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ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう

2016年07月29日 16時36分 JST | 更新 2017年07月29日 18時12分 JST
ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES

友へ

悪い知らせを伝えるのは残念なことだが、昨年の夏、ドナルド・トランプが共和党の大統領候補になるだろうと君たちに言った時も、俺ははっきりと伝えていた。そして今や、君たちにとってさらにもっとおぞましい、気の滅入るような知らせがある。それは、ドナルド・トランプが、11月の大統領選で勝つということだ。この浅ましくて無知で危険な、パートタイムのお笑いタレント兼フルタイムのソシオパス(社会病質者)は、俺たちの次期大統領になるだろう。

トランプ大統領。さあみんな、この言葉を言ってみよう。だってこれから4年間、この言葉を言うことになるんだよ。「トランプ大統領」。

俺の人生で今回ほど、俺は正しくない、俺が間違っている、って誰かに証明してほしいと思ったことはないな。

俺には、君たちが今何をしているかわかる。激しく首を横に振っているだろう。 「いや、マイク、そんなことは起こらない!」とか言って。残念ながら、君たちは外界から隔離された狭い範囲の世界で生きている。その世界には、隣にエコー室があり、そこで君たちとその友人たちは、アメリカ人はバカ野郎を大統領に選んだりしないって確かめあっている。

あらゆることがトランプがらみだから、奴のクレージーなコメントとか、こっちが恥ずかしくなるくらい自分に酔っている奴のスタンスのおかげで、君たちは奴に対して、呆れたりあざ笑ったりしている。その頃、ヒラリー・クリントンの話を聴いて、私たちの最初の女性大統領、世界が敬う人、頭が切れて子供たちを大事にし、オバマのレガシーを継承する人に注目している。なぜならこれこそ、アメリカ人が求めているものだからさ! もちろんこれからの4年間もこのままさ!

君たちはすぐさま、この狭い世界から脱出しなきゃいけない。現実を否定ながら生きるのをやめて、限りなく現実だと心の奥底では理解している真実に向き合う必要がある。

「有権者の77%は女性と有色人種と35歳未満の若者だ。トランプは絶対に彼らの過半数の票を獲得できない!」なんてことで安心しようとするとか、「みんなこんなバカ野郎に投票することはないだろうし、自分にとって最善の利益に反して投票することもないだろう!」なんて理屈で安心しようとするのは、脳がトラウマから自分を守ろうとする働きなんだ。通りで大きな音を聞いても、「ああ、タイヤがパンクしただけだ」とか「あれ、誰かが爆竹を鳴らしているんじゃんないか?」と思うだろ。というか、誰かが銃で撃たれた音を聞いた、なんて思いたくないんだよ。

これは、911が起きたときに最初のニュースと目撃者の話が、「小型飛行機が誤って世界貿易センターに突っ込んだ」だったのと、同じ理由だな。俺たちは最善の結果を求め、望むことを必要としている。なんでかっていうと、ぶっちゃけ、生活はもう混乱してるし、給料ぎりぎりの暮らしで何とか生き抜こうとしたって、もう難しいんだよ。俺たちはこれ以上悪いことが起きても、対処できないんだ。だから何か恐ろしいことが実際に起きたって、俺たちの精神状態は変化を受け入れられないんだ。

フランスのニースでトラックに轢かれた最初の人々が、この世で最後の瞬間にしたことは何かというと、その人は単に運転手がトラックをコントロールできなくなっただけだと思って、運転手に手を振って、歩道の縁石を飛び越えたことを指差して、「気をつけて!」と叫んだんだ。「歩道には人がいるよ!」って。

おい、みんな、これは事故じゃないんだ。事件が発生しているんだ。それでも、クリントンが事実の積み重ねとか、頭の回転の速さ、理屈とかで、トランプを倒せると信じている人は、この1年、56カ所で行われた予備選とか党員集会の結果を見過ごしている。共和党には16人が立候補して、みんな打倒トランプに全力を注いだけど、誰もトランプの勢いを止められなかっただろ。今の情勢だったら、本選でもこれは起きると思う。そしてこの事態に対処するためには、まず君らみんなにこの事実を知ってもらう必要がある。それから、多分、もしかしたら、俺たちが今いる混乱から抜け出せる方法を見つけられるかもしれない。

