刑務所を出所した人の支援者でつながろう 福祉と司法の連携の輪

「今の福祉制度から外れてしまう人には、社会に居場所をつくるためのネットワークが必要だ」

代表理事になった石川氏(左端)

刑務所を出所した人など、生きにくさを抱えた障害者を支える福祉・司法関係者がこのほど、連携の輪を広げるための一般社団法人を立ち上げた。支援者が問題を抱えて孤立しないよう事例検討会や研修会を開く。

発足したのは「生きにくさを抱えた障害者等の支援者ネットワーク」。代表理事には石川恒・障害者支援施設かりいほ(栃木県)が就いた。顧問は炭谷茂・済生会理事長(東京都)、清水義悳・更生保護法人清心寮理事長(さいたま市)が務める。

石川代表理事らは10月31日に都内で設立の報告会を開いた。障害者施設や更生保護施設の職員、刑務所や少年院の職員など30人が集まり、それぞれ問題意識を披露した。

刑務所や少年院を出た知的障害者らを複数受け入れている石川代表理事は「今の福祉制度から外れてしまう人は間違いなくいる。このネットワークがそうした人を支える足がかりになればと思う」とあいさつした。

発起人の一人、上野純宏・社会福祉法人武蔵野会理事長(東京都)は「生きにくさを抱えた人の受け皿となる社会福祉法人の動きは弱い。これから拡大するようつなげていきたい」と抱負を語った。

知的な能力は高くても反社会的な行動に出る障害者は制度の枠内では居場所を見つけづらく、支援者も孤立しがちだという思いから、石川代表理事らは社会に居場所をつくるためのネットワークが必要だと判断した。

(2016年11月8日「福祉新聞」より転載)

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