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投稿日: 更新:
TRUMP AND HILLARY
Keiko Hiromi
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今アメリカでは大統領選、民主.共和両党の候補者指名争いが白熱している。4年ごと11月に行われる米大統領選は民主党、共和党指名候補者による実質上の一騎打ちだ。候補者たちは選挙年の初夏から秋に行われる党大会で党の指名候補者の地位を勝ち獲らなくてはいけない。晴れて党指名候補者になれた時には11月の本選挙までわずか数ヶ月。多くの選挙運動期間は党の指名獲得にかけられる。

各党の指名候補者になるためには選挙年の1月後半、もしくは2月前半から(毎大統領選挙サイクルごと違う)始まる各州で行われるプライマリー(予備選挙)、カーカス(党員集会)と呼ばれる選挙で有権者の支持を得なくてはいけない。この選挙は党の指名候補を決めるための選挙なので共和党 vs 民主党の対決ではなく、共和党内、民主党内の候補者同士の共食い、とも言える争いである。

今年は2月1日のアイオワ州カーカス、2月9日ニューハンプシャー州プライマリーを皮切りに予備選挙が始まる。この2州で勝利をすると、勢いをつけて他の州の予備選挙に臨めるので、候補者達はこの2州での選挙運動に力を入れる。また両州の多くの有権者達もFirst In Nation (全国で初めて)としての誇りを持ち大統領選の政治に関心を持っている。

私はニューハンプシャー州のお隣のマサチューセッツ州ボストンに住んでいるので、ニューハンプシャープライマリー予備選挙運動は去年の3月から取材を始めた。予備選挙では有権者との接触、対話に重点を置いたRetail Politics (リテール ポリティックス)という形式の選挙活動が多く用いられ、特に初期の時点では候補者達の素顔を垣間見ることができる。選挙活動の取材をしていると、メディアである私たちは候補者達とも顔見知りになる。

顔見知りのメディアを見ると会釈する候補者、まるで私たちが存在しないかのように通り過ぎていく候補者、と様々だ。現在はマスコミ嫌いを売りにしているT候補者など去年の夏はスタッフと一緒に会場の入り口でマスコミ誘導をし、カメラマンたちには道を譲り『かっこいい』入退場ショットを撮らせていた。またC候補者のスタッフは支持率が下がるとマスコミに親切になるから不思議だ。。。

民主党、共和党の主な候補者達を彼らの選挙スローガンとともに紹介しよう。

民主党


ヒラリー クリントン氏
スローガン: Hillary for America
言わずと知れた元米大統領ビル クリントン氏の妻。元ファーストレディー、元ニューヨーク州上院議員、元国務長官という輝かしい経歴の持ち主。民主党の本命。ただ国務長官時代のベンガジ事件、E-mailスキャンダルと問題を抱えている。もしヒラリー氏が大統領となれば初めての女性米大統領の誕生となる。

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2015年9月5日ニューハンプシャー州ポーツマス市
街角で有権者と握手するヒラリークリントン氏。

バーニー サンダース上院議員 (無所属バーモント州)
スローガン:A Political Revolution is Coming
スローガンからも想像できるよう左翼の思想を持つバーモント州国会議員。自ら民主社会主義と名乗り、米初の社会主義議員であり、上院で最もリベラルな議員の一人である。無所属の議員でありながら民主党からの大統領選への出馬表明をし、ヒラリー氏に挑戦状を叩きつけた。

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2016年1月22日ニューハンプシャー州ベッドフォード市
演説会場に入場するバーニー氏。

マーティン オマーリー氏
スローガン: Rebuild the American Dream
元メリーランド州知事。自前のギターで弾き語りをするなど気さくで民主党のホープとして、期待の星だったが、現大統領選予備選挙においては完全にヒラリー候補者とバーニー候補者の影に隠れてしまっている。もともと大統領よりも民主党副大統領指名を狙っていたのかも、という説もある。

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2015年3月31日ニューハンプシャー州ナシュア市
有権者の前でギターと歌声を披露するオマーリー氏。


共和党


(強硬派)
ドナルド トランプ氏 
スローガン: Make America Great Again
ニューヨークの不動産王。以前Reality TVで看板番組を持ち、"You are fired" (お前はクビだ!)というフレーズを流行らせた。

政治経験はなく、出馬当初はマスコミも世論もトランプ氏を真面目な候補者とは捉えていなかった。"イスラム教徒をアメリカに入れるな"、"アメリカにいるメキシコ人はレイプ魔、麻薬売買人、犯罪者だ"と言ったり、センセーショナルなヘイトスプーチを連呼し、そのバッシングに対してはマスコミの"言葉狩り"だとして、マスコミ嫌い、オバマ大統領嫌い、主に白人の超保守的有権者の支持を得ている。

選挙当初からアメリカとメキシコの国境に壁を作り、"レイプ魔、麻薬ば売買人、犯罪者"であるメキシコ人が来られないようにする、という政策をあげている。(ちなみに壁建築代はメキシコ持ちにする、と公言している。)又、度重なる共和党大統領候補者ジェブ ブッシュ氏に対する政策と関係ないバッシングによって、候補者たちの中で"いじめっ子"としての地位を確立している。

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2015年4月27日ニューハンプシャー州コンコード市
"パイと食べながら政治を語ろう"会から車で去るトランプ氏。

