就職の多様化時代、スタートアップとVCの若手トップたちが語る「理想のファーストキャリア」とは?

2015年02月18日 23時25分 JST | 更新 2015年09月04日 18時35分 JST
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就活前の学生たちにアドバイス! Retty武田和也さん、カタリズム山野智久さん、Skyland Ventures木下慶彦さんが集合。新卒における就職先の選択肢が多様化している時代、どんなファーストキャリアを選択すべきか?鼎談企画をお送りいたします!

学生のうちに考えておきたい、新時代のファーストキャリア

スタートアップやベンチャーが就活の選択肢に入り、学生時代に起業することも珍しくなくなった時代。WEB・IT業界を志望するとき、ファーストキャリアをどうするか?ここは重要なテーマではないでしょうか。同時に、ロールモデルがないだけに、どんな軸で就職を考えていけばいいのか?と不安になってしまうことも...。

そこで今回は、急成長中のスタートアップ2社とVCの代表に集合していただき、「WEB・IT業界におけるファーストキャリアについて」の鼎談を実施しました。

参加いただいたのは3名。Rettyの武田和也さん、アクティビティ予約サイト『あそびゅー』を運営するカタリズム代表の山野智久さん、八面六臂、トランスリミット(BrainWars)やカウモなどの成長スタートアップに出資するSkyland Venturesの木下慶彦さん。みなさんに共通するのは、学生をはじめとるする若手人材の発掘・育成、教育に精通していること。そして20代で起業されていることです。今、注目の若手起業家とベンチャーキャピタリストが考える、理想的なファーストキャリアとは?

ベンチャーか? 大手か?という二択はナンセンス

― 「新卒で就職するならベンチャーか?大手か?」というのが最初のテーマなのですが、皆さんはどう思いますか?

山野:

ぶっちゃけ、こういう議論自体、あまり本質的じゃない気がしています(笑)

大手やベンチャーって規模や創業時期だったりが軸の話で。キャリアを考える時は、成長できるかどうか?とかが本質的な議論なんじゃないかな、と。僕はリクルート出身なんですけど、成長できる環境だと思って入社したんですよ。でも、カテゴリーとしては大手ですよね。

武田:

たしかに、自分もどうすれば最短で起業できるか、こういう軸で考えていたから、「社長によく会える」とかで就職先は探していて。「じゃあベンチャーがいいかな」という順番でしたね。

木下:

学生へのアドバイスだと、僕の場合は全員に起業してほしいので(笑)大手か?ベンチャーか?なんて無視して、とにかく学生全員が「まずはプログラミングをやろう」と。もう、プログラミングをベースとした仕事以外は全てなくなるんじゃないか、自分自身の仕事もいつかなくなってしまうのでは?と思っているくらいです。

― なるほど、みなさん「何がしたいか」という軸で見たほうが良いということですよね。ただ、「新卒ではベンチャーか?大手か?」という議論は尽きなくて。そこがフォーカスされやすいのは、なぜでしょう?

山野:

大手だと規模の大きい仕事に腰を据えて取り組むことができそうで、ベンチャーはビジネスを仕掛けるスピードが速く、裁量権がありそうとかイメージがありますよね。実際、そういう側面はあると思うし、比較もしやすい。ただまあ学生の時って、何もわかんないですよね。会社のことも、仕事のことも。

武田:

そうそう、自分のやりたいこともわからなくて当然で。学生の時って何もしていないのに「企画がしたい」とか思ってしまいがちだけど、それが間違ってる場合もあるじゃないですか。営業で才能が開花するかもしれない。だから、そういう意味でもまずは働いてみたほうがいいと思います。で、ぜひ、Rettyのインターンに来てほしい...というメッセージになればいいんですけどね(笑)

― (笑)山野さんも同じ考えでしょうか?

山野:

そうですね。インターンで小さい会社に入って、ビジネスのワンサイクルを見るのは凄くいいと思います。経理がどんな仕事をしていて、 営業はどういう仕事で、開発や企画がどう連動していて...こういうインプットがないとアウトプットできないので。大手でも、新規事業を企画したり、そういう小規模な環境はいいですよね。

― 木下さんも学生との接点が多く、彼らにインターンを薦めることも多いそうですが?

