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049 | カラダにいい映画 第2回トレーニングシーンに、燃える。

2014年07月09日 00時42分 JST | 更新 2014年09月06日 18時12分 JST

BRUTUSで主に映画ページを担当するライター・門間雄介さんが選ぶ、「カラダにいい映画」をご紹介。

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いいカラダを手に入れたり、維持したりするためには、トレーニングが欠かせません。映画の中のトレーニング・シーンといって、最も多くの人が思い浮かべるのはおそらく『ロッキー』('76)でしょう。

無敵の世界チャンピオン、アポロ・クリードの指名を受け、タイトルマッチに挑むことになった無名のボクサー、ロッキー・バルボア。意を決した彼が、どん底から這い上がるため必死にトレーニングに打ち込む姿は、あの有名な『ロッキー』のテーマと相まって人々の脳裏に焼き付きました。ロッキーが実践したことと言えば、①生卵5個を一気に飲み干す、②精肉工場の冷蔵室で生肉を殴る、③レンガを手に街を駆け抜ける、など。「生卵を5個も飲んだらむしろカラダに悪い」とか「生肉を殴っても拳を痛めるだけ」とか、そういう正論を振りかざしても詮ないことです。あれは、長年越えられなかった壁を打破するために、肉体改造の前にまず心のアップデートを行おうってことですから。

そして、身の回りのものを利用して練習に取り組むというDIY精神は、『ロッキー4/炎の友情』('85)でも基本的に変わりありません。科学的トレーニングに励む"ソ連の殺人サイボーグ"ドラゴに対して、凍結した雪道を走ったり、丸太を担いで膝まで埋まる雪原を歩いたり、人間が3人乗った荷台をプッシュアップしたりと、徹底してアナログにこだわるロッキーのトレーニング。もうここまで来たら意地なんですかね、"昭和の男"的な。

師弟の関係を通じてトレーニングに勤しむ姿も映画の中で繰り返し描かれてきました。古いところでは黒澤明監督作『姿三四郎』('43)や『スター・ウォーズ』('77)のヨーダとルークみたいな例もありますが、『ベスト・キッド』('10)はその代表的な1作です。ジャッキー・チェン扮する師匠が、アメリカから北京へ越してきた少年を鍛え上げる、一見何のためかわからない特訓の数々。'84年のオリジナル版ではワックス掛けやペンキ塗りを通じて技が磨かれていきましたが、このリメイク版ではジャケットの着脱を利用して鍛錬が行われます。ちなみにこれ、ジャッキー本人のアイディアだったとか。

トレーニング・シーンと言って個人的に最も印象深いのは『アメリカン・ジゴロ』('80)です。金持ち婦人相手の高級ジゴロに扮したリチャード・ギアは、女たちを虜にする肉体美をキープするため、自宅の天井に足具を付けてぶら下がり、鉄アレイを使って筋力トレーニングに精を出します。しかも、スウェーデン語の練習を同時に行いながら! ベスト・トレーニング・シーンの一つと言っていいかもしれません。

■『ロッキー』

監督:ジョン・G・アヴィルドセン、出演:シルヴェスター・スタローン/当時、泣かず飛ばずの俳優だったスタローンが、モハメド・アリ対チャック・ウェップナーの一戦に感銘を受けて脚本を執筆し、自ら主演して作り上げた名作。アカデミー賞作品賞を受賞した。

■『ベスト・キッド』

監督:ハラルド・ズワルト、出演:ジェイデン・スミス/80年代に人気を誇った『ベスト・キッド』をリメイク。新たな環境になじめず、いじめに遭っていた少年が、カンフーの指導を受けたくましく成長していく。主人公のジェイデン・スミスはウィル・スミスの愛息。

■『アメリカン・ジゴロ』

監督:ポール・シュレイダー、出演:リチャード・ギア/ビバリーヒルズの高級ジゴロ、ジュリアン。洗練されたカラダと研ぎ澄まされた知性でNo.1の人気を誇っていた彼は殺人の嫌疑をかけられ......。『タクシードライバー』の脚本家、ポール・シュレイダーの監督作。

門間雄介

●もんま・ゆうすけ

編集者、ライター。「CUT」元副編集長。08年「T.」創刊。編著書に「実験4号」伊坂幸太郎×山下敦弘など。BRUTUSをはじめ、多数の雑誌で編集執筆。イオンシネマ「シネパス」の作品選定などにも携わる。

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(「からだにいい100のこと。」より転載)

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