勘違いしないでほしい。俺は自分の住んでいる国に大きな希望を持っている。状況は好転している。左派はジェイムズ・D・ハンターが言うところの「文化戦争」に勝った。ゲイとレズビアンは結婚できるようになった。アメリカ人の大多数が今や、世論調査の質問に、寛大な答えをしている。女性の同一賃金――わかった。中絶は合法であるべき――わかった。環境法の強化――わかった。銃の規制強化――わかった。マリファナの合法化――わかった。大きな変化が起きている。 今年22州で勝利した社会主義者のサンダースにぜひ尋ねてほしい。そしてもしみんなが自宅のカウチからXboxとかプレイステーションで投票できるなら、ヒラリーが圧勝するのは間違いないと思う。

でもこれは、アメリカで実際にできる方法じゃない。みんな家を出て、投票の列に並ばなければならない。そして仮にそこが貧しい黒人とかヒスパニックの地域だったら、長い列に並ぶだけでなく、うまく投票できないようにつくられている。だから、ほとんどの選挙で、投票率が50%になることだって難しい。そこに11月の大統領選の問題があるんだ。つまり、投票する気のある、投票するように鼓舞された有権者たちを、どうやって投票所に連れていくか?ってことだ。

みんな、この質問に対する答えがわかっているだろう。いちばん過激な支持者がいる候補者は誰なのか? どの熱狂的なファンが午前5時に起きて、朝から晩まで全力を尽くし、はるばる投票所まで行って、それだけじゃなくてトムとかディックとかハリーとか(そしてボブ、ジョー、ビリー・ボブ、ビリー・ジョー、ビリー・ボブ・ジョーとか)全員を投票に行かせるだろうか? その通り。これが俺たちが今最大級の危機に陥っている状況なんだ。そして自分をごまかさないでほしい。どんなに説得力のあるヒラリーのテレビ広告が流れても、討論会でヒラリーがトランプに事実を質しても、共和党主流派の自由主義者たちがトランプから票を吸い上げても、奴の呪術を止めることは出来ないだろう。

トランプが大統領になる5つの理由を教えよう。

1.中西部の票読み。

ラストベルト(錆びついた工業地帯)の奴らは、EU離脱と同じことが起きることを歓迎している。トランプは、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった五大湖を取り巻く4つのブルーステート(民主党が優位の州)に意識を集中させると俺は思っている。この4つの州は、もともと民主党が強い地域だが、2010年以降それぞれの州で、共和党の知事が選ばれている(最終的にペンシルバニア州だけは、今は民主党知事になっている)。3月のミシガン州予備選で投票に行ったのは、民主党が119万人なのに対して、共和党は132万人だ。

トランプは、ペンシルベニア州の最近の世論調査でヒラリーをリードしていて、オハイオ州では同点だ。同点? トランプがこれだけ無茶苦茶な発言と行動しているのに、どうしてこの大統領選レースは、これほど接戦になっているのか? これは多分、ヒラリーがNAFTA(北米自由貿易協定)を支持したから、製造業中心の中西部の州の壊滅を助長した、とトランプが発言しているからだ。クリントンがTPPを支持したから、この4州の人々をひどく不利な立場に置いた他の貿易政策に関して、トランプはクリントンを攻撃するだろう。

トランプがミシガン州で選挙活動している時、フォード・モーターに働く工場労働者のために、もしフォードが工場を閉鎖してメキシコへ移転するなら、メキシコで製造してアメリカに入って来る自動車すべてに、35%の関税を掛けると言った。これがミシガン州の賃金労働者たちの耳には、この上なく甘美な音楽のように響いたんだ。そしてこの時、トランプはAppleにも、iPhoneを中国で製造するのをやめて、ミシガンの工場で製造するように強要した。もちろん人々の胸は熱くなるわな。お隣の州知事ジョン・ケーシックが手にするはずだった大勝利を、トランプが持ち逃げしたんだ。

