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ずば抜けたハメス・ロドリゲス 次世代の世界的な看板選手に化ける可能性大

2014年07月03日 23時50分 JST | 更新 2014年09月02日 18時12分 JST

日本が去った後、決勝トーナメントに突入した2014年ブラジルワールドカップ。どの大会もラウンド16が一番の激戦と言われる。案の定、28日(以下現地時間)のブラジル対チリ戦(ベロオリゾンテ)は緊迫感あふれる一戦となった。ブラジルは前半18分のうちにダヴィド ルイス(チェルシー)が左CKから先制点を挙げたが、チリのサンチェス(バルセロナ)に1点を返された。その後、シュート数で上回るブラジルが優位に試合を進めたが、組織的な戦いを見せるチリを攻略しきれず、延長戦へ。それでも決着がつかず、今大会初のPK戦へと突入した。そのPK戦は両者ともに凄まじい重圧がのしかかったのか、失敗する選手が続出。ブラジルはウィリアン(チェルシー)、フッキ(ゼニト)がミスし、チリもピニージャ(カリアリ)、サンチェスが失敗。最後のキッカーのハラ(ノッティンガム)が蹴ったシュートが右ポストを直撃し、ブラジルに待望の白星が転がり込んだ。

ホスト国勝利の熱気を受けて、リオデジャネイロのマラカナン競技場では同日夕方、コロンビア対ウルグアイの南米対決が行われた。エース・ファルカオ(モナコ)の欠場で戦力ダウンが懸念されたコロンビアだったが、新世代のスター、ハメス・ロドリゲス(モナコ)らの大活躍もあって、順当にC組を1位通過してきた。一方のウルグアイもコスタリカ、イングランド、イタリアと同居するという「死の組」に入りながら、欧州勢を激化。2位通過を果たした。しかし絶対的点取屋のスアレス(リヴァプール)が、イタリア戦でキエッリーニ(ユヴェントス)に噛みついた一件で、代表戦9試合出場停止、サッカーに関するあらゆる活動を4ヶ月停止という厳罰を下され、早々と帰国を余儀なくされた。これは名将・タバレス監督にとっても非常に頭の痛い出来事。今回はフォルラン(C大阪)とカバーニ(パリ・サンジェルマン)を2トップに並べてきたが、得点力にはやはり不安があった。

コロンビアはそんなウルグアイに対し、序盤からゲームを支配した。前線に陣取るグティエレス(リーベルプレート)、セカンドトップの位置に入るハメス・ロドリゲス、右ワイドに入るクアドラード(フィオレンティーナ)、左ワイドに入るマルティネス(ポルト)の4人が流動的に動いて攻撃を組み立て、相手陣内に襲い掛かる。そして前半28分には、ボランチのアギラール(トゥールーズ)の浮き球のパスを受けたハメス・ロドリゲスが目の覚めるような胸トラップから左足を振りぬきゴール。華麗な個人技にスタジアムの観衆も目を奪われた。後半に入ってからもコロンビアペースは続き、後半5分には右の崩しからマルティネスが中央でタメを作り、左サイドバック・アルメロ(ウディネーゼ)のオーバーラップを引き出し、彼の精度の高いクロスをグアドラードが頭で落とし、それをハメス・ロドリゲスが蹴りこむというサイド攻撃のお手本のような攻めで2点目を挙げた。

前半は、何とか1失点で耐えていたウルグアイも2点差がつくとどうにもならない。タバレス監督は動きの重いフォルランを下げてストゥアーニ(エスパニョール)ら攻撃の切り札を次々と投入するが、守りに入った時のコロンビアが手堅いのは、日本戦を見ても分かっていること。カバーニもスアレス不在で孤軍奮闘せざるを得ず、孤立することが多かった。一瞬の動き出しの鋭さ、ゴールに対する特別な嗅覚を持つスアレスのいるウルグアイなら、それでもゴールの可能性を感じさせてくれただろうが、この日の彼らにはそこまでの迫力はなかった。スアレスの噛みつき事件はウルグアイにとっても、この試合を見守る人々にとっても、後味の悪いものになってしまった。

コロンビアが2-0で圧勝したこの試合で見る者を魅了したのは、卓越した個人技と得点感覚を併せ持つハメス・ロドリゲスだった。1991年7月生まれの彼は17歳でアルゼンチンのCAバンフィエルドへ移籍し、19歳でFCポルトへ。そして22歳になった昨季はモナコへ移籍し、34試合出場9ゴールという実績を残した。代表歴を見ても、コロンビアで開催された2011年U-20ワールドカップでエースとして活躍。同年10月のブラジルワールドカップ予選・ボリビア戦で初キャップを飾り、瞬く間にファルカオに肩を並べるような攻撃の核へと成長を遂げた。まだ22歳という若さだけに、クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)やメッシ(バルセロナ)の後を引き継ぐ次世代の世界的看板選手に化ける可能性は大いにありそうだ。

コロンビアは7月4日の準々決勝でブラジルと激突する。ネイマール(バルセロナ)とハメス・ロドリゲスの若きスターの競演はまさに必見だ。今大会5得点を挙げているハメス・ロドリゲスは今、乗りに乗っているだけに、不安定さを垣間見せるブラジル守備陣を打ち破ることは可能だろう。その底力を是非とも大一番で示して欲しいものだ。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

(2014年6月30日「元川悦子コラム」より転載)

ワールドカップ サポーター美女