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NHK新会長の「オランダの飾り窓」の売春を肯定するような「放言」。橋下発言よりも悪質で辞任すべし

2014年01月26日 23時00分 JST | 更新 2014年03月28日 18時12分 JST

あまりにも脇が甘い。

大臣の就任会見だって、首相から閣僚に指名された新大臣は言葉を慎重に選んで、「問題発言」をしないようにするのが常だ。

それでも、歴史認識などについて持論を展開して、周辺国とのいらぬ軋轢を呼んで辞任に追い込まれる政治家もたまにいる。

個人的な思想信条はどうであれ、新閣僚が微妙な問題について不用意に発言をしたり、身内にスキャンダルなどが発覚すると、政府全体や与党の政権運営に悪い影響を与えてしまう。

省庁のトップとして新しい政策を打ち出し、何か法案を通そうとしても、野党からその不用意な発言について国会での質問が集中し、法案どころではなくなる。

こんなことは、政治の世界では当たり前に予想しなければならないことである。

だから、閣僚の任命にあたっては、首相周辺がその政治家の「身辺調査」をして、果たしてちゃんと務まるのかどうかを事前に確認するのだ。

閣僚ではないが、NHKの会長も国会での答弁をたびたび求められ、公共放送を送り出す組織の長として、「見識」を絶えず問われる公共的なポストだ。

NHKが国民に信頼してもらえる放送を届けているのか、それをトップとして見守り、指揮を執る責任者。

その人が就任早々の記者会見で「売春街」の名前を自ら口にしたのだ。

この一点だけでも公共放送の責任者としての是非を問われ、職を辞すに十分値する。

1月25日、NHKの新しい会長に就任したばかりの籾井勝人氏が就任記者会見で「問題発言」を連発した。

ニュースで、その発言を振り返ってみよう。

NHK籾井新会長「従軍慰安婦、どこの国もあった」(朝日新聞)

NHK新会長の籾井(もみい)勝人(かつと)氏は25日の就任会見で、従軍慰安婦について「戦争をしているどこの国にもあった」と述べた上で、日本に補償を求める韓国を疑問視した。従軍慰安婦問題を取り上げた過去のNHK番組に関連し、この問題に関する見解を問われ答えた。尖閣諸島・竹島など領土問題については、国際放送で「明確に日本の立場を主張するのは当然。政府が右ということを左というわけにはいかない」と話した。



出典:朝日新聞デジタル

NHK新会長の籾井氏 韓国の対応疑問視「慰安婦問題は解決している」(産経新聞)

NHK新会長の籾井勝人(もみいかつと)氏(70)の就任会見が25日、東京・渋谷の放送センターで開かれ、慰安婦問題への個人的見解として、「今のモラルでは悪いことだが、当時の戦争地域には大体つきものだったと思う。(問題は)日韓基本条約で国際的に解決している。それをなぜ蒸し返されるのか」と述べ、韓国の対応を疑問視した。NHK会長が慰安婦問題に言及するのは異例。  籾井氏は同時に、「日本だけがやっていたようなことを言われるのはおかしい。ヨーロッパはどこだってあったのではないか」と主張。一方で番組制作について、「私の考えはともかく、(放送の公平・公正を定めた)放送法に基づいて判断する」と述べ、自身の見解を番組に反映させることは否定した。



出典:MSN産経ニュース

従軍慰安婦についての詳しい発言は、以下もようなものだったという。

籾井氏は従軍慰安婦問題について「今のモラルでは悪いんですよ」としつつ、「戦争をしているどこの国にもあった」としてフランス、ドイツの名を挙げた。「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」とも述べた。飾り窓はオランダなどにある売春街を指す。  さらに「会長の職はさておき」とした上で、韓国についても「日本だけが強制連行したみたいなことを言っているから話がややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っている。しかしすべて日韓条約で解決している。なぜ蒸し返されるんですか。おかしいでしょう」と述べた。その後、記者から会長会見の場であることを指摘されると、発言を「全部取り消します」と話した。



出典:朝日新聞デジタル

この中の「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」という発言の意味はとても気になる。

「飾り窓」。オランダのアムステルダムなどにある売春街。「飾り窓」という名前の通り、ショーウィンドウの中にピンクなどの照明に照らされた下着姿の女性たちが椅子に座ったり、立ったりしながら、客に視線を投げかける売春婦の店が軒を連ねている。

どこの世界に、就任の記者会見で「売春街」の話題を自分から口にする報道機関のトップがいるだろうか。

「俺はオランダの飾り窓を知っているんだぞ」と言わんばかりの、浅薄な自己顕示欲が見てとれる。

行ったことあるんだぞ、と言いたかったのか。

それよりももっと言いたいことがあったのか。

オランダでは「飾り窓」は違法ではない。

合法で、女性たちの性病のチェックなども行政が関与する形で行われている。つまり「公娼」で、同じようなシステムはドイツにもある。

関心のある方は、「飾り窓」という言葉で検索してみるとよい。売春街の写真もすぐに見つかる。

それにしても、なぜ、籾井会長は「飾り窓」をわざわざ口にしたのか。

「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」。

この発言の意味は何だろう?

