自然の美しさや豊かな生態系が評価され「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟しました。国内では、宮城県の松島湾についで2カ所目、日本海側で初の加盟となります。また、今年10月には、「第35回全国豊かな海づくり大会・富山大会」が射水市で開催されるため、富山県にはますます全国から注目が集まることでしょう。ぜひ、豊かな自然を守り育てる活動の輪、支援の輪が広がることを期待しています。

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5月31日(日)に富山県魚津市の経田海岸で、「AQUA SOCIAL FES!! Presents~富山湾の豊かな自然を未来に遺そう~」を開催します。これはトヨタが全国のNPOと地方新聞社と共に環境活動を行うプロジェクトです。


2014年のAQUA SOCIAL FES!!の様子

富山では、米澤さんが所属する魚津漁業協同組合や婦人部の皆さんの協力のもと、海岸の清掃活動、地引き網体験による生態系の学習を行います。海洋ゴミに関するレクチャーや漁師鍋もいただきます。詳細はAQUA SOCIAL FES!! の公式ページをご覧ください。

(取材・執筆:北日本新聞社 佐々木周)

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