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044 | カラダにいい映画 第1回。最高の肉体に見惚れる3本。

2014年06月27日 21時30分 JST | 更新 2014年08月25日 18時12分 JST

BRUTUSで主に映画ページを担当するライター・門間雄介さんが選ぶ、「カラダにいい映画」をご紹介。

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 1990年代、ハリウッドで活躍するアクションスターの多くが、自らの肉体をこれでもかと鍛え上げ、「驚異のカラダ」を手に入れようとしました。シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーは、言わずと知れたその代表格です。故郷オーストリアではボディビルダーとして名をとどろかせ、ボディビル界最高の栄誉であるミスター・オリンピアを6年連続で獲得したシュワちゃん。オーストリアン・オーク(オーストリアの樫の木)と呼ばれその偉業をたたえられた彼は、70年代後半にハリウッドへ渡り、アクション俳優に転身しました。彼最大のヒット作は「アイル・ビー・バック」の名台詞も有名な『ターミネーター2』('91)。未来からタイムスリップしてきた殺人ロボット役のシュワちゃんが、見事にビルドアップされた裸身で身構えるあの立て膝姿は、気が付けば大衆浴場で誰もが真似するおなじみのポーズとなっていました。

 そんなシュワちゃんが「最高の肉体の持ち主」と語るのが、『燃えよドラゴン』('73)のブルース・リーです。「あらゆるアスリートの中で最も低かった」と彼が証言するリーの体脂肪率は、一説によれば1%かそこらだったとも。自ら創始した武術ジークンドーで日々鍛錬に励むだけでなく、当時の格闘家としてはいち早くウェイトトレーニングを取り入れて、彼はアスリートに必要なスピードを失うことなく鋼鉄のカラダを磨き上げていきました。見てみてください、あの割れに割れまくった腹筋を! 彼がアクション映画にもたらしたのは、「本物のカラダが本物のアクションを生む」「驚異的な身体能力はそれだけで一つのエンターテイメントになる」という、当時の映画界の常識を一変させるような価値観でした。

 ブルース・リーが起こした革命は、その後、世界中にたくさんの斬新なアクション映画を生むことになりました。タイの『マッハ!』('03)やインドネシアの『ザ・レイド』('11)もその一つですが、ここで取り上げたいのはフランスの『アルティメット』('04)です。街中や自然の障害物を「走る、跳ぶ、登る」のアクションで乗り越えていく、フランス発祥のスポーツ「パルクール」を大胆に導入したこの作品では、主人公がアパートのフロアからフロアへ、室内から屋外へと、自らのカラダ一つで縦横無尽に駆け抜けていきます。「そこから跳ぶ!?」とか「そんなところ走る!?」とかいう驚きに満ちた本作は、『007』シリーズを始めとするその後のエンターテイメント作品のアクションシーンに絶大な影響を与えました。

■『ターミネーター2』

監督:ジェームズ・キャメロン、出演:アーノルド・シュワルツェネッガー/'84年の前作では悪役だったターミネーターT-800が、シュワちゃん人気を受け本作ではヒーローに。近未来のリーダーとなる少年を守るT-800と、新型ターミネーターT-1000の死闘を描く。

■『燃えよドラゴン』

監督:ロバート・クローズ、出演:ブルース・リー/悪の一味の正体を暴くため、リーは彼らの島で開かれる武闘大会に参加する。響く怪鳥音、冴え渡る蹴り! 史上最強のアクションスター、リーの醍醐味を味わえる代表作。世界的なカンフーブームを巻き起こした。

■『アルティメット』

監督:ピエール・モレル、出演:シリル・ラファエリ/舞台は近未来のパリ郊外。無法地帯にのさばる犯罪組織と潜入捜査官の闘いを、スピード感溢れるアクションの数々と共に描き出す。信じられない技を次々に披露するのは、パルクールの創始者ダヴィッド・ベル。

次回は驚異のカラダを作り上げる、その壮絶なトレーニング風景に迫った映画をご紹介します。

門間雄介

●もんま・ゆうすけ

編集者、ライター。「CUT」元副編集長。08年「T.」創刊。編著書に「実験4号」伊坂幸太郎×山下敦弘など。BRUTUSをはじめ、多数の雑誌で編集執筆。イオンシネマ「シネパス」の作品選定などにも携わる。

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(「からだにいい100のこと。」より転載)

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