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テレビとソーシャル・メディアの蜜月がさらに進むときっと世界が変わる

2013年10月24日 23時41分 JST | 更新 2013年12月24日 19時12分 JST

テレビ番組がソーシャルメディアが融合し始めていると言っても、そんなのは当たり前じゃないかとスルーされてしまいそうです。「半沢直樹」人気がソーシャルメディアで増幅され、また「あまちゃん」もソーシャルメディアで「じぇじぇじぇ」が広がり、これまでNHK朝の連続テレビ小説なんか見たこともない若い世代との番組の出会いをつくりました。今の「ごちそうさま」の視聴率が高いのもその貯金でしょう。

しかし、ライブドアがフジテレビを買収しようと動いた当時のインターネットと既存メディアが敵対的な関係にあった頃を振り返ってみると、隔世の感があります。あの当時に現状を維持したいという人は、インターネットとテレビの違いを摩訶不思議な説でかたくなに主張する人もいたことを覚えています。今頃どうされているのでしょうか。

歴史に「もしも」はありませんが、もしライブドアによるフジテレビの買収が成功していたら、あるいは楽天によるTBS買収が成功していたら、日本は、テレビメディアのみならずインターネットの世界も、もっと大きく変わっていただろうと感じます。あの騒動が2005年ですから、メディアの進化については、少なくとも5年は時計を進めることができたかもしれません。

今は、少なくともソーシャルメディアをテレビの入り口として、いわばソーシャルメディアがリモコンのような役割を果たすことを目指した動きが起こってきています。11月に上場を予定しているツイッターが上場後の成長戦略のポイントはテレビとの共存共栄においているところも注目されます。

Forbesが記事タイトルにしたように、「ツイッターがテレビを救うことができるのか?(はたまたテレビがツイッターを救うことができるのか?」にあるように、互いがいい影響をつくりあう関係が成り立つかどうかに焦点が移ってきています。

Can Twitter Save TV? (And Can TV Save Twitter?) - Forbes :

ツイッターは、ユーザー数の増加の伸びが鈍化してきています。ツイッターが広告収入をあげようとすると、広告スペースを増やすか、広告の単価を上げるかの選択になってきます。しかし、どちらも難しく、なんらかの新しい選択肢が必要となってきて、それがテレビの入り口としての役割を担うことだいうわけです。

FERMATAが、このツイッターの動きを詳しく解説してくれています。

テレビの呼び込み役へと舵を切るTwitter | JOURNAL | FERMAT :

そこで、Twitterが取ろうとしている戦略が、インターネットの登場以後、押されているとはいえ、今尚、最も人々の関心を集め続けている「テレビ」の視聴を促す導き手、要するに呼び込みの役を担うというものだ。そうすることで、テレビ事業との間でウィン・ウィンの関係を作ることを試みる。

Twitterは既に、スポーツ中継の注目シーン(たとえば、NBAの中継でバスケット選手がダンクシュートを決めたシーンなど)を短いCM付きで視聴できるツイートを提供しているが、そうしたビデオ付きツイートが増えることで、いわば、公式のビデオリンクが頒布されることになる。

ソーシャルメディアがテレビの入り口になってくるというのは、つまり、今は無理でも、やがて例えば友達が「いま面白いのをやっているよ」とリンクを張り、リンクをクリックすればその番組がでてきて、互いに盛り上がるといった時代が近づいてくることを意味します。

"O2O"というキーワードが最近しきりにでるようになりました。オンライン(インターネット)とオフライン(ネットを離れた実際の消費者行動)を結びつけようということです。それがさらに三つのOの輪がとなってきます。つまりオンラインのO(インターネット)がオンエアのO(放送)の入り口となり、さらにオフライン(放送やネットを離れた実際の消費者行動)に影響するという関係です。

オンエアで流れる広告が、瞬時にオンライン画像に切り替わり、見ている人が関心あるコマーシャルが流れてくる、それと同期しているスマートフォンをクリックすればショップにつながり、購入できるといったことも決して夢の話ではなく、技術的には現実のものとなってきているのです。

そういった世界が実現されるには、インターネットとテレビ局、また液晶テレビそのものの間に化学反応が起こって来て、それぞれが変わっていく必要があります。それが、それぞれのビジネスの新たな成長のエンジンとなってきそうなのですが、そういった将来の成長よりも目先の売上を維持したい、アップしたいと考えるのが人の常で、なかなか前に進みません。それは技術の問題ではないのです。技術だけで世の中が変わるというものではありません。たとえ新しいいい技術が生まれても、それを利用する気がなければ猫に小判で終わってしまいます。

ハードルは決して低くはないのでしょう。それぞれがイノベーションにチャレンジする意志の強さ、過去を捨てる覚悟が必要になってきます。なかなかできないことです。

電波の仕組みにしがみついている限り、電波で築いたビジネスへの参入を阻止し、いまは高額でも、やがては1インチ1000円といった価格下落の地獄が待っていることが目に見えていても、4Kや8Kにすがりつくしかないのかもしれません。それで得をするのは、放送機材を買い替えてもらえるSONYぐらいじゃないかとすら思うのですが。

ただテレビとソーシャル・メディアの蜜月が始まってきていることは、やがて自然発生的な流れが広がり、結果として変化を促すということになってくるのでしょう。それに期待しましょう。

(この記事は2013年10月24日の「大西 宏のマーケティング・エッセンス」からの転載です)