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この夏、軽井沢で一番売れたもの - 「これまで経験のないような○○」にどう対応するのか?(川村雅彦)

2013年10月09日 15時03分 JST | 更新 2013年12月08日 19時12分 JST

ここ数年、毎年夏には軽井沢を訪れている。知人の別荘を借りて、ある NPO の合宿を行うためであ る。東京から来た者には、涼しい環境の中でじっくり議論ができて、実にありがたい。しかし、長年 この地に暮らす知人いわく、「軽井沢も年々暑くなっていて、今年が最も暑かった。」この夏の暑さで、 畑のブルーベリーは実を付けなかったそうだ。その理由は寒冷地向けの品種だったからである。これ は"悪い冗談"だが、極めつけは次の話である。この夏、軽井沢の電気店で一番売れたのはクーラー だったという。真偽のほどは定かでないが、妙に納得できる話であった。

それにしても今年の夏は暑かった。8 月の平均気温は、ほぼ全国的に平年を 2°C以上上回り、過去最 高となった。四国の四万十市では国内観測史上最高の 41°Cを記録した。降水量については、北日本で 平年比 3 割増となる一方、東日本では 3 割まで減少し、西日本ではわずか 5%と最少記録となった。 さらにゲリラ豪雨が全国各地を襲い、9 月には東海地方で 1 時間に 100 ミリを超す猛烈な雨が降った。 台風も大型で、竜巻も多かった。今年の日本の夏は"異常気象"が頻発し、猛暑、豪雨、渇水、竜巻 に見舞われ、気象庁は「これまで経験のないような○○」という表現を使った。

このような状況の中で、世界の科学者集団である IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、先月 6 年 ぶ り に 第 五 次 報 告 書 を 公 表 し た 。「 地 球 温 暖 化 は 疑 う 余 地 が な く 、 2 0 世 紀 後 半 に 観 測 さ れ た 地 球 温 暖化の主因は 95%以上の確率で人間活動」と再確認した。また、ほとんどの陸域で極端な高気温の頻 度が増すことはほぼ確実と分析する。人類共通の最大の課題である地球温暖化(気候変動)に対して、 世界各国の対策が遅々として進まない現状に、科学界が再び警鐘を鳴らした格好である。

近年、世界的にも各地で異常高温・低温をはじめ洪水、干ばつ、熱波、寒波などの極端現象が頻発 しており、経済的被害も増大傾向にある。地球温暖化の影響は、日本でも今後さらに顕著となろう。 地球温暖化は生態系にも影響を及ぼし、まず農業や水産業に変化が現れる。遅かれ早かれ、いずれ産 業立地や産業構造にも影響が出てこよう。200 年前の産業革命は化石燃料に依存する経済・社会を形 成し、人類が地球資源を過剰に消費した結果、今まさに地球温暖化として表面化したのである。

人類文明の発祥は、その地の気候風土や自然環境に大きく左右された。しかし、現代では逆に、人 類文明が地球環境に大きな影響を及ぼし始めている。それゆえ、地球温暖化と生態系劣化に代表され る地球環境問題の本質を考えるには、人類文明史的な視点が不可欠であると考えられる。

(2013年10月8日の「ニッセイ基礎研究所 研究員の眼」より転載しました)