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法人税減税で本当に企業は得をするのか?

2014年12月29日 16時39分 JST | 更新 2015年02月27日 19時12分 JST

政府・与党は、30日にまとめる15年度の税制改正大綱で、法人実効税率を2.51%幅引き下げることを盛り込むとともに、甘利大臣は法人税の実効税率20%台の実現に向け意欲を示しているとのことです。

企業にとって、法人税は低いに越したことはありません。海外の企業が日本に投資する際にも追い風になるでしょう。アベノミクスの第3の矢がほとんど効果を発揮していない中で、成長戦略の目玉として据えたい狙いが良く分かります。

しかし、今回の引下げによっても、アジア各国で見れば中国(25%)や韓国(24.2%)、そしてシンガポール(17%)などと比較すればまだまだ高い税率であり、甘利大臣がいう20%台を実現するためには相当な減税幅が必要です。果たして本当にそこまで行うのでしょうか?

財務省の試算では、法人税を1%下げるとおよそ4,700億円の減収となるわけですから、仮に中国と同じ25%に下げるとすれば、4.7兆円の財源が必要となります。4.7兆円と言えば、防衛費や教育費に匹敵する予算規模ですから、国の財政赤字が心配される中でそのような減収余力はありません。となると、どうしても代替財源を見つけなければならなくなるでしょう。

先日もブログで書いた通り、その一つの財源が外形標準課税である場合には、だいたい財源とするためには現在の資本金1億円の規制よりもさらに課税ベースを広げるために資本金下限を下げなければならず、結果的に中小企業にとってダメージが大きくなることは容易に想定されます。一方で租税特別措置で行う場合には、業界の要望で多くの租税特別措置が作られている中で、極めて大きな反発が予想され、業界によっては狙い撃ちされる業界も出てくるでしょう。

従って、法人税引き下げの代替財源が企業関連課税である場合には、結果的に税金の取り方が変わるだけで、笑う業界と泣く業界の別はあったとしても、全体的に企業にとっては両手を上げて賛成とは言えないのではないかと思います。実際、ヨーロッパ各国が行った法人税減税も、税率の引き下げと同時に課税ベースの拡大を行っています。

しかし、それらの代替財源の議論がまだ生煮えの状態であることからすると、政府・与党は法人税率の引き下げによって景気が上昇し、かえって税収が上がるというシナリオを描いているように見えるのです。これこそ取らぬ狸の皮算用と言わざるを得ません。リーマンショックのダメージがいまだ深刻であった2009年の税収は、法人税の落込みによって全体で9兆円もの予測の下ブレがありました。企業収益は利益課税である以上ブレ幅が大きく、好景気による増収を前提に代替財源を見込むのはナンセンスと言う他ありません。

つまるところ法人税減税は、代替財源の手当がきちんとなされないままに、とにかく景気回復を勢いづかせるためのアピール先行なのでしょう。従って、企業が得をするとは断定できないということだと思います。