木下:

どんなサービスで起業したらいいか?ここって普通は見つからないんですよ。お金の仕組みもわからないし、やりたいことも、やることも見つからない。だから、どこかで修業するのがいいと思っていて。僕も独立する前に就職をしていて、山野さんや武田さんも同様で、その修行期間は持つべきだと考えています。

― 修行する場がどんなところか、ここが重要になりそうですね。

武田:

インターンを修行の場として捉えた時、インターン生に何を任せるか、その会社のフェーズに拠るところが大きいですね。上場企業だと、リスクの問題があるから、任せられないことが多すぎたり。そういう意味だと、ベンチャーなら社員とほぼ同じ働き方ができて。

山野:

任せる側も、振りやすいんですよね。猫の手も借りたいから。

木下:

僕は、インターンもそうですけど、いろいろと行動して、学生時代にとにかくたくさん友だちを作ってほしいというのがあって。そういう場を選んでほしいですね。

ちょっと脱線するかもしれませんが、4日ぐらい前に、ある高校生に会ったんですよ。「将来、起業したい」と。それで「ホリエモンとか業界の有名人に会ってインタビューしたい」って言っていて。

いやいや、それはそれでいいけど、今って高校生のほうがおもしろいし、たとえば、Vineで有名になった「れいかちゃん」と話してつながれってアドバイスしたんですよね。高校生の間で仲良くなるのは大人には出来ないことだからって。

で、その高校生は次の瞬間からTwitterでメンションを飛ばしまくって、Skypeとか使って、その日中に3人からインタビューを取ってきたんですよ。今どきの人のつながりってそういうもんだし、起業家仲間であっても、そういうのは大事だったりしますよね。

カタチに表れていない「熱意」は、ただの勘違い

― 特に学生を中心に、若い世代との接点が多い皆さんですが、彼らの全体的な傾向などはありますか?

enjapan カタリズム株式会社 代表取締役社長 山野 智久さん

山野:

今の20代前半までで言えば優しい子が多い気がしますね。僕はリクルートでも、独立してからも、しばらく人材紹介ビジネスをやっていたんですけど、ヒューマンリソースの観点で、時代背景とその時代に生きる人のタイプを大枠で紐付けるフレームがあると思っています。

多分、若い世代でも20代後半から30代前半までは割と競争文化に慣れていて。例えば、同期と戦ってランキングが出て、絶対勝ちたいとか、燃えるとか、比較的多かったと思うんです。

そのあとの20代の前半世代になると、「協力して社会に対して貢献したい」といった話にコミットするケースが多くなっている気がします。そのあたりから「社会起業家」という言葉が出てきたりして。

武田:

教育ベンチャーがすごい人気だったりね。モノが豊かになったので、そういう方向にやっぱ行くんじゃないですかね。何かが足りないから作るというより、大体のものが満たされているから。

山野:

もちろん若い世代が起業に向いてないとか全然思わないし、じゃあ、昔の人が向いてたのかって全然そんなことはないし。重要なのは、やっぱり自分はどうしたいか?で。

ただ、僕らが起業した時、同年代を意識する感覚はすごくあったな。武田さんは同い年ですけど、いきなり資金調達して、ドカンといっちゃって。そういう意味でネット業界のキラキラ星で。

一同:(笑)

木下:

たしかに、いま30歳前後の人たちって勢いのある会社をやっていますよね。それが見えるから学生たちも起業に興味を持ちやすくなっていて。僕が学生だった5年、6年前は有名なベンチャーって数えるぐらいしかなかったんです。

武田:

ただ、みんながみんな起業して...それが本当にいいのか?というのもあるんですよ。結局、うまくいく人って、それまでにやった仕事でもうまくいってるわけで。Rettyでインターン生をたくさん見てきたけど、起業がうまくいく学生は、仕事のスタンスに現れているし、周りからも信頼されていますよね。

木下:

そうですね。結果を出す人って、何やっても結果出すんですよ。その感覚って働いてみないと掴めないから。どんどん前に踏み込んでいくためにも、自信って大事だと思うんですけど、その自信は過去の成功体験からくるわけで。そこを、まわりに印象づけられるような人じゃないと、しんどいのかなって。

