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女子クリエイター向けメディア「箱庭」の編集長から学ぶ 「好き」を仕事にするヒント

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女子クリエイターのためのWEBマガジン『箱庭』には、デザインに役立つフォント集、気になる雑貨、暮らしを楽しくする写真などの情報がいっぱい。編集長・東出桂奈さんにお話を伺うなかで見えてきたのは《デザイナー出身で編集長》というちょっと変わった経歴。そして職種にこだわらず、自分らしい仕事をつくるヒントでした。


ファンに愛されるメディア『箱庭』を生み出した、編集長・東出桂奈


ありそうでなかった、女子クリエイター向けのかわいくてほっこりする情報が『箱庭』には詰まっています。小さな文房具店にある文具や雑貨。デザインに役立つフォント集やカメラアプリ。アートやデザインを切り口とした旅のおすすめスポット。


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女子クリエイターのためのライフスタイルつくりマガジン『箱庭』


2012年にスタートしてから、今年の5月で4周年目を迎えた『箱庭』。Facebookページの「いいね!」数は6万2,000を超え、多くのファンを惹きつけています。編集部のメンバーは全員女性で、しかも専任メンバーにデザイナーはいますが、実は編集経験者が一人もいないのが特徴。等身大の目線で切り取られた情報は、暮らしに小さな彩りを与えてくれるものばかり。ひとつひとつの記事からは書き手のこだわりと想いが伝わってきます。

箱庭のガッコウ、企業とのタイアップ、本の出版、デザイン素材のお店『haconiwa DESIGN STORE』、おまけにシェアハウスの運営まで活動を広げている彼女たち。

じつはRIDE MEDIA&DESIGNというWeb制作会社の中で、自然発生的にはじまった『箱庭』。とてもおもしろいのは、編集長をつとめる東出さんのマイプロジェクトがはじまりだったコト。もともとWebデザイナーだった東出さんのTwitterやブログで発信する情報が、社内で「おもしろい!」と話題になり、本業の傍らメンバーたちが休憩時間などを使って部活動のようなかたちではじまったそう。

そこから多くのファンがあつまり、数々のメディアや企業から声が掛かるように。個人の活動が、会社を動かし、いまやRIDE MEDIA&DESIGNの名刺代わりになるような存在になっています。

『箱庭』が多くのファンを惹きつけるのはなぜ?

編集長・東出さんに伺うなかで見えてきたのは、彼女なりの生き方や考え方。そこには「好き」から自分の仕事をつくっていくヒントにあふれていました。


好きなことを掛け合わせて、自分の仕事をつくる


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― まず東出さんの『箱庭』での役割、職種から伺ってもよろしいでしょうか?

「WEBマガジン編集長です」と答えるものの、取材にも出かけ、デザインもするし、写真も撮るし、イラストも描くし。ひとことで表わすことのできる職業の肩書きはないのかもしれません。『箱庭』を立ち上げてから、「なにをやってる人なんですか?」と聞かれると、いつも答えに困るんですよね。

今振り返ってみても、好きな写真家さんや好きなデザイナーさんはいたものの、特にキャリアを参考にした人はいなかったんです。

ただ、父親の存在は大きかったと思います。もともと会社員をしていた父は、私が生まれた頃に脱サラして、ケーキ屋の修行に行ったちょっと変わった人で。5年間修行をしたあと、40代半ばで自分のお店を開いたんです。そのお店がただのケーキ屋さんじゃなくて。絵が得意な父がデコレーションケーキにお客さんの似顔絵をスケッチしたり、アンデスの民族音楽を店内で演奏したり、ケーキ屋×似顔絵×民族音楽という変わったケーキ屋でした。ちなみに、アンデスの民族楽器の笛は「ケーナ」っていうんですけど、私とお店の名前につけてしまうくらい、その笛が好きだったみたいです(笑)。

子どもの頃は気づかなかったけれど、大人になって「あ、父のお店って変わってたんだ」と。「好きなものがある」って強いな、そういう生き方っておもしろいですよね。私のやりたかったことも、自分の好きなことの掛け合わせだったのかもしれません。


希望通りじゃなかった仕事が私に教えてくれたコト


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― 最初から、自分の好きなことを掛け合わせて仕事にできていたんですか?

いえいえ、そんなことはないんです。もともと学生の頃からデザイナーになりたかったんですけど、最初は思い通りではありませんでした。デザインの専門学校に入ったものの、就職難もあって即戦力が必要な現場が多く、未経験はことごとく不採用。はじめは印刷のことを学べる、デザイン調整を行うDTPからのスタートでした。

でも、いま思い返すと、そのDTPの会社に入ってすごくよかったと思っていて。もともと自分がしたかった仕事とは違ったけれど、仕事やデザインの基本を学べて糧になっています。

DTPの仕事をしながらちょうど1年くらい経ったときに、急にデザイナーに抜擢されたんです。有名な雑誌の仕事もあったけれど、お墓のチラシのデザインとか、DMやポスターのデザインもしていました。

― 今の『箱庭』からは少し距離があるというか、あまり想像がつかないお仕事です。

そうかもしれませんね。やっぱりどんな人でも自分の好きなコトをすぐ仕事に結びつけていけるわけじゃないと思うんです。

ただ、技術を磨くこと、工夫すること、勉強することは、どの仕事でもできるはず。たとえば、お墓のチラシにしてもどうすれば見てくれる人たちの気持ちに寄り添えるだろう?と想像して、自分なりに工夫して、ベストなモノを納品していく。

やりたいことに近づくためにも、ちゃんと目の前の仕事に真剣に向き合っていく。そうすることで、きっと次のステップにつながると思っています。

― そこからはすぐ、Webのほうの仕事に?