テッド クルズ上院議員
スローガン: Reigning the Promise of America
共和党強硬派。米超保守派ティーパーティーのお気に入り。

キューバ人移民の父とアメリカ人の母の間にカナダで生まれる。プリンストン大学、ハーバード大学、ハーバードローレビュのエディターをこなし、ブッシュ政権では司法省副次官、テキサス州訟務長官を歴任してきたエリート。

2012年に上院議員として当選したクルズ氏は2013年にオマバ政権の医療保険制度改革(オバマケア)に反対し、21時間以上本会議場で演説をし続け、議事妨害、政府機関閉鎖の立ち役者となり超保守派からの支持を絶対的なものにした。(しかし共和党穏健派からは煙たがられる)保守的アメリカ至上主義なキリスト教の信仰を全面に押し出した政治運動を展開し、トランプ候補者と保守的有権者の支持を予備選挙に向けて争っている。 ディベートの名手でもある。

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2015年3月15日ニューハンプシャー州バーリングトン市
演説前に将来の有権者と交流をするテッドクルズ氏。

ベン カーソン医師
スローガン: Heal Inspire, Revive
神経外科医の権威。1989年に頭部が結合したシャム双生児の分離手術の成功で一躍有名に成る。トランプ氏と同様政治経験はなし。

2013年の全米朝食祈祷会での演説がオバマ政権に不満を持っていた超保守派のハートをつかむ。進化論、人為による温暖化の否定、医療保険制度改革批判などスローガンからもわかるよう、カーソン医師の選挙活動は信仰に基づいた傾向が強い。イエスキリストの再臨に重点を置いたセブンスデー・アドベンチスト教会所属。

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2015年9月30日ニューハンプシャー州ダーラム市
演説終了後、選挙車に乗りこむベンカーソン医師。


(穏健派)
ジェブ ブッシュ氏
スローガン:Jeb!
元フロリダ州知事。父は第41代米大統領ジョージ H.W. ブッシュ、7歳上の兄は第43代米大統領ジョージ W.ブッシュ。父と兄の地盤を引き継ぎ出馬表明当初は共和党の本命と謳われていた 。『もうブッシュとクリントンはやだ』という世論もあり、度重なるテレビ中継の共和党ディベートでは存在感を発揮することができず、現在人気は迷走中。

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2015年7月23日ニューハンプシャー州ゴーハム市
演説後有権者の話を聞くジェブブッシュ氏。

マルコ ルビオ上院議員
スローガン: A New American Century
キューバ人移民の両親を持ちフロリダ州マイアミで育ったスペイン語が堪能な44歳共和党若手のホープ。米超保守派ティーパーティーからの支持も高い。自身の移民家族としてマイアミで育った経験をよく語り演説力には定評がある。多くの共和党候補者と並び政策はとても保守的だが、自身の経験からか移民問題には甘い、と共和党内からの批判がある。

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2016年1月3日ニューハンプシャー州ハンプトン市
オールドソルトタバーンで有権者と交流するマルコルビオ氏。

ジョン ケーシック知事
スローガン: Kasick for Us.
現役オハイオ州知事。共和党穏健派の中では知名度は低い候補者。しかしジェブ ブッシュ氏など著名な穏健派の不振の目をぬって、本選挙で大多層の共和党支持者の票を集められる、として地味にだが確実に支持率を伸ばしてきている。

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2015年9月12日ニューハンプシャー州ドーバー市
共和党ピクニックで演説するジョンケーシック氏

クリス クリスティ知事
スローガン:Telling It Like it is
現役ニュージャージー州知事。ニュージャージー州という民主党支持の強い州で共和党知事としての手腕には党内からの定評がある。しかし超保守的共和党の一部からはまだ生ぬるい、との批判がある。スローガンの通り直球の政治。2012年の前大統領選時には全国の共和党員から出馬へのラブコールがかかったが、出馬は見合わせた。巨体のため健康面への懸念、食べ物に対する冗談が多い。

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2015年7月2日ニューハンプシャー州ナシュア市
街角で選挙運動中、マスコミの囲み取材に答えるクリスクリスティ氏。

ランド ポール上院議員
スローガン:Defeat the Washington Machine, Release the American Dream
父のロンポール元下院議員同様、リベタリアン(自由意志主義)徹底した小さい政府、財政支出の削減、徹底した減税を政策として打ち上げている。教育や同性愛婚、中絶などの社会面に関しても中央集権ではなく、地方分権を推奨。スローガンの通り、Defeat the Washington Machine(打倒!ワシントンD.C.の政治!)である。

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2015年7月25日ニューハンプシャー州ウォレン市
ムーススクープス アイスクリームショップで有権者と交流しに来たランドポール氏。


現米大統領予備選挙民主党には5人の候補者(2人撤退)、共和党17人(6人撤退)、特に共和党はとても混みいったレースだ。

アメリカの片田舎ニューハンプシャーで 、会いに来てくれた有権者の一人一人と会話をして握手を交わす。一緒に自撮りをして、票をお願いする候補者達。この中の一人が来年に米大統領に就任する。

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私はアメリカ在住16年目となるが、就労許可(グリーンカード)取得のみの身分なのでアメリカでの選挙権は持っていない。 世界の不安定な情勢、環境問題、アメリカ国内での景気不振。次期大統領にはすでに仕事は山積みだ。

『現状況の改善』は有権者にとって関心が高く、政に携わる人たちの大きな課題である。しかし政治とは現在の改善だけではなく未来のためでもある。付け焼刃の解決策だけではなく、将来住みたい社会を築く政治が行われることを心から祈る。

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