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Manfred Stelz Headshot

【スペイン・サンティアゴ巡礼】 一番やっかいなのは"アレ"との闘い

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世界でもっとも有名な巡礼地のひとつである、スペイン北西部のキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ。

日本人女性と結婚し、ハネムーン代わりにそのサンティアゴを目指して巡礼路を歩くことにした、ドイツ人のマンフレッド・シュテルツ氏の手記をお届けしています。

今回は、巡礼中に夫婦がもっとも悩まされたといっても過言ではない、"アレ"との闘いについてです。

8th day 〈Viana → Navarrete, 22.4km〉


アルベルゲ*で目を覚ました。昨夜は妻が寒がったので(彼女の手足はいつでも氷のように冷たい!)、僕は彼女のベッドにもぐりこんで、そのまま朝まで一緒に眠った。かなりせまかったけど、いい気持ちだった。
*サンティアゴ巡礼者専用の宿

しかし途中、僕らの隣で眠っていた中年の男性がすさまじいいびきをかき始め、ほかの旅人たちのいら立ちの声やため息も部屋に響いた。ひとりのイタリア人の男性が何事かを毒づいて、手を打ち鳴らした。すると、いびきは止み、再び静けさが戻ってきた。やった!

しかし3時ごろだろうか?別の男性がまた"木を切り倒し始めた"。いや、それ以上の騒音だったかもしれない。

1部屋のほとんどの人が目を覚まし、ひそひそと不満の声を漏らし始めた。いびきはますますひどくなり、またさっきのイタリア人男性がより大きな声で何か言ったが、今度は一向に止まない。

僕は自分に問いかけた。ここは僕が行くべきだろうか?僕がこの地獄から皆を救い出すべきだろうか?

ついに僕はベッドから抜け出し、小さな懐中電灯をつかんで、"いびきモンスター"を突き止めるために立ち上がった。

騒音源をたどって、ベッドの間を抜けていく。ここだ。

しかし、ヤツが二段ベッドの上か下か、どちらに寝ているのかがわからない。僕は次の轟音を待った。

フウルングゴオオオオオオオオオオオ! 

わかった、上の男だ。

彼は体の右側を下にして眠っていて、彼の肩が僕のすぐ目の前にあった。僕は彼の肩をぎゅっと押して、素早くうしろに一歩下がった。睡眠中に体を触られると、過剰に反応する人もいると知っていたから、その危険を避けるためだ。

男はすぐに寝返りを打って仰向けになり、腕をぶんと振り回した。よかった、危ないところだった。そしていびきは・・・?

OLE OLE OLE OLEEEEeeee!

止まっている!

僕はベッドに戻った。

例のイタリア人男性が、僕に賛辞を送った。こうして妻とともに、朝までぐっすりと眠った。朝になると、起きてきた旅人たちが、こぶしを突き上げて僕をたたえてくれた。

さて、僕たちはパッキングを済ませ、階下のキッチンへと降りていった。妻が昨日買ったストロベリーを洗って出してくれ、簡単な朝食をとった。さあ、今日も出発だ。

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歩き出してほどなくすると、工場が立ち並ぶエリアを抜け、ログローニョの街が見えてきた。

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街はやかましく、排気ガスで充満していた。僕たちはカフェを探しながら、教会を少し見学した。内部は大きく、古く、そして誰もいなかった。大きな金色の祭壇には、聖ヤコブ像が祀られていた。

カフェを見つけて、僕たちはようやく座った。カフェ・コン・レッチェと小さなバゲットを注文し、しばし休むと、再び歩き出した。

ゆっくりと市街地を抜け、公園へと入っていく。にぎやかな子どもの遠足グループが僕たちの後方にいたので、立ち止まってやり過ごすことにした。

が、すぐに子どもたちは芝生に座って休憩をはじめ、僕たちは再び彼らを追い越した。ああ、僕たちは騒音から逃れられない運命みたいだ。

道は開けた緑地を抜け、林のなかへと続いていく。すると、小さなダムと湖が現れた。なかなか素敵なピクニックエリアだ。

妻がここで休憩をしたいと言ったので、バックパックのなかに詰めてあったオレンジ、バナナ、ストロベリー、バゲット、缶詰の魚(トマト味)、そしてクッキーで、最高にゴージャスなランチとしゃれこんだ。

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僕たちのまわりをリスが走り回っていた。また子どもたちのグループが僕たちを行き過ぎた。とてもごきげんな気分だったので、少し長めに休憩を取った。

太陽がじりじりと照りつけ、暑く、風もないなかを再び1時間半ほど歩いた。途中、木の枝で作られた無数の十字架がフェンスに掲げられていた。

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たくさんのスペイン人の自転車乗りたちが通りすぎ、僕たちは高速道路に沿った巡礼路をまた、歩く、歩く、歩く。目的地のナバレッテは間もなくだ。(続く)

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前日の手記を読む

※この手記は、妻で編集者の溝口シュテルツ真帆が翻訳したものです。妻の手記はnoteで公開しています。