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サイボウズ式:手紙社が企画作りで絶対にやらないことは「安易な多数決」「ここで決まった方が楽、という妥協」

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本音で話しあうこと。

一見当たり前に思えますが、会社において、チームにおいて、これは非常に難しいことだったりします。どうすれば、メンバー同士で本音を出し合い、より良いものを生み出すことができるのでしょうか?

年間約6万人を動員するイベント「東京蚤の市 」をはじめ、「布博(ぬのはく)」「GOOD FOOD MARKET」「もみじ市」などを企画・運営する株式会社手紙社さんのチームワークから、そのヒントを探ります。

自分たちが「ワクワクする」と感じたことを形にする


明石:今日はどうぞよろしくお願いします。

私、手紙社さんのイベントやカフェの大ファンで、実はこちらのカフェにも一度お伺いしたことがあるんです。ご飯がとっても美味しかった記憶があります。

鳥田:ありがとうございます。



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今回取材をした場所は、柴崎駅から約1分の場所にある「手紙舎 2nd STORY」。カフェの隣には、紙ものやテキスタイルの雑貨・食料品などの販売スペースが併設されている

明石:手紙社さんはさまざまな事業をされていますが、どのようなコンセプトの会社なんですか?

小池:自分たちが「ワクワクする」と感じたことを形にする会社です。「店舗の運営」「イベントの企画・制作」「本の編集・執筆」という3つの事業軸はありますが、明確な区別はありません。

明石:やりたいことを形にできるって素敵ですね。お二人は、いつから手紙社さんに?

鳥田:私は、3年前くらいですね。もともと手紙社のカフェの近くに住んでいて、カフェに通っていたんです。その後に、手紙社主催のイベントに行って。「あっ、同じ会社が運営してたんだ!」と興味を持つようになりました。

そしたら、転職したいタイミングでちょうど募集がかかっていたので、これは運命だと思って思い切って応募しました。

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鳥田千春(とりた・ちはる)さん。もともと別会社で販売業務に携わっていたが、「自分が本当にいいと感じたものを発信する仕事がしたい」という想いから、株式会社手紙社に入社。現在は、同社で美術制作部のリーダーと、テキスタイルなど布にかかわる作家の合同展示販売展「布博」のリーダーを務める

小池:僕は、実は去年7月に入社したばかりなんです。それまでは、10年くらい出版社で働いていました。

明石:手紙社さんを知ったきっかけは何だったんですか?

小池:「東京蚤の市」ですね。以前から蚤の市に遊びに行っていたんですけど、最初は手紙社が運営しているなんてまったく知らなかったんです。参加者だった時から、イベントの世界観やお客さんの層、情報発信の仕方が独特なところに惹かれていました。

明石:ということは、お2人とも、昔から手紙社さんの事業のファンだったんですね。

小池:そうですね。手紙社のイベントや仕事のマインドを知って、好きになって入社してくる人が多い気がします。

「本当は物足りないな」と思う気持ちに嘘をつかず、「違和感を残さない」チームになる


明石:お2人は今、どんな事業を担当されているのでしょうか?

鳥田:私が「布博」、小池が「蚤の市プロジェクト」のリーダーを担当しています。

布博は、年間約2万人が来場する、テキスタイルなど布にかかわる作家の合同展示販売展。蚤の市プロジェクトは、手紙社で今規模が一番大きなイベント事業です。関西・東京開催を合わせて、年間約8万人にお越しいただいています。

明石:東京蚤の市は、5月にお邪魔させていただきました。毎回クリエイティブが素敵で、インスタグラムもフォローさせていただいています。イベントも大盛況で、通路で前に進めないくらい人が集まっていて。

出店者が参加者と一体となって楽しんでいることを実感できました。

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2016年5月に開催された「東京蚤の市」の様子。企画チームが全国から選りすぐった古道具店や古書店など、約200組の出店者がつどう。出店者の募集を一般からは受け付けないという「こだわり」が、手紙社さんならではの雰囲気を生みだしている。場内ではライブやワークショップなども同時に開催される

小池:ありがとうございます。イベントの成功には、出店者の方の盛り上がりが欠かせないと思っています。

明石:イベントの準備にはどれくらいの時間をかけるのですか?

小池:布博も東京蚤の市も、だいたい半年くらいですね。どちらも2・3人のコアメンバーで企画を進めていきます。

明石:あれだけのイベントをたった3人で......。すごいですね。

小池:スモールチームで運営する目的の1つは、「違和感を残さないチームになること」です。

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小池伊欧里(こいけ・いおり)さん。蚤の市プロジェクト(東京蚤の市・関西蚤の市)のリーダーを務める。それ以外にも、さまざまなジャンルの一流の作り手が揃い、商品をその場でオーダーメイドできる「オーダーメイドの日」など、新しいイベントの企画も担当する

明石:「違和感を残さない」チーム、ですか?

