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ガザ停戦は近い

2014年07月24日 15時29分 JST | 更新 2014年09月22日 18時12分 JST
時事通信社

飽く迄私の個人的な意見だが、「ガザ停戦は近い」と考えている。複数の国際ニュースに接する限り、イスラエル、ハマス共にこれ以上戦闘を長引かせれば市民の犠牲者が増え国際社会で孤立してしまうからである。今回は国際ニュースの中身とその背景を分析しながらイスラエル、ハマスの今後の対応の論考を試みるとする。

秀逸なハフィントンポストの取材映像

How Hospitals Across Gaza Are Coping With Conflictを視聴した時は、ハフィントンポストの様なネットメディアがここまで来ているのかと正直驚いてしまった。ガザの医療体制を支える幹部達に対し直接取材する事で、最早野戦病院と化してしまったガザの市民病院の惨状を余すところなく伝えている。この取材映像がハフィントンポスト経由既に全世界に公開されてしまった。これではイスラエルは堪らない。全世界でガザで殺害される無垢な子供や女性に同情してイスラエルに対し即時停戦を求める展開になるからである。

米国航空庁がイスラエルへの米民間機の乗り入れを禁じた事の意味

ハフィントンポスト記事、テルアビブ便の運航を中止 欧米の複数航空各社、ガザ情勢悪化でを参照する。民間航空機の安全確保を理由に米国航空庁がイスラエルへの米民間機の乗り入れを禁じ、これにイギリスを除くEU各国が追随したものである。オバマ大統領は公式にはハマスをテロ集団と認定した上でイスラエル支持を表明している。しかしながら、今回の禁止措置はオバマ政権としてのイスラエルへの速やかな停戦を求めるシグナルであると考えるのは至って自然である。

自分は安全なカタールで徹底抗戦を叫ぶハマスの指導者

今朝のBBCはHamas says Gaza blockade must end before ceasefireと、エジプトの停戦案に対し、陸上及び海上封鎖の解除がイスラエルにより実行されねば徹底抗戦を続ける事を宣言しているハマスの指導者について伝えている。

The leader of Islamic militant group Hamas has said there can be no ceasefire to ease the conflict in Gaza without an end to Israel's blockade.

Khaled Meshaal said Hamas would continue to reject a lasting ceasefire until its conditions were met.

It follows further Israeli air strikes and ground operations in Gaza, as Hamas continues to fire rockets into Israel.

BBCは敢えて触れていない様だがハマスのリーダー、Khaled Meshaalはカタール在住のはずである。従って、彼は自身は安全な場所にいて、ガザの学校や病院近くに設置されたミサイル基地からイスラエルに対しミサイル攻撃を指示している訳だ。この状態であれば、イスラエル軍がガザのミサイル基地の破壊、殲滅を目指せばどうしてもパレスチナ市民の犠牲が出てしまう。イスラム過激派の常套手段である「人間の盾」である。 

イスラム社会で孤立を深めるハマス

冒頭のハフィントンポスト取材映像を視聴する限りガザの医療体制は既に崩壊している。「アラブの大義」が健在であれば、エジプトはガザとの国境を開き重篤な怪我人、病人をエジプト国内に受け入れ治療すべきであろう。しかしながら、一向にその様な動きは見受けられない。更に、ハマス支持のデモはあるが、規模は至って小さく、局地的、散発的であり、アラブの春の時の様なエネルギーは皆無である。更には、イスラエル大使館に対する抗議、大使館員の追放、外交断絶の要求等、BBCを読む限り今のところ皆無と思われる。

従来であれば、困窮するパレスチナ人に対し冷酷な仕打ちに徹するエジプトに対しアラブ社会は厳しく非難したはずである。しかしながら、今回は明らかに様子が違う。アラブ連盟がハマスが受け入れを拒否したエジプトの停戦案を支持した事実が現在のアラブのセンチメントを如実に示している。そしてこれが、イスラエルがハマスに対し強気に出る事が可能な背景である。

ガザの復興に日本の積極支援が求めれる

アメリカとUAEはガザに対して総額8,700万ドルの援助を供与する予定である。アメリカの援助4.700万ドルは人道支援で、UAEの4,000万ドルは再建のためのものであると聞いている。日本はアメリカの同盟国であり、ガザの停戦が実行された段階でアメリカより応分の支援を求められる展開になるのは確実であろう。「積極的平和主義」を標榜する安倍政権としては、ガザの復興支援を新たな日本外交のショーケースと心得、支援効果、日本の国益最大化を目指し、知恵を絞った上で政府開発援助を進めて行かねばならない。

深化する日本とイスラエルの国家関係

イスラエルという国家にに取ってガザ問題は「喉に刺さった骨」の様なものである。根治するにはガザを再建し、市民の生活を改善するしかない。先ず、上下水道を整備し公衆衛生体制を構築し感染症を予防する。次いで、発電所と送電システムを改善し停電をなくす。最後は貧困層への「医療」と「教育」サービスの提供である。これらは全て日本の得意とするところで、政府開発援助を通じ中東でも多くの実績がある。私自身、1986年から1989年までの三年半中東、イエメンに駐在し、円借款事業として「セメントプラント」、無償援助として「上水道プロジェクト」、債務救済援助として「産婦人科病院」を担当し、プロジェクトを成功に導いている。

従って、アメリカやイスラエルに取って、ガザ復興に取り組むのに際し日本程頼もしいパートナーはいない。最近外務省が公表した、日本・イスラエル共同声明 (骨子 )を読む限り「深化する日本とイスラエルの国家関係」が見て取れる。石油の大部分と天然ガスの多くを中東に依存する日本としては、好む好まざるとに拘わらずこの地域に今後も関与せざるを得ない。

そうであれば、アルジェリアの人質事件の様な、不条理で悲しい出来事の再発は不可避である。台風の被害を軽減するために気象庁の気象レーダーが有効である様に、イスラエルのモサドが所有する「インテリジェンス」は北アフリカや中東に駐在する日本人のリスクを大幅に軽減する事は確実であろう。この辺りは以前公開した、特定秘密保護法案の成立とアルジェリア人質事件で説明しているので、こちらを参照願いたい。

平和ボケの日本人こそが日本のお荷物

何も自慢する訳ではないが、ガザ関連最近の国際ニュースからだけでもこの程度は理解出来てしまう。しましながら、冒頭に紹介したハフィントンポストの取材映像に比較して余りにお粗末な国内マスコミの報道、集団的自衛権行使容認に関し、何時までも些末な話に固執し安倍政権の揚げ足取りに終始する野党各党、中東を含め世界情勢を全く理解していないにも拘わらず、「特定秘密保護法案」や「集団的自衛権行使容認」に反対し、国会周辺でのデモに参加する国民、これ等に接すると、改めて「平和ボケの日本人こそが日本のお荷物」だと痛感する。そして、彼らの日本での居場所は近い内になくなるのでは?と予想する。