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シェアエコノミーの発展に制度改革が求められる

2014年11月20日 00時26分 JST | 更新 2015年01月19日 19時12分 JST
Aldo Murillo via Getty Images

カーシェアリング市場が急成長している。2013年末のステーション数7,232(前年比32.4%増)、車両台数11,010(41.6%増)だそうだ。利用者には自動車保有の固定費削減、社会全体では燃費のよい新型車の導入による環境破壊の抑制などの利益がある。このように、空き施設・空き時間・少額資金といった余剰資源を、社会全体として有効利用し、経済効率を上げるのがシェアエコノミーである。

情報通信政策フォーラム(ICPF)ではシェアエコノミーについて連続してセミナーを開催してきた。第1回は「サービス展開への挑戦」(9月29日)、第2回は「クラウドファンディングの可能性」(10月29日)であった。これに続いて、第3回「求められる制度改革」を11月27日に開催する。

安倍内閣は「地方創生」を掲げている。まち・ひと・しごと創生本部決定(9月12日)として基本方針が公表されているが、残念ながら、情報通信・科学技術活用への言及が一切ない。しかし、シェアエコノミーは地域創生に活用可能である。

そこに既存の制度が壁となって立ちはだかる。日光いろは坂の大渋滞は有名だが、自動車に実費+で同乗を求めて渋滞を解消するとしよう。これは、道路運送法が阻害する。料金を取るには、一般旅客自動車運送事業として、国土交通大臣の許可を受けなければならないからだ。四国にはお遍路さんに施しする「お接待」という習慣がある。その延長で、お遍路さんに実費+で村の空き家・空き部屋を提供するとしよう。これは、旅館業法施行令が阻害する。旅館の営業には、玄関帳場や適当な数の便所を有することが求められるからだ。景勝地の古民家を、新しい発想を求める企業の経営会議に貸し出すとしよう。これは、建築基準法が阻害する。古民家を会議用に改装しようとすると、現行の建築基準法に沿うように求められるからだ。このように、シェアエコノミー系のサービスは、ことごとく壁にぶつかって、観光による地域創生にすぐには活用できない。

10名集まれば催行する、造り酒屋巡りの旅を購買型クラウドファンディングで募集するとしよう。これは、旅行業法が阻害する。クラウドファンディング運営会社も、旅行の取次ぎをするとして、旅行業法の免許が求められるからだ。地元をよく知る地域金融機関が、新興企業向けに投資型クラウドファンディングの出資者を募集するとしよう。これは、日本証券業協会の自主規制(非上場株式の発行総額が1億円未満、投資者一人当たりの投資額が50万円以下)が阻害する。投資家保護に傾き過ぎた自主規制は起業家には利用しづらいという批判がある。シェアエコノミーの推進には運営会社がカギを握るが、貸付型・株式型クラウドファンディングの運営会社を設立するには、金融商品取引法に基づいて、第二種金融商品取引業の登録が求められる。法律の条文には書いてないが、金融機関の経験がある社員が必要といった、暗黙の規制が存在するという。

政府も過剰規制の問題には気付いて緩和に動き出しているが、その動きは遅い。たとえば、旅館業法については、国家戦略特区として要件を緩和するとの通知が5月1日に発出されているが、対象は外国人滞在施設だけで、宿泊期間も7日間以上が求められている。

シェアエコノミーは地域創生にも活用可能で、経済を効率化する新しい考え方であるが、説明してきたように、数十年前から続く制度(法律・規制・慣行・思い込みなど)が、活用を阻害している。新しい時代に対応した新しい制度を実現するには、政治家の指導力が必要になる。そこで、第3回セミナーには、福田峰之自由民主党衆議院議員(同党IT戦略特命委員会事務局長)をお招きし、意見を伺うことにした。その折、衆議院が解散される。今のところ福田議員はセミナーに登壇してくださるとのことなので、しっかり議論したい。