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近すぎて見えない眼鏡の話

2013年05月09日 20時09分 JST | 更新 2013年07月09日 18時12分 JST

はじめまして。本日よりこのハフィントン・ポストでブログを書かせていただくことになりました、眼鏡ライターの伊藤美玲と申します。

「眼鏡ライターです」というと、どんな仕事をしているのかと聞かれることも少なくないのですが、音楽や映画、車などに特化したライターがいるように、私は主に眼鏡業界を中心に取材をしています。じつは眼鏡業界では春はミラノ、秋はパリにて国際的な展示会が行なわれており、毎回各ブランドの新作が発表されているんです。そうした展示会で新作フレームをチェックしたり、国内外のフレーム工場やレンズ工場へ足を運んだり、デザイナーや職人などに取材したりした内容を、主に眼鏡専門誌やモノ雑誌などに執筆しています。

東京では4月の半ばに都内各所で展示会が行なわれたばかりです。朝から晩まで会場を渡り歩くのは体力的にキツいこともあるのですが、根っからの眼鏡好きである私にとって、展示会シーズンはお祭りのようなもの。好きなバンドの新譜が出たときのようなワクワクした気持ちで、新作フレームをチェックしています。

最近では、「お洒落な眼鏡が増えた」「眼鏡をファッションの一部として楽しむ人が増えた」などと言われるようになりましたが、時計や靴、鞄などと比べると、まだまだこだわりを持っている人は少ないのかな、と思うことがあります。靴や鞄は服に合わせて替えるのに、眼鏡は1本で済ませているという人も少なくないのではないでしょうか。

どうしてほかの小物に比べて意識が向きにくいのか? それは「眼鏡は目に近いところにあるため、掛けてしまうと視界に入らないから」ではないかと私は思っています。たとえば腕時計ならば、奮発してお気に入りのものを買った場合、ことあるごとに眺めては悦に入ることができますが、眼鏡は外すか、いちいち鏡を見るかしないとそれができません。そのため汚れなどにも無頓着になりがちだったりするのですが、顔の一部を自分で選べるアクセサリーのようなものでもあるわけですから、その効果を利用しない手はないでしょう。

もちろんコンタクトを否定するわけではないですし(私も時々使います)、もっと個性的な眼鏡、価格の高い眼鏡を掛けるべきだ、などと言うつもりもありません。ただ、せっかく掛けている、もしくは掛けなければいけないのであるなら、少しでも自分の気に入ったもの、物理的にも気分的にも快適に掛けられる眼鏡と出会ってほしい。そう思っています。人によっては朝起きてから夜寝るまで、お風呂を除いて1日中生活をともにしている道具なのですから。

ここでは、そんな身近な道具でありながら意外と知らないことも多い眼鏡について、いろいろお伝えできればと思っています。

では、まずは日本の眼鏡産地のお話から。日本には、眼鏡の一大産地があるということをご存知ですか? それは福井県鯖江市です。以前ある大手眼鏡チェーン店が鯖江産であることのクオリティの高さを謳うCMを放映していたので、ご存知の人も多いかもしれません。

鯖江市は100年以上続く産地で、現在眼鏡フレームの生産高は国内シェアの93%、そして就業人口の約6人に1人が眼鏡関連産業に携わっているという、まさに眼鏡の街なんです。

では、なぜ鯖江がこれだけの眼鏡産地となったのか。それについては、次回お話しします。