一時期、デザインの仕事があまりにもハードだった反動で、花屋に転職したこともありました。もともと花が好きで、働きながらフラワーアレンジメントを習っていたので挑戦してみましたが、3ヶ月でいきなりリストラになっちゃったんですけどね(笑)。

そこでようやくデザインの仕事に戻るんですけど、やっぱり「わたしはデザインが得意」「本当に好きなこと」って気づくことができた。すごく安心感があったというのかな。花屋の失敗から、いくつか手に職がないと、厳しい時代になりそうだなと思ったのと、もっと新しいことにも挑戦してみたくてWeb制作の勉強もはじめて、いまの会社と出会うことができました。

DTP、花屋、デザイナー、Web...。一般的には「そんなコロコロ職を変えて」と思われてしまうかもしれません。決して最短のルートではなく、遠回りばかりしてきたかもしれないけれど、どの一つが欠けても今の私はいなくて。社員ひとりひとりが「好きなもの」に熱量を注ぐことを応援してくれる、今の会社に出会うことができたんです。


ゆるりと楽しく、好きなことを続けていく


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『箱庭』編集部のみなさん


― 『箱庭』の世界観はホントにすてきですよね。統一感をどう持たせているのか、いつも不思議です。

基準はひとつだけ、"自分たちの興味・関心があること"それだけです。私たちは発信者でありながら、その前にいち読者。自分たちが読みたいかどうかが基準になってきます。

"きれいな写真"にこだわっていているのも、そう思っていただける要因のひとつかもしれません。もともとメンバーの共通の趣味に「写真」があって、各自カメラを所有し、記事の写真を自分たちで撮っているのも大きいかも。じつは、編集部のメンバーを募集するときに、きれいな写真を撮れるかどうかもとても重要視しています。

コンテンツも、自分たちが心から共感できるモノ・コトを発信するメディアとしてはじめたので、今まで自然にインプットしていたことを『箱庭』でアウトプットしているんです。ネットで見つけた使えるフリーフォントとか、街を歩いていてで見つけたかわいい雑貨、いいデザインとか。インスピレーションを受けることは、実はいろんな場所にたくさん転がっていて、それを見つける力や面白がる力はデザイナーにも編集者にも必要だと思います。

『箱庭』はリアルな活動からつくる記事が多いのも特徴です。実際に取材をしてレポートしてみたり、気になる人がいたらインタビューしてみたり、紹介したいモノがあったらちゃんと自分で買ってレポートしてみたり。

これはメンバー自身がおもしろい体験をする、見て、触れて、感じていく、そんな感性を大切にしているから。

― 職種に関わらず、クリエイターにとっては大切なコトと言えそうですね。

そうですね。たとえば私はデザイン出身ですが、じつは「デザイナー」も「編集」も、とても近しい仕事だと思っているんです。特にWebの編集って一人が担当する範囲が広いので両方の感覚、感性を持っていたほうがいい。

雑誌の誌面をつくるにしても、編集は写真やデザインのテイストをどうするかビジュアルのことも考えますよね。一方デザインも、ビジュアルをつくる上で、情報を設計するし。

― 東出さんはご自身の感性をどう磨いているなどありますか?

そんな大げさなものではないかもしれませんが、わたしの場合、年に1回、かならず海外へ旅に行くことにしています。民芸品を探したり、美しい風景を見たりすることで、つくるエネルギーをチャージしてます。建物や街並みもデザインの1つだし、料理も、移動中の飛行機でさえもいろんなデザインが転がっている。気になることがあると、写真やメモに残して、あとで見返せるようにしているんです。自分なりの写真集みたいな感じで。


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― ご自身のメモとは思えないクオリティですね!まるで本屋で売られているようなすてきな写真集で

旅に行くと写真を何千枚と撮るので、 こうしてまとめておくと便利なんですよね。仕事で旅の写真を使うこともあるし。なにより自分の「好き」がつまっているので、愛着が湧くし、作っていて楽しいんです。

― 4年間も人気を維持できるのはすごいこと。最後に、運営において大切にしてきたコトについて教えてください

『箱庭』が立ち上がった昔も今も、楽しく、マイペースに。肩肘張らずに、自分たちの好きなものや体験したこと、役立つことを、自分たちのペースで発信してきました。同じような境遇の人たちへのインプットの場として、そして、そうやって仕事漬けの人たちが、仕事の合間にちょっとでも楽しんでもらえることを願ってこれからも作り続けていきたいです。

私は石橋を叩いて「こわれそうだから渡らない」って終わるんじゃなくて、叩かずに思いきって渡ってしまってもいい。そう思うんです。何も行動しないで「ああなりたい」とか「やりたいことない」と言って、結局なにもしないのはすごくもったいない。

「こういうのをやってみたいんですよね」と口にしておくと、好きなものに近づけるはず。『箱庭』も、最初は仕事になるとは思っていなかったけれど、個人のSNSで好きなものを発信していたら急に抜擢されたので。趣味とか好きなものをつくって、気楽にいろいろやって続けてみるといいかもしれないですね。

― 『箱庭』が楽しい気持ちにさせてくれるのは、つくり手の楽しさや「好き」がこめられているからだと感じました。気になるものを見つけたら、まずは気軽にはじめてみる。そして、続けていく。その先に自分の想像を超える仕事が待っているのかもしれませんね。本日はありがとうございました!


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