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医療による成長戦略を進めるために(1)

2013年07月15日 23時55分 JST | 更新 2013年09月14日 18時12分 JST

保健医療は日本に比較優位があり、アベノミクスの成長戦略の要である。今後、日本はこの分野で世界にもどんどん進出していくべきだ。

しかし、我が国の医療の成長とグローバル化は、戦略的研究支援と国内規制緩和がセットになって初めて可能となる。

医療イノベーション戦略の目玉の一つである日本版NIH構想では、各省庁にバラバラに存在する研究費を統合し、それにより、創薬など、日本のそしてグローバルな医療を劇的に改善する研究に資源配分することが可能になる。現代は、病気も患者も医師も国境を越えて移動する「グローバルヘルス」の時代だ。

過去10年間、米国を中心にグローバルヘルス分野が興隆した背景には、米国NIHのグローバルヘルス戦略の推進がある。

米国NIHは、それ自体が巨大な研究所であると同時に研究資金を配分する機関でもあり、日本版NIHとはその機能が異なっている。

しかし、世界との連携を進め、世界中から才能を集め、革新的かつ戦略的な研究投資を進めたことが大きな実を結んできた。

医療イノベーションの要である創薬においても、国際的な共同基礎研究や開発研究のお陰で、ぞくぞくと新薬が誕生した。もちろん、米国内の研究機関や企業を始め、多くの国内セクターが恩恵を被っている。

日本にも世界にも、埋もれた革新的研究の芽はたくさんある。

先日、シアトルの学会で、ハーバード大学やワシントン大学、インドの財団、中国やアフリカの研究機関、ビル&メリンダ・ゲイツ財団や創薬ベンチャー企業の多くの知見ある人々と話をした際に、彼等との連携があれば、日本版NIHも大きく羽ばたく可能性があると思った。

世界との連携を進め、世界中から才能を集め、革新的かつ戦略的な研究投資を行えば、医療による成長戦略は大きく前進するだろう。

また、こうした創造的・革新的な医学研究の推進とともに、米国NIHのミッションの一つに、「最高レベルのサイエンスの健全性、説明責任と社会的責任を追求すること」がある。

現在の国際社会では、「信用」は大切なアセットである。

昨今の臨床試験や基礎研究での不正で地に落ちた我が国の研究に対する世界の信頼を回復させるためにも、日本版NIHは、我が国の新しい研究支援体制を世界に披露できる大きなチャンスでもある。

信頼される国家として国際的に名誉ある地位を占めること、それが我が国の成長にもつながる。