彼はどう続けたかったのだろう?

橋下徹大阪市長による、例の従軍慰安婦発言と非常によく似ている。

橋下市長も慰安婦について「あの時代はしょうがなかった」と言い、「日本だけではない」と言う主張を繰り返した。橋下発言を要約すれば、軍人には性的な処理をする場所、つまり、性的な処理の相手をする女性が必要で、当時はその一つが慰安所であり、他の国だって同様のものがあったのに、日本だけが批判されるのはおかしい、という主張だった。

橋下市長は、兵士が地元女性を強姦したりする事件を起さないように、アメリカ軍に性風俗の利用を勧める、という発言も行った。

これには、いろいろな団体から抗議が殺到したが、特に女性の団体や識者から「軍人には性的な処理の相手をする女性が必要なのか?」「女性の人権への蔑視ではないか?」という批判が多くあった。

籾井発言は、橋下発言と同種の思想と思われるだけはない。

橋下発言より、もっと悪質だ。

なぜなら「飾り窓」は日本の法律では売春にあたり、完全に違法だ。

「なぜまだ飾り窓があるのか」という言葉は、現在においても男性には性的な処理の場所が必要だという、日本では違法になっている売春を肯定する認識を示したと受けとめられる。

橋下氏の場合は、政治家だから、自分の発言が問題になっても有権者から次の選挙で支持されないというリスクを本人も承知だし、報道機関とは異なる立場だ。

しかし、公正に伝える義務を負う報道機関のトップがこんな認識であることを就任早々に世界中に発信してしまったことは、今後、国会や様々な場所で、問う必要がある。

さらにそれだけではない。

NHK新会長が韓国批判 慰安婦問題「解決済みを蒸し返し」(産経新聞)

NHK新会長の籾井勝人(もみい・かつと)氏(70)の就任会見が25日、東京・渋谷の放送センターで開かれ、慰安婦問題への個人的見解として、「今のモラルでは悪いことだが、当時の戦争地域には大体つきものだったと思う。(問題は)日韓基本条約で国際的に解決している。それをなぜ蒸し返されるのか」と述べ、韓国の対応を疑問視した。NHK会長が慰安婦問題に言及するのは異例。



出典:産経新聞

報道機関のトップが、他国を批判した、という見出しにもなっている。

すでに外交問題に発展しつつある。

さまざまなニュースを報道すべき報道機関の長の発言が、外交問題になり、現地ではニュースになりつつあるのだ。

ここでは、個人の思想信条を問題にしているのではない。

個人としてどんな思想や歴史観を持っていようと、それは自由だが、地位が高くなればなるほど、どこで何を発言するかを考えられる人間でないと組織の責任者は務まらない。

記者会見という公の席で、外交の機微や歴史認識の微妙な点に触れる問題について、個人的な意見をあけすけに披露してしまうこの人物は公共放送の経営トップの資格がなく、不適格であることは明らかだ。

すでに籾井氏を会長に任命したNHKの経営委員会も頭を抱えているらしい。

NHK籾井勝人会長の慰安婦発言で進退問題に発展か?NHK経営委員会からは「外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる。」と失望の声(毎日新聞)

NHK会長としての一歩を踏み出す晴れ舞台となるはずだった就任会見で、籾井勝人(もみい・かつと)氏は窮地に立たされた。自らの不用意な発言が進退問題にも発展しかねない状況だ。 (中略)  籾井氏は昨年12月にNHK経営委員会から会長に選出されたばかり。経営委員側からは「外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる。国際放送の役割についても事前に十分説明したのに、正しく理解していない」と失望の声がもれた。発言の真意をただし、今後の対応を検討するため、浜田健一郎委員長は週明けにも籾井氏と面会する予定だ。28日には経営委もあり、各委員から直接追及されるのは必至だ。さらに来年度予算の国会審議も間近に控え、議員の質問攻めにあって同じ過ちを繰り返すことも懸念される。



出典:毎日新聞

およそ報道機関の責任者として必要な最低限の常識も兼ね備えていない人物が公共放送のトップでは、日本国の信頼も揺るがしかねない。

すみやかに辞任するようオススメする。

(2014年1月26日「yahoo!個人」より転載)