BLOG

ベネズエラの治安が悪いってどういうこと?

2014年06月28日 19時19分 JST | 更新 2014年08月27日 18時12分 JST

一連の反政府デモ活動の原因の一つとして治安の悪さが挙げられるので、しばしばデモのせいで多くの人が亡くなり治安が悪化していると誤解する人がいるようです。

確かに、デモの中で40人を越える死者がでていますが、反政府抗議デモがベネズエラの治安を悪化させているわけではありません

ちなみに、ベネズエラの犯罪率の高さは2008年がピークで、この年、ベネズエラで暴力によって亡くなる人の数がイラクで暴力で亡くなる人の数を上回りました。

そして、正確な調査がなされていないので数に幅がありますが、2013年には1万1千人から2万5千人が殺人事件で死亡したと考えられています。

ベネズエラの状況は世界でも確実に最悪の部類に入ります

その治安の悪さについて少し詳しく見てみましょう。

二つのチャートに見る暴行事件の横行


米国ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)は世界中の死亡と傷害の原因を簡単に分かりやすく視覚化したデータを公開している。ベネズエラのページはなんともショッキングだ。

鍵となる基準の一つは損失生存年数(Years of Life Lost)*である。これは人々の寿命の統計的な基準で、ある人がもし早世しなかったとすれば、あと何年生きられるはずだったかを表す。

IHMEの方法で見ると、X軸に沿って年齢層が示され、Y軸はその年齢層の人々の死亡から産出された何千年単位の損失生存年数を示している。少しよく見てみれば、このチャートの意味が分かってくる。

これがベネズエラの1995年における損失生存年数である。

2014-06-28-1995.jpg

桃色の一番上の帯は各年齢層ごとに"故意の負傷"(要するに殺人と自殺のこと)による損失生存年数を表している。

そして、これが同じチャートで2010年を表したもの。

2014-06-28-20101.jpg

Caracas Chronicles

The Violence Epidemic in Two Charts

2014年5月26日Francisco Toro

*訳注)損失生存年数は、疾病や障害によって早死する死亡率と死亡時点での平均余命の関係から導かれる指標である。

1995年から2010年の15年間で、犯罪に巻き込まれて亡くなる若者(10代後半から35歳未満)の割合がかなり増えていることが分かります

ちなみにチャベスが政権に就いていたのは1999年〜2013年です。

現在ワールドカップが行われているブラジルの2010年の損失生存年数はこうです。

2014-06-28-brazil2010.jpg

では日本の2010年の損失生存年数はどうでしょうか。

2014-06-28-YLLJapan1010.jpg

日本の若者が犯罪や自殺によって死亡するのが非常に稀なことが分かります。

確かに、犯罪によって命を落とす人は世界中どこにでもいます。日本にだって犯罪で命を落とす人がいるのは確かです。

ですが、「ベネズエラで犯罪に巻き込まれて若者が沢山亡くなっている」と言うとき、その「沢山」はそんじょそこらの数ではないのです。