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「ビッグデータ活用」は未来を生きる日本人の必須科目か?

2014年01月24日 02時42分 JST | 更新 2014年03月24日 18時12分 JST

ハフポスト記事、「日本がビッグデータ後進国になってもいいのか」ヤフーが警鐘を鳴らす理由を拝読。結論からいって、「このままでは日本でビッグデータを使ったサービスができなくなる。結局、使っているものはすべてアメリカのもの、そんな未来でいいのか――。」というヤフーの危惧は尤もだと思う。

日本の役所は「規制」が大好きだが、ビッグデータ活用に不必要な規制をかけたら「角を矯めて牛を殺す」結果となり、日本経済が壊死してしまうかも知れない。安倍首相はダボス会議で、経済成長へ規制改革に決意と、世界のリーダーを前に決意表明をした訳であり、「ビッグデータ活用」についても当然民間に自由に競争させるべきであろう。

■ ビッグデータを活用せねば未来は始まらない

今後予想されるのは、国家、企業、民間、その各々のレイヤーでの競合が益々加速する事である、「知恵比べ」、「アイデア勝負」、「スピード競争」の激化といっても良いだろう。競争に負けたら野垂れ死には免れないので、歯を食いしばってでもこの競争に勝ち抜くしかない。

ビッグデータをクレンジング、分析し、状況を正しく理解する。その上で、課題を抽出し、ITを利用して即座に解決する。国家、企業、民間、その各々のレイヤーでこれを実践せねば、国際競争に勝てない。即ち、未来はないという事である。

■ IT産業に期待せざるを得ない新規雇用

今朝のBBC Newsが、イギリス経済の好調を反映して失業率が7.1%に低下した事を伝えている。確かにドイツの様な一部例外を除けば他のEU諸国の失業率に比べれば良い数字なのかも知れない。それでも7%を超えている。そして、記事も指摘している様に失業率は改善しているが労働者の年収は減っている。

日本も含め先進国に共通する問題は「雇用」の確保であり、質の高い「雇用」を如何に創出するか? が先進国に取っての息の長いテーマになる。日本の場合、後述するが製造業は海外に出て行くので、結果、IT産業に期待せざるを得ないのではないのか?

■ ルネサスを早期退職する5,400人をどうやって救済するのか?

今少し具体的な話をしてみたい。産経新聞が伝えるところでは、ルネサス、早期退職で再建加速 15年度末までに5400人削減との事である。業績が悪化し社員のリストラに着手せねばならない企業の事情は理解出来る。しかしながら、問題はリストラされる5,400人の将来ではないだろうか?

彼らの経験や能力が最も活かせる半導体業界への転職はほぼ不可能だと推測される。他の製造業も基本的に海外移転の方向だから、余程優秀でない限り他の業界からの転職者を受け入れたりしないだろう。従って、ブラック企業として有名な居酒屋チェーンに非正規雇用で職を得たり、職が見つからず生活保護を申請したりといったケースが今後予測される。

きちんとしたオフイスでパソコンに向かいビッグデータのクレンジング、分析、分析結果を活用しての戦略立案、データを活用したコンテンツやアプリケーションの開発の様な仕事があれば今回参照したルネサスのみならず、今後大量に発生する製造業からリストラされるエンジニアの雇用の受け皿になるはずである。ビッグデータの活用は産業政策のみならず具体的な社会保障施策という事である。

■ 財務省貿易統計が示す日本の近未来

昨年11月度の財務省貿易統計を参照する。2013年11月の貿易赤字は11月としては過去最大の1兆2、929億円で、相変わらず燃料輸入の増加で輸入が増える一方で円安だが輸出数量の伸びが限定的で、全体として赤字の拡大が一向に止まらない。ところで、この数字は一体何を意味しているのだろうか?

第一は、少子高齢化に伴い日本は生産するより多く消費する国になったという事実である。今一つは、「円安」でも輸出数量が増えない事実が示す様に日本企業に往年の競争力はなく、安倍政権がアベノミクスで実現を目指した、「金融緩和」から「円安」を誘導し、輸出増から設備投資、雇用創出、賃金増は頓挫したという事であろう。

とはいえ、経常収支段階での赤字を傍観する訳にも行かず、今後安倍政権は投資収益の拡大に舵を切る筈である。これを耳触りの良い言葉で表現すれば「貿易立国」から「投資立国」へのパラダイムシフトという話になる。しかしながら、その実態は元気の良い企業、優秀な人材、そして国内資本の海外逃避に他ならない。副作用として日本が抜け殻になる事も覚悟せねばならない劇薬である。

■ TPP妥結を見越しての日本のIT戦略とは?

安倍政権は間違いなくTPPに加盟する。日本が今世紀も繁栄の継続を望むのであればTPPへの加盟を逡巡している場合ではない。日本がTPPに加盟する事によって実現するのは、アメリカを筆頭にアジア・太平洋の加盟国との間の「通商」、「投資」に関するシステムの一元化、標準化であると理解している。

重要な事は、「通商」、「投資」に関しての戦略判断はビッグデータの分析結果に基づいて行われるという事である。日本がTPPに加盟するという事はイコール「通商」、「投資」分野でシステムをアメリカに合わせるという事であり、その前提となる「ビッグデータ活用」の分野で日本が「ガラパゴス」と呼んでも良いだろう独自路線を採用する事はあり得ないと思う。

■ 国民のプライバシーを犠牲にしてのIT産業振興の意味不明

こういう主張をすると「国民のプライバシーを犠牲にして、特定のIT企業を儲けさすのか?」と揚げ足を取る人が必ず出て来る。しかしながら、どういう思考回路でそういった結論に至るのか? 私には、さっぱり理解出来ない。

例えば、以前紹介した「テレビ革命」が加速すれば、視聴ログを解析する事でテレビ局は個々の視聴者が何時? どの番組を視聴したか? の個人情報を手にする事になる。しかしながら、テレビ局は当然の話としてこの情報を自由に使う事は許されない。個人情報保護法に順守しなければならないからである。

一方、私の様な50代後半の男性が視聴する番組はどの様なものか? といったデータを企業のマーケッティングに活用する事が国民のプライバシーを犠牲にしていない事も同様明らかである。

■ 国内企業のみを規制しても国民のプライバシーは守れない

国内通信事業者の監督官庁は総務省であり、通信事業者に対しては守秘義務が厳格に課せられている。その一方、グーグルの様な外資企業に対しては実態は野放し状態ではないのか? こういう状況で監督権限の及ぶ国内企業のみを監督官庁が厳しく締め上げたところで、所詮自己満足に過ぎず国民のプライバシーを守る事など夢のまた夢というしかない。国内企業が疲弊するだけの話という事である。

ちなみに、グーグルで私の名前で検索したら本人がずっと以前に忘れてしまっている様な事柄も含め、私のプライバシーが丸裸にされてしまう。とはいえ、今の世の中でネットにアクセスせずに暮らす事は不可能であり、ネットにアクセスすれば必然的にこういう結果になってしまう。これを受け入れるしか選択肢がない状況にあるにも拘わらず、ビッグデータの影に怯えるのは正直愚かな行為だと思う。

「Facebookで友達になってはいけない人」