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059 | 極寒の地で犬ぞりに命を賭ける。ひとりの女性と26匹の犬たち。

2014年07月24日 16時37分 JST | 更新 2014年09月22日 18時12分 JST

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水も電気もないカナダ・ホワイトホースの郊外で、26匹の犬と共に暮らす日本人マッシャー(犬ぞり師)の本多有香さん。2012年に、世界一過酷といわれる長距離(1600km)犬ぞりレース「ユーコンクエスト」を、日本人女性として初めて完走した。極寒の地で生活しながら、マッシャーとして活躍する本多さんだが、意外にも健康管理にはほとんど気を使っていないという。

「もともと体が丈夫なんでしょうね。6年ほど前、アラスカでアシスタントをしていた時は、ほとんど毎日缶詰とカップ麺だけを食べていましたが、それでも体調を崩すことはほとんどありませんでした」。レースに出るためのトレーニングについても「自分のためのトレーニングはほとんどしません。犬の世話と犬のトレーニングしていると、自然と自分の体ができてきちゃう」と言って笑う本多さん。実際小柄だが、二の腕はがっしりしており、この日のTシャツもメンズ用だと明かしてくれた。「日常の生活が自然と訓練になっているのかもしれません。木を切ってきて、薪割りしないと部屋は暖かくならないし、雪かきしないと道も進めない」。

犬のトレーニングは、本多さんの仕事が終わって帰宅する夜11時頃から始まる。毎日30マイル(約50km)~50マイル(約80km)を実際にそりで走る訓練だ。そりの運転はバランスをとってコントロールするので、見た目以上に体力を使うという。それが終わって家に着くのはだいたい朝4時~5時。そこから犬にえさを与えて、次の日朝は8時に起きる。朝はえさやりと犬舎の掃除。糞で犬の体調が分かるので、重要な仕事の一つだ。その後自分も食事をして、雑用をこなしたら仕事へ向かう。

疲れてトレーニングを面倒だと思うこともあるというが、犬との関係が、自分を強くしてくれていると実感するいう。「『めんどくさいなぁ』と思っても、ふと犬舎を見ると26匹が全員座ってじっとこっちを見ているんです。『あぁ、これは行かなきゃ!』って(笑)」と言う本多さん。「何があってもこの子たちを守らなきゃ、と思っているし、犬もそれをわかって頼ってきてくれる。一度犬ぞりを辞めようと思った時も、以前のボスのお手伝いをして犬たちと触れ合ったらやっぱりいいなぁって思ってしまいましたね」。厳しい環境での生活と、家族のような犬たちとの触れ合いが、本多さんの強い体と心を作っているようだ。

写真/石渡朋 文章/宮原未来

本多有香

●ほんだ・ゆか

1998年、マッシャーになるために単身カナダへ。その後アラスカでマッシャーのアシスタントを経験し、「ユーコンクエスト」に挑戦。4度目の挑戦となる'12年に、日本人女性初の完走を成し遂げる。著書に「犬と、走る」(集英社インターナショナル)など。

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(「からだにいい100のこと。」より転載)

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