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消費税「集中点検会合」結果が意味するもの

2013年09月01日 23時47分 JST | 更新 2013年11月01日 18時12分 JST

NHKが報じる所では、今回選ばれた有識者60人の内、法律どおり来年4月から消費税率を引き上げることに44人が賛成したとの事である。7割強が賛成という事であるからこの意味は大きい。今後この結果を受けて安倍政権は予定通り消費増税に向けて進んで行く事になる。ついては、この機会に消費増税の必然性とその課題について考えてみたい。

そもそも消費増税回避は可能なのか?

今問われているのはアベノミクス、「成長戦略」の確かな中身、冒頭で説明の通りである。「日本の喫緊課題は「財政規律回帰」に向け実際に舵を切り、この事実を内外に向けてアピールする事である。安倍内閣による「消費増税」先送りの如き、誤ったメッセージを発してしまうと国債のリスクプレミアム拡大を嫌気して、長期金利上昇リスクが発生する。長期金利2%超で始まる悪夢が現実のものとなる瞬間である。実際問題、「消費増税」先送りは「日本経済破綻」を意味し、安倍政権政策の選択肢には元々無かったと思う。

消費増税決定に相応しいタイミングとは?

ハフポストによれば、山口那津男・公明党代表「増税の決断いつするの?今でしょ」との事である。確かに消費増税という国民に痛みを強いる政策の実行を決断するにしては些か発言が軽いのは事実である。しかしながら、主張のポイントは正鵠を射ている。野村證券金融経済研究所 経済調査部は 2013年度実質GDP成長率を+2.5%と予測している。一方、失業率は3.8%で、他の先進国に比べ圧倒的に低い。今、日本が消費増税を決断出来ない様であれば未来永劫無理という事になってしまう。世界が日本は財政破綻に向けて歩き出したと思っても不思議ではない。

それでは何故消費税「集中点検会合」を開催したのか?

理由は二つあると思う。先ずは安倍政権が独断専行で突っ走ったのではなく、日本を代表する識者60人に集まって貰い、熟慮の結果であるという事を分かり易いかたちで国民に示したという事だと思う。結果は最初から決まっている訳であるが、飽く迄「手続き」として「集中点検会合」を開催した訳である。多少時間はかかるがマスコミ経由国民は少しずつ理解を深め、結果、消費増税決定のニュースを違和感なく聞く事となる。

今一つは、安倍政権としての政治的な思惑である。消費増税は昨年の三党合意の結果であり、増税の実施は野田前政権の衣鉢を継いだものである。安倍政権としてはこれでは手柄の殆どが野田前政権、特に野田前首相に行ってしまい面白くないと判断したのであろう。一旦白紙に鉛筆で書かれた消費増税に拘わるシナリオを消しゴムで綺麗さっぱり消し去り、もう一度安倍政権自らが書きあげるというものである。事実、今となっては三党合意や、消費増税を野田前首相が決断した事で民主党が分裂し、弱体化してしまった事を覚えている国民は少ないのではないか? 消費増税における民主党貢献の記憶を消し去り、自民党の実質一党独裁体制をより強固にする積りなのであろう。中々したたかと思う。

置き去りにされた「社会保障と税の一体改革」

安倍政権となり違和感を覚えるのは消費増税ばかりが議論され、昨年野田前内閣が決定した「社会保障と税の一体改革」というスキームが置き去りにされている事実である。そもそも、「社会保障と税の一体改革」は三党合意の結果であり、野田前政権が単独で決めた話ではない。更に、消費増税は債務問題解決のための一手段であり、これが目的な訳ではない。増税しても今までと同じ様に歳出を膨らませている限り債務問題はちっとも解決しない。平成25年度一般会計歳入歳出暫定予算概算によれば社会保障費は突出している。従って、社会保障の部分に大鉈を振るわぬ限り日本の債務問題が解決しないのは明らかである。

話題にすらならない「行政改革」と「公務員改革」

私は消費増税には終始一貫賛成している。しかしながら、日本国民は政府に取って都合の良い「財布」ではないし、そうであってはいけないと考えているのも今一方の事実である。一般会計歳出で一番大きいのは先に述べた社会保障費だが、その次は地方交付税交付金である。役人がどれ程抵抗しようと「歳出削減」を最優先課題として国や地方機関の整理統合を断行し、行政組織の効率化と経費削減を達成せねばならない。公務員の配置転換等本来当たり前の話であるし、生産性の伴わない公務員については「雇用調整」も実行すべきと考える。消費増税で国民に痛みの負担を強要しながら、その一方、行政組織は温存し、更には、公務員の待遇見直しに手を付けない様な事になれば、安倍政権は一気に国民の支持を失う事になると予測する。