あと、「今が起業のタイミングか?」ってすごい大事なポイントです。そのサービスはこの時代の今という瞬間にやらなきゃいけないものか?って。2015年っぽくない人も結構いて。そのサービスだと既に先行している企業がある中で、先行するのが難しい。

武田:

スタートアップが大手に勝つためには、波に乗って一気にガンッていかなきゃいけなくて。そのタイミングが生命線だったりもしますよね。ぜんぜん波がない中でどんなに頑張っても、なかなかうまくいかない。

― 木下さんに伺いたいんですけど、投資のタイミング、その人へのサポートはどう決めるのでしょうか?

木下:

じつはかなりハードルが低くて。Twitterとブログがすごいちゃんとしてたり、アプリを過去に開発した経験があれば投資しちゃうとか(笑)投資出来なくてもとりあえず応援はしたいと思っちゃうんですよね。

enjapan Skyland Ventures 代表パートナー 木下慶彦さん

木下:

「凄み」を感じるかどうかってわかるじゃないですか、割と。むしろもっと「凄み」で投資を判断するというところにシフトしないといけないと思っていて。そうじゃないと素早く投資できないし、見逃すと思っているくらいです。

エンジニアか、非エンジニアかで違いますけど、エンジニアだったらサイトでもいいし、アプリを作ってきてくれれば、わかりやすいですし。非エンジニアでも、何を言ってるか、ちゃんとわかる人だったらいいんで。めちゃくちゃやる気あります、と。

― 変な話、「実績はないけど、めちゃくちゃやる気だけはあります」でも可能性はゼロじゃないということですよね。

山野:

投資の話とは違うかもしれませんが、仕事の成果って「能力×熱意×考え方」から生まれるってずっと言っていて。熱意が「100」あれば、他が「1」でも、困難はだいたい乗り越えられるって思ってる派なんですよ。体育会系というか、武闘派と思われるかもしれませんが(笑)

武田:

その熱意って何かカタチあるものに反映されるはずで。家で黙々とアプリ作ったとかでもいいし。そういう意味でも、情熱をぶつける先が大事で。

山野:

そうそう、熱意があったら動いていないことがおかしいんですよね。

スタートアップで活躍するタイプは分類できる?

― ベンチャーで働くといっても、いろいろなタイプの人がいますよね。ここまでの話にあった起業家を目指すタイプもいれば、そうじゃない人もいて。特に活躍できる人物をタイプ別に分類できないでしょうか。たとえば、学生の皆さんがそのタイプを参考にできるような。

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山野:

まず、大前提として、経営者の目線でいえば、学生なら「素直でプラス思考。勉強熱心」だったらよくて。「俺のやり方はこうだ」って揺るがないものがあるなら、自分でやればいいし、カタリズムに関しては最低でも「よくわかんないですけど、とりあえず全力でやり切ります」みたいな素直さがほしい。

武田:

確かにそれはありますね。同時に入社後、結果的に活躍している人のタイプで見ていくことはできるかもしれません。あくまでRettyにどういう人がいるか?っていう話だから、汎用的かわからないし、この分け方でいいかはわからないんですけど、

「技術優先タイプ」(Tech-driven)

「コミュニケーション優先タイプ」(Communication-driven)

「(自身の)哲学優先タイプ」(Philosophy-driven)

と、ウチのCFOが分類してくれました。「技術優先タイプ」は、「このサービスをより良くしたい」というところにコミットしてくれるタイプ。『Retty』というサービスが好きという前提で、エンジニアやデザイナーに多いですね。

「コミュニケーション優先タイプ」は、旺盛な好奇心があって、高いコミュニケーション能力で仕事を進めてくれる。外から見ても優秀に見えるし、スピード感があります。

最後の「(自身の)哲学優先タイプ」はマイペースで周りに流されずに黙々と仕事をしていき、ちゃんと結果を出す。直感で動けるタイプで、Rettyでもこれまでに何名かいました。

この分け方はあくまで一例ですし、参考になるかわからないですけど、「自分は何を志向するのか」「何をゴールとしているか」という部分は意識してみてもいいかなっていう気はします