小池:イベントを企画・運営していると、「チームとしての意思決定」をする場面がたくさんあります。その時に必要なのは、大前提として多数決では決めない、ということ。意見がたくさんあっても、その中に良いものがなかったらGoは出せません。

自分たちの感じているほんの小さな違和感を、チームで徹底的に話しあって消していくことが必要だと思います。

鳥田:企画を進めていく時、「ここで決まっちゃった方が楽だな」と思うことってやっぱりあるんです。でも、「本当は物足りないな」って思っている自分の気持ちに嘘をつかず、それをみんなでとことん話し合えることが大事。

本当に自分がワクワクするか?という、本音を隠さないチームでいることを心がけています。

小池:ミーティングでもなんでも、何も言わないなら参加する意味はないと思っています。年齢や立場関係なく、思ったことを伝えるためにも、企画の根幹部分はスモールチームで運営しています。

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毎回力が入れられている「東京蚤の市」のメインビジュアル。イベントが終わるころには、編集部で「次回のビジュアルをどうしようか」という会話がされるそう

明石:本音で話し合ったあと、最後にはどうやって決めるんでしょう?

鳥田:最終の意思決定はリーダーが行います。その最終的な決定の基準も「自分が本当にいいと思ったかどうか」ですね。

やりたいことに対する個人の情熱は大事、チームの役割は「もうひと殻を破る」こと

明石:手紙社さんが、自身のチームのことを「編集チーム」だとおっしゃっているのをHP上で拝見しました。そこで、編集ってどういうことなんだろう?ということを考えてみたんです。 

手紙社さんは、場所やコンテンツや出店者などの組み合わせを考えるのがとても上手ですよね。私はそのような「組み合わせを考える力」を「編集力」だと思っています。 

手紙社さんの編集力に、チームはどう影響を与えているのでしょうか?

鳥田:私たちが何かを始めるときには、「自分たちがワクワクするものを伝えたい」という思いがあります。みなさんにお披露目するときに、どんな方法で、どんな組み合わせで、どんなコンテンツを盛り込んで、どんなパッケージにすることがベストなのか、それを考える力が「編集力」だと思っています。

そうなった時、純粋に、1人じゃないっていうのはやっぱり強いと思うんです。持っているものがそれぞれ違う個性的なメンバーなので、アイデアや考えを出し合うことによって、刺激を受けたり、思いもよらないことが生まれたりするので。

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小池:情報をリリースするタイミングなども、チームで考えることで正確に見極めることができます。チームになることで、客観的な視点も得ることができますよね。

鳥田:1人のときに大切なのは、自分のやりたいことに対して、どれだけ情熱を持って取り組めるか。

一方で、チームになったときは、自分がやりたいという想いだけに固執せず、「イベントとして良くなるために」という視点で、みんなの意見を自分も含めて平等に聞くことが大切だと思います。

小池:1人で考えるだけだと、もうひと殻を破ることができない。その着火剤になるのがやっぱりチームですよね。

仲間であると同時に一人一人がライバルでありたい

明石:手紙社さんは、布博や蚤の市のほかにも、たくさん新しいイベントや事業を生み出されていますよね。どうやって企画が生まれるのでしょうか?

小池:社内で、定期的に「新しい企画を生み出そう会」みたいなものが開催されています(笑)

たとえば、先日開催された「オーダーメイドの日」というイベントもその会議で決まったものです。

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鳥田:オーダーメイドの日は、まさに小池の提案が膨らんだ企画です。

手紙社では、仲間であると同時に一人一人がライバルでありたいと思っていて。ほかの人よりもいいアイデアを出したい、それを実現したい。なので、周りの人が考えていることや、作ったものを常に気にしながら、それを越えるものを出していきたいっていう思いを個人個人がもって、話し合いに臨んでいます。

明石:そういった「ほかの人に負けないアイデア」を作るために、何か努力されていますか?

鳥田:自分の感覚を鈍らせないことを心がけています。いろんなクリエイターさんに会いに行って、実際に顔を見てお話しをすることや、街に出て、いろんなものを自分の目で見ることが大切だなと感じています。

あとは、時間を決めて、ネットで自分が良いと思うものを集めるようにしたり、1日の中でインプットの時間を持つように努めています。

小池:手紙社って、きっとそういう人が集まっている場所なんです。イベントを担当している私たちだけではなくて、カフェ担当も、雑貨担当のスタッフも。みんな常に新しいアイデアとか情報発信をやっていきたいメンバーが集まっている。

個人がとことんエゴを持って、それをチームで徹底的に話し合えるからこそ、手紙社ならではのコンテンツが生まれていくのだと思います。

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文:明石 悠佳/撮影:橋本 美花

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本記事は、2016年8月23日のサイボウズ式掲載記事「 手紙社が企画作りで絶対にやらないことは「安易な多数決」「ここで決まった方が楽、という妥協」」より転載しました。