友よ、グリーンベイからピッツバーグまで、このあたりの人は、イングランドの中流階級と同じだ。疲弊して、元気ががなく、苦しんでいる。

この地域では、いわゆる中流階級の残骸と、田園地域に大工場の大きな煙突が散在している。彼らはレーガンのトリクルダウン理論に騙されて、怒り、辛い思いで働いている(もしくは、働き口すらない)人たちだ。いつも耳ざわりのいいことを言っておきながら、いざというときにはゴールドマン・サックスのロビイストに高額の小切手を書いてもらうのを期待して、なんでもかんでも揉み消してしまう民主党の政治家に捨てられた人たちなんだ。

イギリスで起きたことは、ここでも起きるだろう。ボリス・ジョンソンみたいなエルマー・ガントリー(口がうまいやり手のセールスマン)が現れ、どんなにひどい状態になるとわかっていても、今がチャンスなんだ!と確信させるように適当なことを大衆に言うだけだ。アメリカンドリームをぶち壊した奴ら全員に貼り付け! そしてアウトサイダーのドナルド・トランプが、奴らを懲らしめるためにやって来た! トランプに同意する必要はない! 好きになる必要だってない! トランプは、君らが嫌な人間たちに投げつける火炎瓶だ。それでなくても、彼らは君らに火炎瓶を投げつけてくるんだ! メッセージを送れ! トランプは君らのメッセンジャーだ!

そして、ここで数学が役に立つ。2012年、共和党大統領候補だったミット・ロムニーは64人の選挙人の票差で敗北した。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州で投票された選挙人票を足してみれば、合計64だ。トランプの予想通りで、トランプがやればいいことは、アイダホ州からジョージア州まで(決してヒラリーには投票しない州)のレッドステート(共和党が優位の州)を制したら、あとはこの4つのラストベルト州を押さえるだけだ。トランプにはスイングステート(選挙のたびに結果が変わる州)のフロリダ州は必要ない。コロラド州やバージニア州も必要ない。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州だけだ。これで、トランプはトップに躍り出るだろう。これが11月に起こる。

2.怒れる白人、最後の抵抗。

我がアメリカ男性たちが主導してきた240年間の統治は、終わろうとしている。一人の女性が、その座を引き継ごうとしている! なんでこんな事態になったんだ?! 注目! 警告のサインは出ていたが、俺たちはこれを見逃していた。ニクソンは、ジェンダーに冷たかったけど、タイトルIX(男女教育機会均等法)を作った。この法律は、学校で女子生徒も男子生徒と同じスポーツをする権利を持つべきだと言っている。その後女性たちは、民間ジェット機でパイロットにもなれるようになった。気がついたら、ビヨンセが今年のスーパーボウル(俺たちのゲームだ!)で、大勢の黒人女性と一緒にフィールドに雪崩込み、拳を突き上げ、男性の支配はここで終わった! と宣言していた。おお、なんてことだ! 

これは、危機に瀕している白人男性の心の中がかいま見える光景だ。本人の手から権力がすり抜けていき、彼らのやり方は、もはや容認されないという意識が芽生えている。この「フェミナチ」(保守派のフェミニストに対する蔑称)っていう怪物は、トランプが言ったような「目から血を流している、どこであっても血が出ている」(トランプが女性の生理を侮蔑した発言)奴らが、俺たち男を征服するんだ。そして今や、俺たちに指図してきた黒人の男に8年間耐えなきゃいけなかったのに、今度は大変なことは傍観する、そして威張り散らす女のもとで、8年間を過ごすことになるのか? その後の8年間は、ゲイがホワイトハウスに入るのか! それからトランスジェンダーか! 君たちは、そんなことを目の当たりにする。その時までには、動物にも人権を認められているだろう。そしていまいましいハムスターが、この国を統治していることだろう。これは止めないといけないな!

3.ヒラリー問題。

ここだけの話だけど、正直に話していいか? そして俺たちが話す前に、これだけは言わせて欲しい。俺はヒラリー・クリントンが好きだった、それもかなりな。ヒラリーは、不当な濡れ衣を着せられてきたと思う。ヒラリーがイラク戦争に賛成したから、俺は二度とヒラリーに投票しないと決めた。今日まで、そのつもりでいた。ファシストもどきが最高司令官になるのを防ぐために、俺はその決心を改めようと思っている。

悲しいことだが、ヒラリーは何かしら軍事行動を起こして、俺たちを従軍させる方法を見つけるだろう。ヒラリーはオバマより右寄りで、タカ派だ。しかしトラ